インドネシア市民団体から日本政府に要請書提出:「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)による化石燃料エネルギーの利用引き延ばし、環境及び地域社会の安全を脅かす誤った対策の活用、 人権侵害を止めて」

インドネシア環境フォーラム(WALHI)らによるジャカルタでの日本大使館前アクション(2024年8月20日)
日本大使館に要請書を手渡し(2024年8月20日)

8月20日から21日の日程で、第2回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合がインドネシアで開催されています。インドネシア環境フォーラム(WALHI/FoEインドネシア)を含むインドネシアの市民団体は、同閣僚会合の初日、日本大使館前でアクションを行い、日本政府に対し、AZECを通じた化石燃料エネルギーの利用引き延ばし、環境及び地域社会の安全を脅かす誤った対策の活用、 人権侵害を止め、その代わりに、迅速で公正かつ公平な脱炭素化およびエネルギー移行に向けた支援をインドネシアの地域コミュニティと市民社会の意味ある参加を確保した形で行うよう求める要請書(41団体署名)を提出しました。

以下、インドネシア市民団体から日本政府へ提出した要請書(和訳)です。

要請書(和訳)PDF版

(本要請書の原文はインドネシア語。以下はFoE Japanによる和訳)

2024年8月20日

インドネシア大統領 ジョコ・ウィドド 様
内閣総理大臣 岸田 文雄 様

要請書:日本政府がインドネシアで実施を推進しているアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)による化石燃料エネルギーの利用引き延ばし、環境及び地域社会の安全を脅かす誤った対策の活用、人権侵害を止めてください

私たちは、気候、環境、人権、エネルギーの分野で活動するインドネシアの市民団体です。私たちは、日本がGX(グリーントランスフォーメーション)戦略の下に主導し、インドネシアで実施しようとしているアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想に深い懸念を抱いています。

この構想は、カーボンニュートラルに向けた努力の一環として、その目標を達成するための広範なパートナーシップを構築することを掲げていますが、私たちは、この構想が脱炭素を標榜するグリーンウォッシングの取り組みにすぎないと確信しています。AZEC構想は、すでに巨額の富を得てきた企業をより肥やす一方で、インドネシアに「誤った気候変動対策」を蔓延させ、先住民族や地域コミュニティの人権をより侵害するものです。インドネシアの先住民族や地域コミュニティ、市民社会組織(CSOs)の意味ある参加がない形で進められるAZECは、迅速で公正かつ公平なエネルギー移行を妨げるものです。

私たちは日本政府及びインドネシア政府に対し、化石燃料エネルギーの利用を長引かせ、環境及び地域社会の安全を脅かす誤った対策を活用し、人権侵害を引き起こすAZEC構想を破棄するよう要請します。また、日本政府及びインドネシア政府が迅速で公正かつ公平な脱炭素化/エネルギー移行に向けた協力・支援をインドネシアの地域コミュニティとCSOsの意味ある参加を確保した形で行うよう要請します。

私たちのこうした要請の根拠は、AZECがインドネシアの民主主義、環境、また社会に問題を引き起こすだけであるという現実にあります。なぜなら、この構想は、透明性、情報公開、市民からの意味ある参加を確保するものではなく、化石燃料エネルギーの利用を長引かせ、環境及び地域社会の安全を脅かす誤った対策を活用し、インドネシアにおける土地収奪と森林破壊をさらに助長し、債務の罠に陥らせる可能性があるからです。以下、さらに詳細を説明します:

(1) インドネシアにおけるAZECの実施は、透明性、情報公開、地元コミュニティやCSOsの意味ある参加を確保しておらず、民主的権利を侵害している。

AZECの下で進められる事業、協定、協力は、インドネシアの地域住民の生活に影響を与える可能性があります。それにもかかわらず、AZECの文書に含まれている事業、協定、協力を推進するか否かについて、インドネシアの地域コミュニティやCSOsが公の協議を受けたことは、これまで一度もありません。

AZEC構想は、気候変動対策と脱炭素化の取り組みの一環であると称していますが、パリ協定第12条で義務付けられている、気候変動対策への市民参加を促進するという原則を満たしていません。この原則は、各締約国に対し、気候変動に係る教育、訓練、啓発、市民の参加及び情報へのアクセスを促進し、気候変動対策においてこれらの措置が重要であることを認識するよう求めています。

AZECにおける透明性の問題は、例えば西ジャワ州バンドン県のレゴックナンカ廃棄物発電(WTE)事業に見ることができます。レゴックナンカWTE事業は、債務スキームを使っているため、国家財政に負担をかけ、損害を与えることになります。世界銀行の一部である国際復興開発銀行(IBRD)が1億米ドルを拠出しているうち、その一部がレゴックナンカWTE事業に充てられているからです。中央政府と地方政府が支払わなければならない廃棄物処理1トンあたり38万6,000ルピアの処理費負担は言うまでもありません。一方、この事業で使用される焼却炉技術の決定には、国際協力機構(JICA)による技術支援の影響もあり、各国で焼却炉を販売している日本企業の住友商事及び日立造船のコンソーシアムが落札する結果となりました。この事業による多額の処理費用は、日系企業には利益をもたらす一方で、納税者である市民には不利益をもたらすことになるでしょう[1]

また例えば、INPEXと住友商事が出資している西スマトラ州のムアララボ地熱発電事業(PLTP)では、地域コミュニティの意味ある参加の欠如が見受けられます。ムアララボPLTPフェーズ1の開発は、国際協力銀行(JBIC)及び日本貿易保険(NEXI)から金融支援を受けており、現在フェーズ2の建設もJBIC及びNEXIが支援を検討中です。この事業は、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣により、AZECの優先事業のひとつとされています。ムアララボ地熱発電事業の周辺コミュニティは、企業がフェーズ1事業の開始当初から、地域社会に対してどのような影響が生じる可能性があるのかを透明性をもって伝えてきておらず、同社が公表すべき多くのことを隠し続けていると述べています。社会化(Socialisasi)は、直接影響を受けるコミュニティが参加する形ではなく、コミュニティのリーダーや伝統的な利害関係者を通じて行われてきました。一方、WALHIは、2010年から2016年にかけての土地取得プロセスが、影響を受けるコミュニティに対して、この事業を受け入れるよう圧力と脅迫をもって行われたという報告も受けています。コミュニティは、地元の役人やチンピラ(preman)が農民に土地を他の関係者に明け渡すよう強要し、その関係者が土地に関する取り決めを同社と直接行うことになったと報告しています[2]

