公開書簡:G7諸国は気候破壊につながる化石燃料の余地を残してはならない

脱化石燃料2023.7.10
広島城前でのアクション(広島/2023年5月)
(写真:350.org Japan)
在インドネシア日本大使館前(ジャカルタ/2023年5月)
(写真:Melvinas Priananda / Trend Asia)

5月19~21日に広島でG7首脳会議が開催されるのにあたり、世界の気候・人権・エネルギー問題に取り組む180の市民団体(27ヶ国の市民団体及び国際・地域NGOを含む)が、G7諸国に対し、気候変動に脆弱な国々における化石燃料向けの資金供与を止めるよう要請する公開書簡を提出しました。

以下、公開書簡の和訳です。原文(英語)はこちらをご覧ください。

公開書簡:G7諸国は気候破壊につながる化石燃料の余地を残してはならない

2023年5月16日

日本、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、EUの大統領、首相、気候・エネルギー・環境大臣の皆様へ:

今週、世界のリーダーたちがG7首脳会議に集まる中、私たちは、影響力のある国々が途上国に化石燃料を売り込むのをやめるよう要請します。気候・エネルギー大臣会合は、化石燃料の廃止という公約には至らず、G7議長国である日本が強力に推進する新たな化石燃料ガスインフラや化石燃料ベースの技術への投資に門戸を開くことになりました。

G7気候・エネルギー大臣会合の共同声明にある「低炭素で再生可能な水素とアンモニアなどのその派生物を開発すべきである」という目ざわりな文章は、日本がG7議長国である立場を利用して、化石燃料とアンモニアを多用する戦略を国際化しようとする努力を裏付けるものです。グリーントランスフォーメーション(GX)政策は、今後10年間で1兆1千億ドル以上の公的及び民間資本を動員し、日本の22の業種を刷新し、パートナー国に日本の技術や資金を提供することを目標としています。

GXは、液化天然ガス(LNG)、既存の化石燃料ベースの火力発電所におけるアンモニア、水素、バイオマス混焼、二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)など、化石燃料ベースの技術の使用に大きく依存しているため、日本が「現実的なエネルギー移行」と呼ぶものは、公正なエネルギー移行への取り組みを妨げるものであることを改めて強調します。専門家によれば、現在の技術では不可能であるものの、石炭とアンモニアを同量燃焼させたとしても、排出量はガス火力発電所と同等であり、電力部門の脱炭素化のために急速に廃止する必要があるとのことです。

大臣たちは、化石燃料ガスやLNGを推進する日本を押し戻すことに成功しましたが、共同声明は、新しいガス田を開発すべきではないという国際エネルギー機関(IEA)の1.5℃シナリオでの条件を満たしてはいません。同時に、すでに建設中のLNGプロジェクトは稼働させないままとすべきであり、既存のLNG設備は早期に廃止する必要があります。さらに、石炭を廃止する期限がなく、電力部門の「完全」または「太宗」の脱炭素化という文言は、先進国のリーダーシップが弱い証左です。

2022年末までに化石燃料の国際的な公的融資を終了するという昨年の画期的なG7のコミットメントがありましたが、他国のエネルギー移行とエネルギー効率の拡大を支援するG7諸国の計画について、明確かつより強固なコミットメントを私たちは要求し続けます。共同声明は、G7がこの公約を達成し、化石燃料の国際的な融資を「終了」させたと主張していますが、オイルチェンジインターナショナル(OCI)の分析によれば、これは事実ではありません。OCIの新しい分析によれば、2020年から2022年にかけて、G7は新たな化石燃料事業に対し730億米ドルの公的資金を投入しましたが、これは同期間のクリーンエネルギーに対する支援の2.6倍に相当するものでした。英国、カナダ、フランスは、この化石燃料への資金供与を終わらせるというコミットメントを実行に移していますが、日本、イタリア、ドイツはまだ実行していません。米国はコミットメントを実行したと主張していますが、その化石燃料への資金供与方針は公開されていない状況です。

