インドネシア・ソロワコ・ニッケル開発の拡張計画:ヴァーレインドネシア社の臨時株主総会で胡椒農家がアクション「生活の糧を奪わないで!」

南スラウェシ州からジャカルタを訪れ、事業者の臨時株主総会の会場前で、自分たちの生活の糧を奪わないよう株主に訴える胡椒農家ら(2024年4月19日)

4月19日、インドネシア南スラウェシ州ソロワコ・ニッケル開発の探査・採掘拡張に反対する胡椒農家らが、ジャカルタで開かれた事業者PT Vale Indonesia(PTVI)の臨時株主総会の会場前で、自分たちの生活の糧である胡椒畑を奪わないよう訴えかけました。

PTVIが2022年に探査活動を始めたタナマリア鉱区には、4,200ヘクタール余りの胡椒畑があり、採掘の拡張計画が進めば、多くの女性を含む胡椒農家3,300人以上と農業労働者10,000人以上が生計手段を失う恐れがあります。農家らは、自分たちが営んできた胡椒畑をPTVIの鉱業コンセッションから除外するよう、事業者やインドネシアの関連政府機関に要求してきました。

今回、ジャカルタを訪問した胡椒農家らは、PTVIの株主にも自分たちの要求を直接伝えたいと臨時株主総会の会場を訪れました。株主総会への参加は許されなかったため、農家らは会場前で「タナマリア鉱区におけるPTVIのニッケル鉱山拡張の中止を」等と書かれたポスターを掲げ、総会の会場から出てくる株主らに自分たちの思いをアピールしました。

 詳細は以下のインドネシア環境フォーラム(WALHI)南スラウェシによるプレスリリース(FoE Japanによる和訳)をご覧ください。(WALHI南スラウェシによるプレスリリース原文インドネシア語英訳

ロエハ村の農民がPT Vale Indonesiaの株主総会でコンセッションの撤廃を要求するアクションを実施

2024年4月19日

2024年4月19日金曜日、ジャカルタのAlila SCBD ホテルで開催されたPT Vale Indonesia(PTVI)の臨時株主総会において、ロエハ村とランテアギン村の複数の胡椒農家がアクションを行った。

同総会の会議室の前で行なったアクションの中で胡椒農家の代表は、彼らの要求をポスターでアピールした。彼らはPTVIとその株主に対し、タナマリア鉱区での鉱山拡張計画を中止するよう要求した。さらに、彼らはPTVIに対し、ロエハ村とランテアギン村に位置するタナマリア鉱区をPTVIのコンセッションから外すよう要求した。

農家の一人であるアリ・カムリ氏によれば、彼が胡椒農家の代表と共に取ったアクションは、PTVIの株主にロエハ村のコミュニティの要求を示すことが目的であった。1年半以上前から、ロエハ村のコミュニティはPTVIに対し、胡椒の栽培地であり熱帯雨林の広がるタナマリア鉱区で採掘活動を拡大しないよう要求してきた。

「コミュニティ、特にロエハ村とランテアギン村の胡椒農家による要求および抗議は、2022年以来行われている。PTVIに対するコミュニティの主な要求は、PTVIのコンセッションからタナマリア鉱区を除外し、ロエハ・ラヤのコショウ畑と熱帯雨林の生態系におけるニッケル採掘の拡大を止めることである。」

南スラウェシ州からジャカルタに直接やってきたロエハ・ラヤの胡椒農家アリ・カムリ氏は、彼らがとった行為は熱帯雨林の生態系、水源、そしてロエハ・ラヤのコミュニティの生活の糧を守るための行動であると語った。

「私たちは南スラウェシからPTVIの株主と直接会い、ロエハ・ラヤの農家と女性の要求を伝えるために来た。」と彼は語った。

加えて、タナマリア鉱区すなわちPTVIによって採掘される場所は、生産性の高い土地であり、5つの村の主な生計手段であるとも付け加えた。そのため、もしPTVIがこの地域を採掘すれば、数千人もの農家が苦しむだけでなく、数万人もの農業労働者、ロエハ・ラヤの取引業者が貧困に陥り、悲惨な生活を送ることになる。

「タナマリアは生産的な土地であり、数万人の人びとの生活の糧であるだけでなく、私たちの森林生態系であり、きれいな水の源でもある。したがって、私たちの要求はただひとつ、タナマリア鉱区をPTVIのコンセッションから除外することだ。」と説明した。

PTVIの臨時株主総会でのロエハ農家の抗議行動は平和的に行われた。アクションは午後3時から5時まで行われた。また、ロエハ農家のアクションを目の当たりにしたPTVIの株主数名も、アリ・カムリ氏ら農家に支援と励ましの言葉を投げかけた。

また、インドネシア環境フォーラム(WALHI)南スラウェシの事務局長であるムハンマド・アル・アミンもこのアクションに同行した。

【問合先】

WALHI South Sulawesi (Muhammad Al Amin, Executive Director)
Add: JL. Aroepala, Kompleks Permata Hijau Lestari Blok Q1, No.8, Rappocini, Kota Makassar, Sulawesi Selatan 90221
Email: muhammad.al.amien@gmail.com / walhisulsel@gmail.com
Tel: +62-8229-3939-591


 

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