現在、AZECの主要な推進役の一角を担っている日本の金融機関等はまた、彼らが支援してきた事業の透明性や地域コミュニティの意味ある参加に関する実績に乏しいのが実情です。JBIC及びNEXIの支援する西パプア州タングーLNG事業(三菱商事、JX石油開発、双日、住友商事、INPEX、三井物産、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が出資。関西電力がLNGを購入)でも、協議や意味ある参加がないまま事業が薦められました。例えば、環境影響評価(EIA)が地域コミュニティの参加なしに行われました。その結果、地域コミュニティにとって生態学的に重要な地域(沿岸地域やマングローブ林)が被害を受け、住民の活動が制限されています(ガスプラットフォーム周辺の漁業地域)。また同事業は、この地域の慣習的な土地所有者である先住民族スムリの土地から3部族(ソワイ族、ワユリ族、シムナ族)に立ち退きを迫ることとなり、先住民族は伝統的な農耕地や狩猟地へのアクセスを失っています[3]

インドネシアのコミュニティは、AZECを通じて日本及びインドネシア両政府が実施する事業、協力及びコミットメントについて概して十分に知らされておらず、インドネシア政府によって公に発表されている情報の一部でさえ、情報操作されている疑いがあります。情報操作の可能性のある一例は、2023年12月18日の経済担当調整省のプレスリリースに見られます。このプレスリリースでは、AZECの枠組みにおけるエネルギー移行分野の3つの優先事業、すなわちムアララボ地熱発電所建設、レゴックナンカ廃棄物発電所(PLTSa)建設、そして中カリマンタン州における食料用泥炭地管理について言及されています[4]。しかし、日本の経済産業省の公式ウェブサイトを参照すると、協力文書の締結は、ムアララボ地熱発電所の改訂売電契約と、レゴックナンカPLTSaの協力文書という2つの事業についてのみ行われたと述べられています[5]。日本政府の公式発表では、中カリマンタン州における食料用泥炭地管理に関する協力については一切触れられていません。一方、AZECプログレスレポートに記載されている中カリマンタン州における泥炭地管理事業は、「木質バイオマス安定供給のための泥炭地管理技術調査事業」のみです。明確な情報がないため、経済担当調整省のウェブサイトに記載されている「中カリマンタン州における食料用泥炭地管理」が、プログレスレポートに記載されている「木質バイオマス安定供給のための泥炭地管理技術調査事業」と同じ事業であるのか判断できません。

このように、インドネシアにおけるAZECの実施は、実際にインドネシアにおける民主的権利を奪うものです。AZECの下での事業、協定、協力の実施は、地域コミュニティの要望を考慮することなく、また地域コミュニティやCSOsの意味ある参加の場を設けることなく行われています。また、インドネシア及び日本の両政府は、インドネシアにおけるAZEC事業の実施によって生じる可能性のある社会、環境、人権への影響や、より広範な地域コミュニティに与える影響を考慮することも怠ってきました。したがって、AZECの実施は地域社会のためにならないため、中止されるべきです。

(2) AZECにおいて、化石燃料エネルギーの利用を長引かせるような技術の活用を促進することは、気候危機を解決することにはならず、かえって住民の苦難を長引かせることになる。

インドネシアで実施されるAZECのさまざまな事業、協定、協力は、化石燃料エネルギーの利用を長引かせる取り組みや技術をあからさまに推進しています。これらの取り組みや技術には、水素、アンモニア、バイオエネルギー、炭素回収・利用・貯蔵(CCS/CCUS)、ガス、LNGなどが含まれます。これらの取り組みや技術では、パリ協定の1.5℃目標の達成に必要な温室効果ガスの排出削減効果は見込めず、気候変動対策にはなりません。依然として確立しておらず、実証されていない、また非常にコストがかかる技術も含まれています。

JICAが日本企業(東京電力パワーグリッド(TEPCO PG)、東京電力ホールディングス(TEPCO HD)、JERA、東電設計(TEPSCO))に委託し、2022年3月に完成した「インドネシア国低(脱)炭素化に向けた電力セクターに係る情報収集・確認調査」[6]のような事業ひとつを見ても、日本政府がいかに化石燃料エネルギーの利用を長引かせる取り組みや技術の利用を依然として推進しているかがわかります。同調査で描かれている2060年のカーボンニュートラル達成に向けたロードマップでは、既存の石炭火力発電所におけるアンモニアやバイオマスの混焼を優先して進めること、また長期的にアンモニア、水素、LNG(CCS付き)を主力燃料に位置づけることが提案されています。

またJICAは新たに2025年10月までの2年間、「インドネシア国エネルギートランジションマスタープラン策定支援プロジェクト」を行う予定です。インドネシア国有電力会社(PLN)との合意内容[7]を見ると、CCUS、水素、アンモニア、バイオマス、LNGといった単語が再度並んでいます。

インドネシアで化石燃料エネルギーの利用を延命させ続けようとする動きは、環境と地域コミュニティにさまざまな脅威をもたらすことになります。例えば、日本企業の三菱重工(MHI)は、バンテン州スララヤ石炭火力発電所、東ジャワ州パイトン石炭火力発電所、ジャカルタのムアラカラン・ガスタービン・コンバインドサイクル発電所において、水素、アンモニア、バイオマスとの混焼発電の導入を推進する提案をすでに行っていますが、これらの発電所では環境問題や地域社会の安全に対する脅威が続いています。スララヤ石炭火力発電所は1984年以来稼働していますが、CREA(エネルギー・クリーンエアー研究センター)報告書(2023年)は、毎年1,470人の人命が失われ、10億4,000万米ドルの健康被害が発生するなど、公衆衛生と経済に悪影響を及ぼしていることを示しています[8]。パイトン石炭火力発電所は、東ジャワ州のどの施設よりも大量の有害・有毒廃棄物を排出していると報告されており、その量は年間1億5,300万トンで、これは東ジャワ州の年間総排出量1億7,000万トンの80%に相当します[9]。ムアラカラン・ガス火力発電所は、公衆衛生に大きな影響を及ぼしていると報告されています。健康被害の案件は、同ガス火力ブロック1では年間725,760件、同ガス火力ブロック2では年間312,768件、またムアラカラン発電事業で稼働している発電所のうち、まだ新しい発電所として分類されている同ガス火力ブロック3では、年間759,035件です[10]

