COP16 (メキシコ・カンクン会合)
カンクン第2週目にむけて:FoEインターナショナルの分析
FoE インターナショナル
2010年12月6日
メキシコ、カンクン
カンクンでの国連気候交渉の第2週目において、最大のチャレンジは、科学と公平性に基づいた先進国の総量目標を―炭素市場やオフセットのような抜け穴なしで―メカニズムとして組み込んだ京都議定書を保つこと、そして自主的な宣言目標に基いたパラダイムへの道を開きたい先進国によって京都議定書が脇道に押し出されるのを止めることです。FoEインターナショナルはこのゴールを達成するために、カンクンで「グリーン・ルーム」を経ることのない、オープンで透明なプロセスを求めます。
先週、豊かな国々は京都議定書の最終的に崩壊させるための基礎工事を試みました。彼らはアメリカが後押しするコペンハーゲン合意の鍵となる特徴を運用させたいのです。中でも特に、「長期協力行動(Long-term Cooperative Action:LCA)」の交渉トラックにコペンハーゲン合意の緩やかな緩和宣言を「書き入れる」ことで、法的拘束力があり科学に基づいた先進国全体の総排出目標を設定する京都議定書のプロセスを避けようとしています。さらに、交渉テキストのあちこちに拡大した炭素市場が姿を表してきました。
京都議定書に関して先週末に出された新しい交渉テキストは、先進国の総量目標を含んでおらず、「土地利用・土地利用変化及び林業(Land Use, Land-Use Change and Forestry: LULUCF) 」においては明らかな抜け穴が付け加えられました。
(LULUCFなど森林吸収源について詳しくは、「温暖化と森林」のページをご覧ください)
FoEインターナショナルは、この交渉トラックに参加する国々に対し、総量目標を抜け穴なしで定めるために動き始めるよう、強く求めます。もう一方のLCAトラックにおける新しいテキストでは、気温上昇をより安全なレベルに制限するための参照文を含む、途上国からの重要な提案が削除されました。
FoEドイツのマニュエル・グラフは言います。
「私達はまだ破滅的な気候変動を避けることができます。しかしこの問題に責任がある豊かな国々は、そのために必要な強力で公正な政策をつくる邪魔をしてはなりません。私達は京都議定書のもとで総量目標を設定しなければならず、豊かな国々はそのために少なくとも40%の排出量を、炭素市場、オフセットや抜け穴なしで削減しなければなりません。」
FoEアメリカのケイト・ホナーは言います。
「アメリカは、科学や公平性を考慮しないで排出削減量を設定することができる宣言ベースのシステムを、他の国が認めるように脅そうとするのをやめなけれはなりません。
最悪の場合気温が5℃も上がることが分かっているのです(*1)。こんなことは認められません。」
(*1)11月23日国連環境計画(UNEP)発表の研究による
FoEブラジルのルチア・オルテスは言います。
「“グリーン・マン”によって招待されたという一部の交渉官や大臣達から構成されるいわゆる“グリーン・ルーム”が交渉テキストに反映する事項を検討しているとのことですが、気候変動によってゆっくりと死につつあるこの世界を守るための複雑で不可欠なプロセスにおいて、必要な透明性が担保されていません。先週、途上国がプロセスの透明性をさらに高めるように求めたプレッシャーは大変重要であり、私達はまったく同じことが今週も起こることを期待しています。」
明日(12月7日)、FoEインターナショナルはクライメート・ジャスティスの旗のもとに世界を動かそうとしているカンクン、そして世界中の何千人もの人々と共に行動します。先進国には大幅かつ拘束力のある排出削減目標を求め、オープンなプロセスを求め、そしてメキシコ議長にはそのようなプロセスを確保するという公約に対して説明責任を果たすことを期待します。
◎FoEインターナショナルによるオリジナル文書はこちら(英語)