この1ヶ月間、私たちは、日本が化石燃料ベースの技術に対するG7諸国の反発を無視し、岸田文雄首相がアフリカで化石燃料を多用するエネルギー戦略を推進し、さらに多くのグローバルサウス諸国に対して、これらの誤った対策を売り込むのを目の当たりにしてきました。また、ドイツがG7の首脳にガス分野への公的投資を支持するよう働きかけ続けている一方、米国のジョー・バイデン大統領は最近、化石燃料への公的融資を終了するという気候変動に関する主要な約束を破り、米国輸出入銀行(US-EXIM)が今週、インドネシアのキラン・プルタミナ・バリクパパン石油精製所の拡張に約1億米ドルの輸出金融を供与することを決議したことが、報じられています。これらは、「世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるために必要な軌道に沿って、遅くとも2050年までにエネルギーシステムにおけるネットゼロを達成するために、排出対策の講じられていない化石燃料の段階的廃止を加速する」、また「2022年に排出対策の講じられていない化石燃料エネルギー部門に対する国際的な公的支援を終了する」というG7での合意に矛盾します。

G7首脳会議は、世界で最も影響力のある国々が気候変動に対するリーダーシップを示す極めて重要なものです。G7は、途上国のエネルギー移行を支援するため、有言実行で具体的な行動をとらなければなりません。曖昧なコミットメントをしている時間はもうないのです。 

したがって、私たちは、日本、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、EUの大統領、首相、気候・エネルギー・環境大臣に対し、前回のG7サミットでのコミットメントを守り、以下の要求を実行に移すよう要請します:

日本が推進する誤ったエネルギー移行策を否定すること。トランジション・ゼロによれば、日本はグリーントランスフォーメーション(GX)を通じて、アンモニア、水素、原子力、CCSに1兆1千億ドルもの巨額の資金提供を計画していますが、東南アジアでネットゼロを達成する手助けにはならないとのことです。アンモニアと水素の大部分は、化石燃料から生産されており、ガスのライフサイクルを通じて排出されるメタンも含まれます。日本が東南アジアで推進している技術の一つであるアンモニア混焼は、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンでは、技術的に最も実現可能な混焼率(アンモニア20%、石炭80%)であっても、ネットゼロを達成するにはもっと排出を減らす必要があります。再生可能エネルギーから生産されるアンモニアは、長距離輸送のような削減が困難なセクター向けに取っておくべきでしょう。

もし日本がアジアで誤った技術を押し付けることに成功すれば、地球規模では、パリ協定の重要な1.5℃の達成が脅かされることになります。したがって、日本がアジアにおいてグリーンウォッシュに他ならない、まやかしの対策による化石燃料まみれのエネルギー戦略を売り込むことを許してはなりません。

化石燃料ガスを含むすべての化石燃料への融資を終了し、すべての化石燃料を段階的に廃止する期限付きのコミットメントに合意すること。国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までのネットゼロ実現に向け、「新たな油田やガス田は不要」と述べています。さらに、IEAはガスの黄金時代は終わったと宣言しています。アジアでは、ロシアのウクライナ侵攻により、価格高騰と供給不安からガス需要の伸びが止まり、私たちはこの事態を目の当たりにしています。

しかし、日本、フランス、英国、米国、ドイツ、イタリアは、東南アジアにおけるパリ協定後の化石燃料ガス事業の資金調達先として上位に名を連ねています。化石燃料ガス発電所やターミナルのさらなる開発は、気候変動対策を遅らせているだけではありません。生物多様性や人びとの生計手段までもを危険にさらしているのです。私たちは、化石燃料ガスが移行燃料でないことを繰り返し指摘します。むしろ、途上国を数十年にわたる座礁資産、債務の罠、(多大な)排出に縛り付ける、 リスクの高い危険な投資なのです。

エネルギー移行に必要な資金を提供するための公平で公正なメカニズムにコミットすること。化石燃料への継続的な投資は、太陽光や風力などのより安価でクリーンな代替エネルギーとの競争が増し、化石燃料の需要が減少する中で、座礁資産や政府歳入の不足というリスクを増大させます。私たちは、G7のリーダーたちが、クリーンエネルギーへの投資機会を活かし、すべての化石燃料からの公正かつ公平な移行を促進することを強く求めます。

最新のIPCC統合報告書は、気候の壊滅的な状況を回避するための最も確実な方法は、化石燃料を段階的に削減することであると明確に述べています。温室効果ガスの排出量を2030年までにほぼ半減させ、1.5℃を超えないようにし、さらに削減を進めなければなりません。つまり、公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)やエネルギー移行メカニズム(ETM)のようなすべての資金供与メカニズムに、化石燃料をベースとした解決策を一貫して含めてはならないのです。