INPEXが南西マルク県沖で推進しているアバディLNG(マセラ鉱区)及びCCSの開発計画に見られるように、日本政府や日本の大手企業は依然として新規のガス開発をインドネシアで行おうとしています。しかし、国際エネルギー機関(IEA)の最近の報告書では、パリ協定との整合性を保つために「今後、新たな油田やガス田を探査する必要はない」と再確認しています[11]。INPEXは2020年代後半にFID(最終投資決定)、2030年代初頭に生産開始を目指すとしていますが、世界の気候変動対策に明らかに逆行する新規のガス開発計画は直ちに止めるべきです。

CCSのような他の技術の利用も、化石燃料エネルギー事業の排出問題の解決には役立たず、かえって地域社会に永続的な影響をもたらすでしょう。IEA自身も、CCS/CCUSの実績に疑問符を呈しており、「CCUSの実績はこれまで期待外れであり続けている」と述べています。しかしインドネシアでは、エネルギー鉱物資源省がマセラ鉱区のような新規ガス事業も含め、少なくとも16のCCS/CCUS事業を実施すると発表しました。ジョコウィ大統領はまた、「二酸化炭素の回収・貯留活動の実施に関する大統領令2024年第14号」を発行し、化石燃料産業にこの技術を導入するインセンティブを与えるとともに、海外から炭素を輸入してインドネシアに炭素注入することも認めました。中部電力がパプアのタングーLNGのCO2貯留地に日本からCO2を輸出する計画を立てているように[12]、ある国から別の国へ炭素を投棄するというこの行為もまた、廃棄物植民地主義の一形態です。

AZECの事業リストにあるCCUS事業のひとつに、東ジャワ州のスコワティ油田があります。この油田周辺に暮らす地域コミュニティは、幾度となく爆発や事故、ガス漏れに見舞われ、安全を脅かされてきました。2006年7月29日には、スコワティ油田パッドAで大規模な爆発が発生し、爆発に伴って発生した有害ガスを吸引した数十人が病院に運ばれました。彼らはめまい、吐き気、嘔吐を経験し、何人かは気を失いました。油井周辺の住民数千人は避難を余儀なくされ、そのトラウマや避難所が遠方であったことから、油井周辺に住む数百人の生徒たちは学校に行くことができませんでした。2008年1月21日にはスコワティ油田パッドBで爆発があり、3人の作業員が火傷を負ったり骨折をし、いくつかの学校では授業を中断せざるを得なくなり、生徒を帰宅させました。2008年12月2日にはスコワティ油田パッドAの第9坑井でガス漏れが発生し、発生したガスは悪臭を放ち、息切れ、めまい、吐き気、嘔吐を引き起こしました。当時、ボジョネゴロ県カパス郡のNgampel村とSambiroto村の住民数百人が、安全な避難場所を求めて家から逃げ出しました[13]

AZECの下で、水素、アンモニア、バイオエネルギー、CCS/CCUS、ガス、LNGといった化石燃料エネルギーの利用を長引かせる技術を推進することは、上記のような住民の苦難を継続的に長引かせることになります。したがって、インドネシア政府及び日本政府は、環境と地域コミュニティの安全が確実に守られ優先されるよう、AZECの下でのこのような構想を止めるべきです。

(3) AZECは、環境とコミュニティの安全を脅かし、人権侵害につながる誤った対策を推進している。

AZECを通じて推進されるさまざまな取り組みや技術は、脱炭素化に向けた努力の一環であるかのように装っていますが、インドネシアでは依然として環境破壊や人権侵害の脅威を引き起こしています。私たちにとって、環境破壊やコミュニティの安全を脅かす可能性に配慮していない気候変動対策事業は、気候変動に対する誤った対策のひとつです。

AZECの支援を受けてインドネシアで実施されている事業のひとつに、地熱発電事業があります。インドネシアでは、雇用創出法以降の地熱に関する法令は依然として搾取的で、農地紛争を拡大する可能性があり、また住民が冤罪で逮捕・勾留される恐れを増大させています。加えて、地熱発電事業に関するいくつかの調査結果は、地熱発電所の活動と地震リスク、地盤沈下、景観変化、生態系への被害や汚染、温室効果ガスの排出との間に相関関係があることを示しています。さらにインドネシアの多くの地熱発電事業は、生活空間の剥奪や住民が冤罪で逮捕・勾留される恐れを有しています。

例えば、前述したムアララボ地熱発電事業は、その地域の河川の流れに依存して農業を営む農民に深刻な影響をもたらしてきました。灌漑水によって重い黒色のものが運ばれてきて、土壌が非常に硬くなったため、農地での耕作ができなくなるという経験もしました。ムアララボ地熱発電所周辺の農地やコミュニティ居住地は、地熱の採掘活動地域や発電所からわずか250~500メートルしか離れていないため、ムアララボ地熱発電所は、短期的にも長期的にも環境とコミュニティに汚染をもたらすリスクが高いと言えます[14]

インドネシアの地熱発電事業には、他にもさまざまな問題があり、例えば北スマトラ州のサルーラ地熱発電所とソリック・マラピ地熱発電所が挙げられます。サルーラ地熱発電所(伊藤忠商事、九州電力、INPEXが出資し、JBICが融資)は、AZECのプログレスレポートにも記載されている地熱発電事業のひとつですが、農作物への被害、水路への被害、適正な価格で用地取得が行われず、その土地で栽培されていた住民の農作物の価値を考慮しなかったことなどにより、農民の収入を激減させました[15]。一方、マンダイリン・ナタル県にあるソリック・マラピ地熱発電事業は、地熱発電事業がいかに地域コミュニティの生活に深刻な脅威をもたらすかを示す一例です。ソリック・マラピ地熱発電所は、爆発やガス漏れを繰り返し、何百人もの住民を有毒ガスにさらし、死者まで出しています。2021年1月25日には、数十人が失神し、病院に運ばれる事態になりました。そのうち5名(うち2名は幼児)が最終的に死亡しています。地熱掘削井から漏れた有毒ガスを吸い込んだ疑いが強いと見られています。それだけにとどまらず、この地熱事業地でのガス漏れは何度も発生し、何百人もの人びとに深刻な影響を及ぼしてきました[16]

