地域別影響
アフリカ
「アフリカは拡大する貧困が足かせとなり、適応能力がかぎられている。そのため予想される変化の影響をもっとも受けやすい地域である。懸念される健康への悪影響を食い止めるため世界規模での取り組みが必要となる。」(IPCC)
地球温暖化で生物多様性への影響や資源の枯渇、土地の劣化、食糧不足や紛争などの問題がさらに悪化する可能性があります。アフリカの適応能力は限定的で、貧困、不十分なインフラなどがIPCCの指摘するように障壁となっていています。
アフリカの人々へのもっとも大きな脅威となっているのは異常気象による被害で、洪水、干ばつや高潮の危険性が高まる事が懸念されます。都市から離れた地域の住人は都市部への移住を余儀なくされる可能性もあります。
水環境への影響も懸念されます。アフリカ南部でさらに悪化すると思われる干ばつは、貧困や紛争といった他の要因と重なり、栄養失調や飢饉の危険性を高めるおそれがあります。
アフリカ西部や中央アフリカ(セネガル、ガンビア、シエラレオネ、ナイジェリア、カメルーン、ガボン、アンゴラなど)では、海面上昇による浸水や侵食の被害が心配されます。同様に東部沿岸では、侵食などの被害が出ます。農業生産性の高いナイル川流域のデルタ地帯は洪水や侵食によって消失する恐れもあります。
人口密度の高い沿岸地域では被害が深刻になり、水不足による水力発電量の減少は産業にも悪影響を与えます。アフリカ諸国の輸出の55%を農作物が占めていて、輸出量減少による被害は多大なものとなります。
温暖化により、マラリア感染域が拡大し、黄熱やデング熱、その他の疫病も蔓延します。こうした病気の患者や死者数増加は広い範囲で経済的損失が引き起こすことになるでしょう。