また、世界中の人々が、化石燃料依存による経済及び環境への影響から地域社会が確実に保護されるよう、要求を強めています。重要で有意義な行動を起こすための猶予が残り少なくなっている中、化石燃料に反対する世界的な運動は広範に広がっており、今後ますます強くなっていくでしょう。

途上国において、エネルギー移行のための誤った解決策を進める余地はありません。世界が必要としているのは、再生可能エネルギーを主体とした、クリーンかつ公正で公平なエネルギー移行の仕組みです。G7は化石燃料を段階的に廃止し、再生可能エネルギーを拡大するための行動にコミットしなければなりません。現実的なエネルギー移行は、リアルゼロへの道筋に向けた野心的で人びとを中心とした行動を気候危機が必要としているという現実に向き合わなければならないのです。

署名団体:

(本書簡には、27ヶ国及び国際的かつ地域で活動する180団体が署名しています。)

REGIONAL & GLOBAL MOVEMENTS AND NETWORKS
Asian Energy Network(AEN)
Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD)
Big Shift Global
Climate Action Network Southeast Asia
EarthRights International
Friends of the Earth – Asia/Pacific
Friends of the Earth – International
Focus on the Global South
Global Forest Coalition (GFC)
Greenpeace Southeast Asia
International Accountability Project (IAP)
International Rivers
NGO Forum on ADB
Oil Change International (OCI)
Rivers without Boundaries Coalition
Recourse
Say No to LNG!
350 Asia

AUSTRALIA
Friends of the Earth

BANGLADESH
350.org Bangladesh
Bangladesh Adivasi Samity
Bangladesh Poribesh Andolon (BAPA)
Bangladesh Bacolight Shramik Federation
Bangladesh Bhasaman Nari Shramik
Bangladesh Bhasaman Shramik Union
Bangladesh Chattra Sabha
Bangladesh Environmental Lawyers Association (BELA)
Bangladesh Jatyo Shramik Federation
Bangladesh Krishok Federation
Bangladesh Kishani Sabha
Bangladesh Krishok Sabha
Bangladesh Bhumiheen Samity
Bangladesh Rural Intellectuals’ Front
Bangladesh Sangjukto Shramik Federation
Bangladesh Shramik Federation
Charbangla Bittoheen Samobay Samity
COAST Foundation
Emarat Nirman Shramik Bangladesh
EquityBD
Ganochhaya Sanskritic Kendra
Jago, Bangladesh. Garment Workers’ Federation
Motherland Garment Workers’ Federation
Progressive Peasants’ Council
Ready Made Garment Workers’ Federation
SDG Action Alliance Bangladesh
Voices for Interactive Choice and Empowerment (VOICE)
Waterkeepers Bangladesh (WKP)
Youthnet For Climate Justice – Youthnet Global

BOLIVIA
Reaccion Climatica

CHILE
Fundacion Chile Sustentable

CHINA
Blue Dalian
Green Longjiang
Snow Alliance
Scholar Tree Alliance

ECUADOR
Coordinadora Ecuatoriana de Organizaciones para la Defensa de la Naturaleza y el Medio Ambiente – CEDENMA

FINLAND
EKOenergy ecolabel

GERMANY
Urgewald (Germany)

GHANA
AbibiNsroma Foundation

INDIA
All India Women Hawkers Federation (AIWHF)
Conservation Action Trust
Environics Trust
GrowthWatch
Himalaya Niti Abhiyan (HNA)
Indian Social Action Forum – INSAF
Minerals and Inheritors Rights Association (MIRA)
Nadi Gadi Morcha (NGM)
National Hawker Federation (NHF)
Poovulagin Nanbargal
River Warrior Indonesia (REWIND)

INDONESIA
350.org Indonesia
Aksi! for gender, social and ecological justice, Indonesia
Aksi Ekologi & Emansipasi Rakyat (AEER), Indonesia
Aliansi Zero Waste Indonesia
Brantas River Waterkeeper,
Ecological Observation and Wetlands Conservation (ECOTON)
Enter Nusantara
Green Partner Foundation (Yayasan Mitra Hijau/YMH).
Gerakan Indonesia Diet Kantong Plastik
Institute for Essential Services Reform (IESR)
Jaringan Nasional Advokasi Pekerja Rumah Tangga (JALA -PRT)
Koalisi Rakyat untuk Hak atas Air (KRuHA)/ People’s Coalition for the Right to Water
Koprol Iklim
Nexus3 Foundation
Satya Bumi, Indonesia
Trend Asia
Wahana Lingkungan Hidup Indonesia (WALHI/Friends of the Earth Indonesia)
Yayasan Srikandi Lestari