一方、東ヌサ・トゥンガラ州ンガダ県マタロコでは、2006年以来、地熱発電事業が高温の蒸気と泥流を引き起こしてきました。マタロコの住民のアボガド、キャンドルナッツ、コーヒー、クローブ、カボチャ、木材などさまざまな商品作物もこの噴出物の被害を受けました。マタロコでの噴出物は、急性呼吸器症候群や皮膚のかゆみといった健康被害も引き起こしました[17]

インドネシアでの地熱事業活動は、バンテン州のパダリンチャン、西ジャワ州のグデ・パンランゴ及びチレマイ、中ジャワ州のバトゥラデン及びディエン、東ジャワ州のアルジュノ・ウェリラン及びレモンガン、東ヌサ・トゥンガラ州のワエ・サノ及びポコ・レオックの地熱発電事業に見られるように、インドネシア各地での紛争や抵抗の原因のひとつにもなっています。したがって、インドネシアにおける地熱発電の開発は、地域コミュニティの強い反対を受け、社会・生態系への影響だけでなく、紛争にもつながっているため、AZECであれ、他のエネルギー移行/脱炭素化の名目であれ、その開発は奨励されるべきではありません。

AZECにおけるもうひとつの誤った対策は、西ジャワ州レゴックナンカで実施される廃棄物発電(WTE)事業です。私たちは以前から、レゴックナンカWTE事業における焼却炉の利用を強く批判してきました[18]。WTE事業における焼却炉は、廃棄物燃焼モデルを再現するだけであり、温室効果ガスを大規模に排出し続けることになります。焼却炉は、有機性廃棄物や化石燃料から作られたプラスチックなど、さまざまな種類の廃棄物を混合して燃やします。最近の調査によれば、アメリカ[19]、イギリス[20]、ヨーロッパ[21]の焼却炉は、石炭火力発電所よりも多くの温室効果ガスを排出しているとのことです。有機性廃棄物の焼却は、有機性廃棄物から排出されるメタンガスを大量のCO2に変換するだけです。これはパリ協定や先頃インドネシアが署名したグローバル・メタン・プレッジ[22]の目標からインドネシアをさらに遠ざけるだけです。

AZECでも支援されている誤った対策の取り組みには、電気自動車のエコシステムだけでなく、バッテリーや貯蔵技術向けの重要鉱物の必要性も含まれています。2023年3月のAZEC共同声明及び議長総括では、重要鉱物のサプライチェーン構築の重要性も確認されました。AZEC構想の下で具体的にどのような合意が想定されているのか定かではありませんが、インドネシアは特に電池材料として需要が伸びているニッケルの埋蔵量が世界最大であり、その内容は私たちの重大な関心事項の一つです。いわゆる脱炭素社会に向けた取り組みの一環として進められているニッケルやその他の重要鉱物の開発の現場では、炭素吸収源である熱帯雨林が破壊される、そしてインドネシアの重要鉱物を原料とする産業用石炭・ガス火力発電所の建設によって温室効果ガスの排出量が継続的に増加するなど、矛盾がすでに明らかになっています。

また重要鉱物の開発が脱炭素化に不可欠なものとして推進されている一方で、それらの地域に暮らす先住民族や地域コミュニティの人権、特に彼らの生活空間と権利を守るために採掘事業に「No」と表明し、拒否する権利の十分な認知、保護、履行を確保することが重要です。現在、日系企業が進めるソロワコ・ニッケル鉱山タナマリア鉱区の拡張計画に抗議の声をあげているスラウェシ島の地域コミュニティに対し、インドネシア軍や重装備の警察官が派遣される等の深刻な人権侵害も報告されています。

AZECで推進されている取り組みや技術の多くは、私たちが誤った対策と呼んでいるものです。これらの取り組みや技術は、温室効果ガスの排出削減や気候変動への対策につながると謳われていますが、実際には効果がなく、温室効果ガスの排出を大幅に削減することもありません。また長期的に悪影響を及ぼし、環境の質を悪化させるだけでなく、人びとの安全を脅かし、人権を侵害し、女性や障がい者、子ども、高齢者など気候変動の深刻な影響をすでに受けている社会的弱者の生活の質を悪化させます。AZECが誤った対策を実施することによって、環境とコミュニティにさまざまな問題がもたらされることを踏まえ、日本及びインドネシアの両政府は、このような脅威をもたらす可能性のあるAZECの事業を中止すべきです。

(4) AZECは、インドネシアの土地や海洋空間の収奪を助長し、さらなる森林破壊につながる可能性のある事業を支援している。

AZECを通じて支援されている事業、協定、協力は、大規模な土地を必要とする事業でもあり、インドネシアにおける土地収奪とさらなる森林破壊につながる可能性があります。

例えば、インドネシアにおけるAZEC構想には、 2023年12月のAZECの覚書(MoU)リストにも含まれている[23]、2023年5月にJBICとインドネシア・ヌサンタラ首都庁が締結した覚書(MoU)に示されているように[24]、新首都の建設を促進するための協力も含まれています。私たちは、2022年以降、インドネシアの新首都(Ibu Kota Nusantara/IKN)開発にかかる情報収集・確認調査を行っているJICA[25]が、インドネシアの地域コミュニティやCSOsの参加機会を一切確保せず、彼らの声や懸念に全く耳を傾けていないことも懸念しています。

