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石炭

石炭火力発電は、気候変動の主な原因であるCO2を最も多く排出する発電方法です。産業革命をもたらし、人間の生活を支え続けてきた石炭火力発電ですが、大気汚染、気候変動、採掘現場での人権問題や環境汚染の問題を伴います。

2011年の東日本大震災およびそれに続く原発事故以降、日本のエネルギーをめぐる状況は大きく変わりました。電力会社各社や大手の新電力は、競争力を確保するために、安く発電できる自社の電源を求めるようになりました。2012 年以降、燃料費が安いとされる石炭火力発電の新規建設計画が相次ぎました。 パリ協定成立以降も次々と新しい石炭火力建設を進めているのは、先進国の中では日本だけです。

2020年日本政府は国内での石炭火力発電事業の「フェードアウト」を宣言しましたが、政府が低効率石炭と定義するものを廃止することなどを中心に議論がされており、石炭火力全廃の議論は行われていません。

日本で使われる石炭のほとんどが、オーストラリアやインドネシアから輸入されたものです。石炭は採掘時にも様々な問題を起こしています。火災や爆発事故などがたびたび起こり、劣悪な労働環境の炭鉱も数多くあります。炭鉱事業が壊滅的な環境破壊をもたらすケースもあります。

日本政府は途上国を中心に海外に積極的に石炭火力発電技術を輸出することを成長戦略として位置づけ、海外での新規石炭火力発電所の建設を支援してきました。その政府方針を実行しているのは、日本の公的な金融機関である国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)です。こうした公的支援を受ける事業の多くは、気候変動への配慮だけでなく、地域の人権・環境社会配慮を欠いたものになっていることも非常に問題です。

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