ITALY
ReCommon

JAPAN
Friends of the Earth Japan
Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES)
Kiko Network
Mekong Watch

LAOS
Green Vientiane

MALAYSIA
Environmental Protection Society
Sahabat Alam Malaysia (SAM) – Friends of the Earth Malaysia

MYANMAR
Karen Environmental Social Action Network (KESAN)
Karen Rivers Watch (KRW), Myanmar
Save the Salween Network (SSN), Myanmar
Thant Myanmar

MONGOLIA
Oyu Tolgoi Watch
Ecosoum NGO

NEPAL
Digo Bikas Institute (DBI)

NETHERLANDS
Just Finance International

PAKISTAN
Agrarian’s Collective Pakistan
Akhuwat Kissan
Anjuman e Muzareen e Punjab
Cholistan Development Council
Clean and Green Khai
Climate Activists Collective
Community Developers Association (CDA)
Crofter Foundation
Feminist Collective Pakistan
Gilgit-Baltistan Social Welfare Organization
Haqooq e Khalq Movement
Home Net Pakistan
Indus Consortium for Humanitarian, Environment and Development Initiative
Kissan Ikkat
Kissan Karkeela
Kissan Ravi Club
Labour Education Foundation
Labour Qomi Movement
Pakaid
Pakistan Kissan Rabita Committee (PKRC)
Pakistan Fisherfolk Forum (PFF)
Pakistan Institute of Labour Education and Research (PILER)
Policy Research Institute for Equitable Development (PRIED)
Progressive Student’s Collective
Sanga
Sawera Foundation
Sindh Hari Porchat Council
Sustainable Development Policy Institute (SDPI)
Tameer e Nau Women’s Worker Organization
Textile Powerloom Garments Workers Federation
Vision Building Future
Visionary Forum
Young Reformers

PHILIPPINES
Aniban ng Mangagawa sa Agrikultura (AMA)
Angat-GenC – Generation Climate
Atimonan Power for People
Break- free Pilipinas, Break – free from Fossil Gas – Philippine Campaign
Bukluran ng Manggagawang Pilipino (BMP-Workers Solidarity)
Camarines Norte Movement for Climate Justice
Center for Energy, Ecology and Development, Philippines
Center for Renewable Energy and Sustainable Technology
Concerned Citizens of Sta. Cruz , Zambales
Gitib, Inc.
Initiatives for Dialogue and Empowerment through Alternative Legal Services (IDEALS, Inc)
Justice, Peace and Integrity of Creation Commission-Conference of Major Superiors in the Philippines
Kanlungan Centre Foundation Inc
Koalisyon Isalbar ti Pintas ti La Union (Coalition to Save the Beauty of La Union)
Kongreso ng Pagkakaisa ng Maralita ng Lungsod (KPML)
Legal Rights and Natural Resources Center – FOE Philippines
Limpyong Hanging para sa Kaugmanon sa Tanan (Clean Air for ALL) -Toledo, Cebu
Oriang Women’s Movement
Partido Lakas ng Masa (PLM)
Philippine Movement for Climate Justice (PMCJ)
Piglas- Batangas
PMCJ- Cebu
PMCJ- Davao
PMCJ-Eastern Visayas
PMCJ- Western Mindanao
Quezon for Environment (QUEEN)
Tagapagtanggol; ng Kalikasan sa Pagbilao (TKP)
S.A.V.E Luna
SANLAKAS
Youth for Climate Justice ?Mindanao
Youth for Climate Justice ?Tacloban
ZALIKA ( Zambales Lingap Kalikasan)
Zambales Movement for Climate Justice

SOUTH AFRICA
WoMin African Alliance

SRI LANKA
Center for Environmental Justice (CEJ/ Friends of the Earth Sri Lanka)

THAILAND
Ecological Alert and Recovery – Thailand (EARTH)
Thai- Climate Change Action Network
Thai Climate Justice for All

USA
Bank Climate Advocates
Friends of the Earth United States
Global Justice Ecology Project

VIETNAM
ActionAid Vietnam
Vietnam Zero Waste Alliance (VZWA)

ZIMBABWE
Centre for Natural Resource Governance

 

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