例えば、東カリマンタン州先住民族団体連合(AMAN)の報告書では、IKNの区域に含まれる総面積252,204ヘクタールのうち235,667ヘクタールが、IKNのために犠牲となってしまう先住民族の土地であると指摘しています。報告書はまた、産業造林(HTI)許可を付与された企業によって管理されている先住民族の領域がIKNの区域に指定されて以来、先住民族は同領域で許可を付与された企業による脅迫を受けており、先住民族は逮捕・拘留される恐れがあるため自分たちの畑への立ち入りを制限され、その結果、先住民族は農業を営むことができず、また持続可能な生活のための対策も講じられていないと述べています。他方、HTI許可保有者は、立地許可を拡大しているため、先住民族はますます圧迫され、彼らが何世代にもわたって管理してきた森林へのアクセスができなくなっています[26]

IKNの開発では、土地だけでなく海洋空間でも権利の剥奪が起きており、それは何世代にもわたって管理されてきた生活空間から漁民を追い出そうとしていることからもわかります。新首都に関する法律2022年第3号及び東カリマンタン州区画地方条例は、沿岸コミュニティ、特に漁民をバリクパパン湾の所有者及び管理者として位置づけていません。さらに、東カリマンタン州区画地方条例は、バリクパパン湾に漁民の居住地を割り当てていません。そのうえ、これらの規定は、バリクパパン湾の16,800ヘクタールのマングローブ林をIKNの開発や周辺の採掘産業の拡大による破壊の脅威から守ることを優先していません。バリクパパン湾の少なくとも1万もの漁民世帯が、IKN開発のために海洋空間を失い、影響を受けると推定されています[27]

AZECはまた、二国間クレジット制度(JCM)を通じたインドネシアにおけるREDD(開発途上国における森林減少・劣化などによる温室効果ガス排出量の削減)事業の存在も認めています。私たちにとって、REDD事業は明らかに気候変動の誤った対策のひとつであり、土地収奪の原因となっています。炭素取引の一環であるREDD事業は、気候危機が同じ炭素から生じているという誤った仮定に基づいており、ある排出源からの排出による損失を別の排出源からの排出の削減によって補うことができるというものです。この誤った仮定は、REDD事業でも採用されている保全事業が、森林を守ってきた先住民族や地域コミュニティの役割や能力を無視して、企業に委ねられてしまう理由でもあります。REDDのような事業やスキームを推進するアクターが、気候変動対策を謳い文句に土地の取得を進めた結果、インドネシアの先住民族や地域コミュニティが所有していた260万ヘクタールの土地が収奪されたと推定されています[28]

インドネシアにおける世界最大級のREDD事業である中カリマンタン州のカティンガン事業は、土地収奪を招いただけでなく、森林地域の保護を確保できなかった事例です。2013年以降、REDD+事業としても知られるカティンガン泥炭地回復・保全事業のために、10万ヘクタールの生態系修復林事業許可(IUPHHK-RE)が付与され、その後さらに50万ヘクタールの同許可が付与されてきました。この事業は、先住民族や地域コミュニティから収奪した土地で実施されています。2014年、中カリマンタン州知事は、先住民族ダヤックの各家族が係争地にある5ヘクタールの土地管理を認められることに合意しましたが、土地の明確な位置については合意されていません。カティンガン事業の地域周辺の34の村には、少なくとも4万人が暮らしています。カティンガン炭素事業はコミュニティから土地を奪っただけでなく、伐採権地域内でいまだに森林火災や泥炭地火災が発生していることから、事業責任者がこの地域を保護できていないことも示しています[29]

土地収奪が起きた他の事業は、「フタン・ハラパン」として知られるジャンビ州のREDD+事業です。この事業は46,385ヘクタールの生態系修復ライセンスを付与されましたが、アナック・ダラム民族の慣習地や移住地を奪ってしまったと報告されています。またこのREDD+事業は森林減少と劣化を食い止めることに成功するどころか、長さ26km、幅60mの石炭運搬道路の建設によって損害を与えました。この事業の結果、フタン・ハラパンの森林生態系に生息する1,300種もの植物相と620種もの動物相が絶滅の危機に瀕しています。さらに、4,000億ルピア以上の二次林の森林も失われました[30]

その他のAZEC事業、例えば「木質バイオマス安定供給のための泥炭地管理技術調査事業」(住友林業)は、泥炭生態系地域を単一栽培のプランテーションに変え、自然を破壊し、先住民族や地域コミュニティの権利を奪い、災害を引き起こした新政権下の100万ヘクタール泥炭地開発事業(PLG)やジョコ・ウィドド政権下のフードエステート事業と同じ過ちを繰り返す可能性があります。このAZEC事業は、これらの地域の破壊をもたらし、泥炭地域固有の木材種であるラミン(Gonystylus bancanus)やメランティ・ラワ(Shorea balangeran)などの貴重な生物多様性を破壊し、脅かし、オランウータンの生息地を奪い、何十万キロにも及ぶ一次及び二次用水路を残した、旧メガライスプロジェクト(MRP)跡地で実施されると言われています。これらの用水路は泥炭地の干ばつを引き起こし、中カリマンタン州での壊滅的な泥炭地火災の原因となっており、温室効果ガスを放出して近隣諸国にまで影響を及ぼしています。森林火災は、急性呼吸器疾患の発症率を高め、早期死亡を誘発するなど、住民の健康にも深刻な影響を及ぼしています。また、この地域を木質バイオマスの供給源にしようとする動きは、単一栽培プランテーションの拡大を促進する一方で、旧MRP地域での単一栽培プランテーションの開発は、ライセンスが森林地域や泥炭保護機能地域に位置しているため、空間計画の規定やその他の政策に違反することが懸念されます。そのため、土地紛争が激化し、先住民族の土地が奪われ、伝統的な農業や漁業システムなど、先住民族コミュニティで長年培われてきた慣習的な仕組みや土着の知恵が破壊されています[31]

インドネシアにおいて化石燃料エネルギーの利用を依然として長引かせ、重要鉱物のサプライチェーンの充足を目指すAZECの取り組みは、インドネシアの森林地域のさらなる破壊と森林伐採の脅威をもたらしています。化石燃料の利用が長引けば、石炭採掘がさらに拡大し、インドネシアの森林地域がさらに伐採されることになります。現在インドネシアでは、500万ヘクタール近くの土地が炭鉱地域に転換されており、そのうち少なくとも200万ヘクタール近くは森林地帯です。エネルギー鉱物資源省によると、インドネシアの石炭生産量は年々増加する見通しです(2021年:6億900万トン、2022年:6億1,800万トン、2023年:6億2,500万トン、2024年:6億2,800万トン)[32]。一方、ニッケル産業の大規模な拡大も、インドネシア各地での森林破壊の原因となっています。2023年末までに、インドネシアでは少なくとも20万ヘクタールもの森林がニッケル産業の開発によって破壊されました[33]

