COP16 (メキシコ・カンクン会合)
世界銀行は、カーボン市場や気候資金から手をひくべきである
2010年12月8日
メキシコ、カンクン
世界銀行総裁のロバート・ゼーリックは今日、途上国のカーボン市場の開設を促進するための、数百万ドル規模の基金の設立をカンクンでの気候変動交渉にて発表します。FoEインターナショナルは、カーボン市場および、世界銀行の気候変動と排出権取引における非合理な関わりに強く反対します。
FoE米国のカレン・オレンスタインは、次のように述べています。
「カーボン市場には、気候変動に対処するための手段としては根本的な欠陥があります。カーボン市場は、不確実で信頼が置けないだけでなく、詐欺の対象とされやすく、環境保全を弱体化させるオフセットの抜け穴への扉をも開いてしまいます。それはまた、先進国の過剰な消費を促進し、元来、この気候上の危機をもたらした経済の仕組みをさらに定着させるのです。」
FoE南アフリカのシジウェ・カニィリは、次のように述べています。
「世界銀行は、南半球において石油、石炭、天然ガスへの出資を行い、地球規模の森林破壊を行ってきました。さらにあらゆる途上国において人権と環境権を踏みにじってきた巨大な気候汚染主体です。世界銀行が気候資金から手を引くべき時はとっくに過ぎています。そして、カーボン取引のような誤った解決策に投資する事によってその財源を満たすことを、きっぱりとやめるべきです。」
FoEインターナショナルは、カーボン市場の開設が途上国の利益になるとは信じていません。先進国に例をとるならば、オフセットは明らかに気候変動への解決策ではありません。カーボン・オフセットは、カーボン市場の拡大から多大な利益を得る、世界銀行のようなカーボン取引事業にのみ利益をみたらすのです。気候変動への唯一の対策は、主に先進国において、我々の消費、排出、そして、化石燃料への依存を根本的に削減する事です。
カンクンにおいて、気候変動枠組条約の完全な権限の下で、地球規模の気候基金を設立しなければなりません。そして、それは世界銀行やその他の多国間開発銀行に、いかなる関わりも持ってはなりません。さらに先進諸国は、正義と公平性を必要とするのに相応な公的資金を、この基金に拠出しなければなりません。
FoEインターナショナルは、今日、世界各国の社会運動や市民社会と共に、世界銀行が気候資金から手を引くように要請しています。さらにカンクン交渉に参加している諸政府に対し、気候資金への新規かつ追加的な公的資金の拠出、及び世界銀行を排除したUNFCCCの権限下での地球気候基金の確保を呼びかける公開文書に署名しました。
◎FoEインターナショナル発表の原文(英語)はこちら