COP16 (メキシコ・カンクン会合)
COP16に向けて
2010年11月29日~12月10日の2週間、世界各国の人々が将来に向けた気候変動への取り組みをどう進めていくか、話し合いを行うためメキシコ・カンクンに集まり、気候変動枠組条約第16回締約国会議と京都議定書第6回締約国会合が開かれます。
Friends of the Earthは、先進国に対し、歴史的な温室効果ガスの排出責任を認め、国内での大幅削減を約束するように求めています。私たちが、本当に地球温暖化を止めたいのであれば、そして気候変動影響を防ぎたいのであれば、国際社会が公平かつ公正な合意に至ることが欠かせません。
COP16とは?
気候変動枠組条約では、「共通だが差異ある責任」として、先進国が圧倒的に多くの温室効果ガスを排出していることと、真っ先に国内削減を実施すべきであることが共通認識とされています。1997年12月の京都会議(COP3)で誕生した「京都議定書」の第一約束期間は2012年までで、現在は第一約束期間終了後の2013年以降の次期枠組を議論しています。
昨年のコペンハーゲン会合COP15では、京都議定書の尊重すべき性質をそのままに、より厳しく効果的で、さらに人権や環境社会配慮を保障する第二約束期間の枠組が合意されると期待されていました。しかしさまざまな理由から合意には至らず、「コペンハーゲン合意」という文書を表しただけにとどまりました。
※国際交渉の簡単な歴史についてはCOP15のページをご覧ください。
(2009/12/21FoEJプレスリリース「コペンハーゲン交渉の失敗は温暖化加速のおそれ」)
国際交渉に参加する各国の交渉官は、コペンハーゲン会合での失敗に立ち、今までの交渉を積み上げなおし前進させる努力を続けています。時間的にも、また積み残されている内容から考えても、第二約束期間の枠組が合意されるのは来年のCOP17(南アフリカ)とみられていますが、それに向けて今回のカンクン会合がどのような合意に至るのか、注目されます。
次期枠組に「クライメート・ジャスティス」を!
地球温暖化は、一部の人間による持続不可能で不公平な化石燃料や木材等の過剰消費の結果として引き起こされています。しかしすでに影響を受けているのは、途上国など世界でも最も脆弱な人々の生活と生態系です。現在実施される気候変動対策もまた、先進国の過剰消費を維持し続けることを前提とするゆえに、地球温暖化の助長や新たな破壊をもたらす危険性が懸念されます。
Friends of the Earthは、現在の市場主義経済や開発パラダイムを根本的に変化させない限り、気候変動問題の解決はないと考えます。私たちは、気候変動交渉および気候変動対策において、『クライメート・ジャスティス(気候の公平性)』を訴え、気候債務の返済(歴史的排出に基づく排出削減と影響地域、住民への支援責任)と、すべての人々と将来世代が地球の資源を公平に享受できる社会の構築の実現を求めています。
今後の国際交渉を通して得られる次期枠組みは、クライメート・ジャスティスに基づいた合意でなければなりません。もし公平性や公正性に欠けた合意が生まれてしまえば、将来世代に負の遺産を残すことになります。もはや責任逃れや先延ばしのための議論などにかける時間はないはずです。
FoE がCOP16に求めること
1. 先進国は大幅かつオフセットに頼らない排出削減を今すぐに。オフセットは解決策ではない。
2. 森林を利用したカーボン・オフセットによって目をそらずに、
気候変動と森林減少対策の両問題の本質的な解決策を。
3. 気候変動対策の公的資金は、全て国連を通すべき。世界銀行を通してはならない。
4. コチャバンバ合意は、国連の気候交渉で行われる非生産的な提案と不均衡な力関係に対する、
大切なカウンターバランスだ。
5. クライメート・ジャスティス(気候の公平性)の実現を。
クライメート・ジャスティスとは、先進国が排出を削減しなければならないこと、そして途上国が
クリーンに成長しつつ気候変動の影響に適応する資金提供をしなければならないこと。
このためには先進国が排出削減を行い、消費パターンを改めなければならない。
◎詳しくはこちらをご覧ください。
参加しよう
FoE Japanは、私たちの未来をも左右するこの重要な決定を下す国際会議に向けて、公平かつ効果的な合意を実現を求める市民の声を届けます。多くの市民参加は、政府代表団に公正な判断をさせるための有効なプレッシャーとなります。
日本からも参加できるネット上のアクションや、日本で開催されるイベントもあります。ぜひ参加してCOP16の成功とクライメート・ジャスティスの実現を求める声を届けましょう!
●緊急サイバーアクション「日本政府に“温暖化交渉をつぶさないで!”とメールを送ろう」
COP16の初日、日本政府は「京都議定書の第2約束期間は拒否する」と発表しました。このような日本政府の姿勢は、自らの排出削減の責任を放棄していることを示しています。(2010.12.1 FoEプレスリリース)
こうした姿勢を見直してもらうため、みんなで声をあげ、菅総理大臣に届けるサイバーアクションを行っています!みなさまのご参加をお願いします!!