(5) AZECは債務不履行のリスクを高める。

AZECの融資ベースのスキームは、インドネシアの低調な財政状況を悪化させるでしょう。このことは、慎重さを欠き、危険な債務比率に陥っている同国の債務管理の実績からも見てとれます。インドネシアの債務対歳入比率は膨れ上がっており、2014年の債務総額が2,609兆ルピア、2024年には8,850兆ルピアに増加している一方で、国家歳入は2014年に1,550兆ルピア、2024年には2,802兆ルピアでした[34]。したがって、国家歳入に対する債務の比率は168.27%から315.81%に増加し、非生産的な債務を引き起こしています。

国家歳入に占める債務利払いの割合も大きくなっています。今年のインドネシアの債務利払いは497兆3,100億ルピアに達すると推定され、2023年の国家予算における債務利払いの配分から12.7%増加します。したがって、歳入に占める債務利払いの推定比率は17.74%に達する可能性があります。言うまでもなく、2025年には国家財政は最大800兆ルピアの満期債務に直面する予定で、利子を加えると1,300兆ルピア以上に達する可能性があります[35]。政府の主張では、脱炭素化のための資金は年間81兆ルピアであり[36]、これは国家予算の3.5%に過ぎず、債務返済に充てられる予算は、気候危機を克服するための予算の6倍に相当します。

NEXIからPLNへの5億米ドルの保険金融支援[37]に見られるように、BtoBスキームで国営企業(SOE)をも巻き込むAZECのメカニズムも、インドネシアの公的債務を増加させるでしょう。2024年第1四半期のインドネシア公的部門債務統計によると、インドネシアの公的債務は16,000兆ルピア以上に達し[38]、そのうちの一部はSOEなどの国営企業の債務によるものです。インドネシアの経済成長が気候危機の脅威を一つの原因として5%以下に減速すると予測される中、課税比率は依然として11%を下回っており、また脱工業化現象が進行しているため、政府は、デフォルトやインドネシアにとって有益でない債務再編といった債務不履行を引き起こすことがないよう、先進国からの提案を受け入れる際には、より慎重かつ注意深くあるべきです。

Cc:
Bapak Airlangga Hartarto, Menteri Koordinator Bidang Perekonomian Republik Indonesia
Bapak Luhut Binsar Pandjaitan, Menteri Koordinator Bidang Kemaritiman dan Investasi Republik Indonesia
Bapak Bahlil Lahadalia, Menteri Energi dan Sumber Daya Mineral Republik Indonesia
Ibu Siti Nurbaya Bakar, Menteri Lingkungan Hidup dan Kehutanan Republik Indonesia
Ibu Retno Marsudi, Menteri Luar Negeri Republik Indonesia
Ibu Sri Mulyani Indrawati, Menteri Keuangan Republik Indonesia
Bapak Agus Gumiwang Kartasasmita, Menteri Perindustrian Republik Indonesia
Bapak Sugeng Suparwoto, Ketua Komisi VII Dewan Perwakilan Rakyat Republik Indonesia
Bapak Heri Akhmadi, Duta Besar Republik Indonesia untuk Jepang
経済産業大臣 齋藤 健 様
外務大臣 上川 陽子 様
財務大臣 鈴木 俊一 様
環境大臣 伊藤 信太郎 様
国際協力機構(JICA)理事長 田中 明彦 様
国際協力銀行(JBIC)代表取締役総裁 林 信光 様
日本貿易保険 代表取締役社長 黒田 篤郎 様
駐インドネシア日本国大使 正木 靖 様
独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)理事長 髙原 一郎 様
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)理事長 石黒 憲彦 様
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長 斎藤 保 様

署名団体:

  1. Wahana Lingkungan Hidup Indonesia (WALHI/Friends of the Earth Indonesia)
  2. Aksi Ekologi & Emansipasi Rakyat (AEER)
  3. Center of Economic and Law Studies (CELIOS)
  4. Oil Change International
  5. 350 Indonesia
  6. Jaringan Advokasi Tambang (JATAM)
  7. Trend Asia
  8. Kelompok Kerja 30 (POKJA 30)
  9. Solidaritas Perempuan
  10. Arise! Indonesia
  11. Solidaritas Perempuan (SP) Kinasih
  12. Lingkar Keadilan Ruang
  13. Partai Hijau Indonesia
  14. Greenpeace Indonesia
  15. Koalisi Rakyat untuk Hak Atas Air (KRuHA)
  16. Eksekutif Daerah WALHI Aceh
  17. Eksekutif Daerah WALHI Sumatera Utara
  18. Eksekutif Daerah WALHI Sumatera Barat
  19. Eksekutif Daerah WALHI Riau
  20. Eksekutif Daerah WALHI Jambi
  21. Eksekutif Daerah WALHI Bangka Belitung
  22. Eksekutif Daerah WALHI Sumatera Selatan
  23. Eksekutif Daerah WALHI Bengkulu
  24. Eksekutif Daerah WALHI Kalimantan Tengah
  25. Eksekutif Daerah WALHI Kalimantan Barat
  26. Eksekutif Daerah WALHI Kalimantan Selatan
  27. Eksekutif Daerah WALHI Kalimantan Timur
  28. Eksekutif Daerah WALHI Jakarta
  29. Eksekutif Daerah WALHI Jawa Barat
  30. Eksekutif Daerah WALHI Yogyakarta
  31. Eksekutif Daerah WALHI Jawa Tengah
  32. Eksekutif Daerah WALHI Jawa Timur
  33. Eksekutif Daerah WALHI Sulawesi Tengah
  34. Eksekutif Daerah WALHI Sulawesi Tenggara
  35. Eksekutif Daerah WALHI Sulawesi Barat
  36. Eksekutif Daerah WALHI Sulawesi Selatan
  37. Eksekutif Daerah WALHI Maluku Utara
  38. Eksekutif Daerah WALHI Papua
  39. Eksekutif Daerah WALHI Bali
  40. Eksekutif Daerah WALHI Nusa Tenggara Barat
  41. Eksekutif Daerah WALHI Nusa Tenggara Timur

