気候変動とは
広がる気候変動の被害
気候変動により世界中で洪水、巨大台風、干ばつなどの異常気象が多発、海面上昇や砂漠化が進行しています。それにより、各地で住む家や命、生計手段や文化が失われつつあります。
気候変動による被害は特に、これまで温室効果ガスをほとんど排出していなかった途上国の貧困層に大きく出ています。農業や漁業など自然に頼った生活を営み、異常気象に住居が耐えられなかったり、防災対策が不十分だからです1。
気候変動による移民や難民は、現在の年2000~3000万人から近い将来に数億人単位に増加すると見られています2。シリアを中心とした中東、アフリカ中北部、中米で発生した歴史的干ばつにより生計手段を失った人々が難民や移民となっている背景にも気候変動があることが、最近の研究により明らかになっています3。
一方、気候変動の原因である温室効果ガスのほとんどは、歴史的にほんの一握りの裕福な国が排出してきました。
そういった不公正や不公平を背景に、世界中の市民が「気候正義(Climate Justice)」を求めて、先進国などに対し責任ある行動を求めています。また、すでに深刻な被害を被っている脆弱な地域や人々、生態系を支援・保護していくしく仕組みづくりが早急に必要とされています。
科学からの警告
地球温暖化問題の主な原因は、工業化以降大量に必要になったエネルギーを得るために燃やされた化石燃料と、森林破壊による温室効果ガスの排出です。その恩恵を受けてきた先進国には、率先して問題解決に取り組む責任があります。
すでに大気中に放出された温室効果ガスにより、地球温暖化を今すぐに止めることはできませんが、早急に温室効果ガス排出のピークを迎え、大幅に削減をし、排出ゼロにしていく必要があります。
そのためには、高効率石炭火力発電や輸入バイオ燃料、CCS(二酸化炭素回収・貯留)、原発、カーボンオフセット等、環境社会影響も生じている上辺だけの対策に頼るのではなく、抜本的な社会構造の変革(システムチェンジ)による大幅な温室効果ガス削減に取り組むことが求められます。
世界の平均気温の上昇推移と将来予測
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、気候変動に関係する世界中の科学者の研究を評価した報告書を発行しています。今のまま化石燃料を使い続けると、100年後には世界の平均気温は6℃近く上昇すると予測されています4。
キーワードは1.5度未満
人間の活動が原因で引き起こされた地球温暖化。これ以上の被害を食い止め、人々が安全に暮らしていくためには「工業化以前より1.5℃未満」に気温上昇を抑えることが重要です。1.5度という目標は2016年に発効したパリ協定にも書き込まれています。
地球温暖化に関する懐疑論とFoE Japanの考え方について
気候変動の要素は複数存在しています。その影響度合いについて様々な研究と議論が今も続けられています。
IPCCは、近年の急激な温暖化は、人類による温室効果ガス排出が原因の可能性が極めて高いと判断していますが、一方、温暖化に懐疑的な考え方も存在しています。 このような学術的論争とは別に、国際社会は、わずかな不確実性があるからという理由で、何も対策をしないのか、予防措置をとるのか選択を迫られました。そして、国際社会は、気候変動問題をこのまま放置し続けては、取り返しのつかない被害につながる可能性が高いと判断し、予防措置として温室効果ガス削減に取り組むべきという選択をしました。
このことに加え、FoE Japanとしては、気候変動の被害を受けている、もしくは受ける可能性が高いのが途上国などのもっとも脆弱な人々であること、その原因は、歴史的には先進国や大企業による大量生産・大量消費型の経済活動にあることなどの観点から、気候変動問題に積極的に取り組むべきと考え、活動しています。
気候変動に対するFoE Japanの取組みはこちら
この問題を勉強し判断をするために有用な文献を下記にまとめましたので、活用ください。
1. Skeptical Science
https://skepticalscience.com/translation.php?lang=11
2. 地球温暖化懐疑論批判
https://www.cneas.tohoku.ac.jp/labs/china/asuka/_src/sc362/all.pdf
3. 「気候変動における不確実性問題:気候感度に関する最新の科学的知見を中心に」東北アジアにおける大気環境管理スキームの構築研究ユニットWorking paper 2017-1, 2017 年2月9日
http://www.cneas.tohoku.ac.jp/labs/china/asuka/_src/sc437/8bc8cf38ab493x96e291e8838f815b83l839383n81j83w81k815b83n81k815b.pdf
参考
1. 世界銀行「Unbreakable」(2017)
2. 国際連合難民高等弁務官事務所「The Environment and Climate Change」(2015)
3. C. Kelley et al. 「Climate change in the Fertile Crescent and implications of the recent Syrian drought」(2014)
4. IPCC第5次報告書第2作業部会(2014)