●世界中で立ちあがろう「クライメート・ジャスティス実現のために、みんなでカンクンヘ!」
FoEでは、12月7日を「1,000カンクン」の日としてアクションを行います。
以下のバナーをクリックすると、世界各地でのアクションの様子を見ることができます。
→FoE Japanの日本でのアクションについて、報告はこちら。
●FoEインターナショナルは、公平で公正な交渉を求めるサイバーアクションを随時行っています。
日本からも参加できますので、みなさんもぜひアクションを起こしましょう!
2010.12.03 メキシコ大統領へ「公平でオープンな交渉を行って」(英語)
2010.12.01 緊急サイバーアクション「日本政府に“温暖化交渉をつぶさないで!”とメールしよう」
2010.11.29 メキシコ外務大臣へ「気候交渉での間違いを再び犯すことはしないで」(英語)
●FoE Japanの日本でのアクション:12月4日のグローバルアクションデイと合わせ、FoE Japanが事務局をつとめるMAKE the RULEキャンペーンとともにアクションを行います。
12月4日(土)は渋谷へ!「気候変動グローバルアクション:渋谷でシロベエとハイタッチ!」
→FoE Japanの日本でのアクションについて、報告はこちら。
●FoEヨーロッパはクライメート・ジャスティスを訴えるイベントを予定。詳しくはこちら(英語)。
●ヤングFoEヨーロッパ(YFoEE)は、COP16の開幕を控えた11月26~29日にブリュッセルで「European Assembly for Climate Justice」を開催しました。
会議開催中、引き続きブリュッセルを拠点にカンクンでの交渉の様子を伝えるとともに、様々なイベントが行われる予定です。オンラインアクションには、日本からも参加可能!詳しくはこちら(英語)。
発表資料・現地レポート
2011.01.05 COP16報告② ~対極の孤立:日本の京都潰しか、ボリビアの母なる大地か~
2010.12.27 COP16交渉の森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減(REDD+)に関する評価
2010.12.11 FoEインターナショナル発表「カンクンパッケージ、決裂は避けても京都議定書を失う恐れ」
2010.12.09 FoEインターナショナル発表「諸政府に対し、REDDに走らず効果的な森林保護にフォーカスすることを求める」(英語)
2010.12.08 COP16報告① ―これまでの振り返りと閣僚級会合への期待―
2010.12.08 FoEインターナショナル発表「世界銀行は、カーボン市場や気候資金から手をひくべき」
2010.12.06 FoEインターナショナル発表「カンクン第2週目にむけて:FoEインターナショナルの分析」
2010.12.04 FoEインターナショナル発表「豊かな国々は、京都議定書を破棄する可能性をもつプロセスで構築されるシークレット・テキストは、いかなるものでも認めてはならない」
2010.12.03 市民社会からCOP議長国のメキシコ政府へのオープンレター
市民社会は透明で民主的なプロセスを求めます!
2010.12.01 FoE記者会見・プレスリリース「日本、気候交渉の進展の脅威に」
2010.11.30 FoEインターナショナルサイドイベント報告「クライメートファイナンス-善、悪、醜悪」
2010.11.29 FoEインターナショナルプレスリリース「Redd: the realities in black and white」(英語、PDF)
FoEインターナショナル「Find out more about International Climate Finance」(英語、PDF)
◎リアル・ワールド・ラジオ「クライメート・ジャスティスとエネルギー」(英語、スペイン語など)
以下は、毎日更新された記事からセレクトしたものです。カンクンでの人々の動きを知ることができる生の声を、ぜひ直接「リアル・ワールド・ラジオのページからご覧ください。
2010.12.10 Earth Calling Moon
FoEインターナショナル代表のニモ・バッセイが全体会議で発言
2010.12.07 Cold Production
農民たちがCOP16に対し提言。あわせてプロセスに対する疑問を表明
2010.12.07 Life and Climate Justice
12月5日日曜日午前中カンクンで行われた、クライメートジャスティスなどを求めるパレード
2010.12.06 Building Solutions
12月4日土曜日の「生命、環境、社会的正義を求めるグローバル・フォーラム」開幕式
2010.12.05 Not Here
12月3日金曜日Jubilee Southによる世界銀行の気候資金関与を拒否するパレード
2010.12.04 Turning Point
京都議定書をめぐるデリケートな情勢
2010.12.03 Death Blow
京都議定書の議論において日本がとどめをさすことを表明
2010.12.03 In Front of Everyone
FoEメキシコのドミンゴが開会式において透明なプロセスと強力な約束を求めて発言
2010.12.03 On Time
FoEエルサルバドルへのインタビュー
2010.12.01 Right Now、Deceitful Figures
11月30日に行われたFoEインターナショナルサイドイベント報告
2010.11.30 Doubts
気候交渉初日で明らかになった不確実性
2010.11.26 Impending Danger:Just days before Cancun
FoEクライメート・ジャスティスプログラムコーディネータへのインタビュー