連絡先:
インドネシア環境フォーラム(WALHI/Friends of the Earth Indonesia)
Alamat: Jln. Tegal Parang Utara No 14, Jakarta Selatan 12790. INDONESIA
Email: informasi@walhi.or.id
Tel: +62-21-79193363


[1] Proyek Insinerator PLTSa Legok Nangka: Bukan Solusi Tapi Polusi. Siaran Pers Aliansi Zero Waste Indonesia (AZWI) dan WALHI (2023). https://www.walhi.or.id/proyek-insinerator-pltsa-legok-nangka-bukan-solusi-tapi-polusi

[2] Berhenti Mempertimbangkan Dukungan Terhadap Proyek Pengembangan PLTP Muara Laboh Tahap 2 di WKP Liki Pinangawan Muara Laboh, Kabupaten Solok Selatan, Provinsi Sumatera Barat Yang Dapat Mengakibatkan Perluasan Dampak Negatif Terhadap Lingkungan dan Komunitas Serta Melanggengkan Pelanggaran Hak Asasi Manusia. Petisi WALHI (2024). https://www.walhi.or.id/uploads/buku/PETISI_PLTP_2.pdf

[3] WALHI Tuntut Jepang Akhiri Pendanaan Terhadap Proyek Gas Fosil Yang Menimbulkan Bencana dan Kerusakan. Siaran Pers WALHI (2024). https://www.walhi.or.id/walhituntutjepangakhiripendanaanterhadapproyekgasfosilyangmenimbulkanbencanadankerusakan

[4] Implementasikan Asia Zero Emission Community, Menko Airlangga Saksikan Penandatanganan Dokumen Perjanjian 3 Proyek Prioritas. Siaran Pers Kementerian Koordinator Bidang Perekonomian (2023). https://ekon.go.id/publikasi/detail/5565/implementasikanasiazeroemissioncommunitymenkoairlanggasaksikanpenandatanganandokumenperjanjian-3-proyekprioritas

[5] Minister Saito Holds Meeting with H.E. Mr. Arifin Tasrif, Minister of Energy and Mineral Resources, Indonesia. Website Minister of Economy, Trade and Industry (2023). https://www.meti.go.jp/english/press/2023/1219_004.html

[6] Data Collection Survey on Power Sector in Indonesia for Decarbonization. JICA (2022). https://libopac.jica.go.jp/images/report/12342481.pdf

[7] Record of Discussions For Master Plan For Energy Transition Management Project Agreed Upon Between PT PLN (Persero) of Republic of Indonesia and Japan International Cooperation Agency. JICA (2023). https://www.jica.go.jp/Resource/english/our_work/social_environmental/id/asia/southeast/indonesia/pj8nfn000000og6hatt/report_02.pdf

[8] Dampak kualitas udara kompleks PLTU Suralaya – Banten. CREA (2023). https://energyandcleanair.org/wp/wpcontent/uploads/2023/09/CREA_BantenSuralaya_HIA_ID_FINAL_09_2023.pdf

[9] Komplek PLTU Paiton Sumbang Limbah Beracun Terbesar di Jatim. Kompascom (2017). https://regional.kompas.com/read/2017/05/18/11280281/komplek.pltu.paiton.sumbang.limbah.beracun.terbesar.di.jatim.

[10] Estimation of Health Impacts and Externality Costs with the Robust Uniform World Model in the Muara Karang Generation Units. Kumalaningrum dkk (2023)

[11] Net Zero Roadmap A Global Pathway to Keep the 1.5 °C Goal in Reach. International Energy Agency (2023). https://iea.blob.core.windows.net/assets/9a698da4-4002-4e53-8ef3-631d8971bf84/NetZeroRoadmap_AGlobalPathwaytoKeepthe1.5CGoalinReach-2023Update.pdf

[12] bp and Chubu Electric sign MoU to evaluate CO2 storage in Tangguh, Indonesia. Press release Chubu Electric (2023). https://www.chuden.co.jp/english/corporate/releases/pressreleases/1211821_5163.html

[13] Warga Cemaskan Gas Beracun Paska Ledakan Sumur Sukowati. Tempo (2006) https://nasional.tempo.co/read/80841/wargacemaskangasberacunpaskaledakansumursukowati

Belasan Siswa Keracunan Gas. Liputan 6 (2008) https://www.liputan6.com/news/read/169220/belasansiswakeracunangas.

Sumur Minyak Sukowati Meledak, 3 Luka. Okezone (2008) https://news.okezone.com/read/2008/01/21/1/76843/sumurminyaksukowatimeledakluka

[14] Berhenti Mempertimbangkan Dukungan Terhadap Proyek Pengembangan PLTP Muara Laboh Tahap 2 di WKP Liki Pinangawan Muara Laboh, Kabupaten Solok Selatan, Provinsi Sumatera Barat Yang Dapat Mengakibatkan Perluasan Dampak Negatif Terhadap Lingkungan dan Komunitas Serta Melanggengkan Pelanggaran Hak Asasi Manusia. Petisi WALHI (2024). https://www.walhi.or.id/uploads/buku/PETISI_PLTP_2.pdf

[15] PLTP Sarulla Dianggap Merugikan Warga. VIVANews (2008). https://www.viva.co.id/berita/nasional/9313-pltpsarulladianggapmerugikanwarga

[16] Jatuh Korban Berulang, Mengapa Panas Bumi Sorik Marapi Terus Jalan?. Mongabay Indonesia (2024). https://www.mongabay.co.id/2024/03/16/jatuhkorbanberulangmengapapanasbumisorikmarapiterusjalan/

[17] Keluhan Seputar Pembangkit Panas Bumi, Ada Omnibus Law Khawatir Perburuk Kondisi. Mongabay Indonesia (2020). https://www.mongabay.co.id/2020/09/12/keluhanseputarpembangkitpanasbumiadaomnibuslawkhawatirperburukkondisi/

[18] Proyek Insinerator PLTSa Legok Nangka: Bukan Solusi Tapi Polusi. Siaran Pers Aliansi Zero Waste Indonesia (AZWI) dan WALHI (2023). https://www.walhi.or.id/proyekinsineratorpltsalegoknangkabukansolusitapipolusi

[19] Waste incinerators undermine clean energy goals. Tangri, N (2023). https://journals.plos.org/climate/article/file?id=10.1371/journal.pclm.0000100&type=printable

[20] Evaluation of the climate change impacts of waste incineration in the United Kingdom. UKWIN (2018). https://ukwin.org.uk/climate/#evaluation

[21] The impact of Waste-to-Energy incineration on climate. Zero Waste Europe (2019). https://zerowasteeurope.eu/wpcontent/uploads/2019/09/zero_waste_europe_policybriefing_theimpactofwastetoenergyincinerationonclimate_en.pdf

[22] Indonesia Joined 100 Countries to Slash Gas Methane by 30% in 2030. D-Insight kata data (2021). https://dinsights.katadata.co.id/read/2021/11/03/indonesiajoined-100-countriestoslashgasmethaneby-30-in-2030

[23] MOUs towards AZEC leaders meeting. Agency for Natural Resources and Energy (2023). https://www.meti.go.jp/press/2023/12/20231218004/20231218004-9.pdf

[24] JBIC Signs MOU with Nusantara Capital Authority of Indonesia Promoting Development of New Capital of Indonesia. JBIC (2023). https://www.jbic.go.jp/en/information/press/press-2023/0522-017787.html

[25] インドネシア国インドネシア新首都開発にかかる情 報収集・確認調査. JICA (2022). https://www2.jica.go.jp/ja/announce/pdf/20220323_216196_1_01.pdf

[26] Catatan Akhir Tahun. AMAN Kalimantan Timur (2022). https://aman.or.id/regionalnews/catatanakhirtahun-2022-amankaltim

[27] Perampasan Ruang Laut dalam Pembangunan Ibu Kota Negara. WALHI (2022). https://www.walhi.or.id/perampasanruanglautdalampembangunanibukotanegara

[28] Intensification of land grabbing and more concentration of land ownership in the era of “green capitalism": News from Indonesia. World Rainforest Movement (2015). https://www.wrm.org.uy/bulletinarticles/intensificationoflandgrabbingandmoreconcentrationoflandownershipintheeraofgreencapitalismnewsfromindonesia

[29] Perdagangan Karbon: Jalan Sesat Atasi Krisi Iklim. Kertas Posisi WALHI (2023). https://www.walhi.or.id/uploads/buku/Kertas_Posisi_Perdagangan_Karbon_2023_rev_compressed.pdf

[30] idem

[31] Hentikan Proyek Cetak Sawah/Food Estate di Lahan Gambut di Kalimantan Tengah. Siaran Pers WALHI (2020). https://www.walhi.or.id/hentikanproyekcetaksawahfoodestatedilahangambutdikalimantantengah

[32]  Terdepan Di Luar Lintasan. Tinjauan Lingkungan Hidup WALHI (2023). https://www.walhi.or.id/uploads/buku/TINJAUAN_LINGKUNGAN_HIDUP_2023_2.pdf

[33] Catatan Akhir Tahun: Karut Marut Hilirisasi Nikel, Persulit Hidup Masyarakat, Lingkungan Makin Sakit. Mongabay Indonesia (2023). https://www.mongabay.co.id/2023/12/30/catatanakhirtahunkarutmaruthilirisasinikelpersulithidupmasyarakatlingkunganmakinsakit/

[34] Nota Keuangan dan APBN 2024 dan 2019. Kemenkeu 2024. https://www.kemenkeu.go.id/informasipublik/keuangannegara/uuapbndannotakeuangan

[35] Profil Jatuh Tempo Utang Direktorat Jenderal Pengelolaan Pembiayaan dan Risiko (DJPPR) Kementerian Keuangan. CNBC Indonesia 2024.https://www.cnbcindonesia.com/news/20240610063712-4-545114/utangjokowitembusrp-8338-t-4-tahunnambahrp-3500-t

[36]Tekan Emisi Karbon Lewat Pembiayaan Kreatif. Media Keuangan Kemenkeu 2024, https://mediakeuangan.kemenkeu.go.id/article/show/tekanemisikarbonlewatpembiayaankreatif

[37] Perkuat Kolaborasi dengan NEXI – Jepang, PLN Peroleh Dukungan Penjaminan Pinjaman USD500 juta. Siaran Pers PLN. ​​https://web.pln.co.id/cms/media/siaranpers/2023/03/perkuatkolaborasidengannexijepangplnperolehdukunganpenjaminanpinjamanusd500-juta/

[38] Statistik Utang Sektor Publik Indonesia Triwulan I. https://www.djppr.kemenkeu.go.id/suspi

 

関連する記事

インドネシア・ソロワコ・ニッケル開発の拡張計画:ヴァーレインドネシア社の臨時株主総会で胡椒農家がアクション「生活の糧を奪わないで!」

開発と人権

インドネシアNGOがJBIC及びNEXIにムアララボ地熱発電拡張計画への支援検討中止を要請「公正なエネルギー移行の名の下で、環境とコミュニティに悪影響を及ぼし、人権侵害を引き起こす事業に支援しないで!…

開発と人権

インドネシア・ソロワコ・ニッケル開発の拡張計画についてVale主要株主に書簡提出「国際規範に沿わない探査の再開はストップして!」

開発と人権

インドネシア市民社会団体から日本政府に要請書提出:「インドネシアでの化石燃料の延命と環境・生活破壊は直ちに止めて―公正かつ公平なエネルギー移行に地域コミュニティと市民社会の意味ある参加を」

脱化石燃料

【特別セミナー】日本の政策は東南アジアの脱炭素化を遅らせる~ASEAN市民の声

脱化石燃料

【共同プレスリリース】気候変動問題に取り組むアジアの市民団体がASEAN首脳に要請「日本の汚いエネルギー戦略を拒否し、風力・太陽光発電の拡大を」

脱化石燃料