南極保全
ASOCプレスリリース:国際社会が南極海のロス海に海洋保護区制定に合意!
※仮訳:FoE Japan
※原文はこちら(英文(ASOCサイト)
オーストラリア、タスマニア、ホバート:南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)は本日、ロス海の有する素晴らしい科学的、および生物多様性の価値を認め、ロス海に100万km2を越える海洋保護区を制定することに合意した。
CCAMLRは2009年、南極海に海洋保護区域の構築にコミットし、数年にわたりロス海と東南極におけるMPA制定について議論してきた。南極南大洋連合(ASOC)事務局長クレア・クリスチャンは「ASOCはCCAMLRがロス海の155万km2を保護し、そのうち112万km2は特別調査ゾーンに指定された残りの地域ともども完全に保護することに感動している。他方、我々はCCAMLRがロス海を恒久的に保護することに合意できなかったことに失望しているが、同時にCCAMLRはこの地域の保護価値を認識し、35年間の間に更新すると確信している」と述べた。
ロス海は世界で最も重要な原生的な海洋生態系の残る地域の一つとして認識されてきた。ロス海に残る生態系は、海洋生態系の機能を理解するための理想的な自然の実験室を科学者たちに提供している。ロス海は世界の38%のアデリーペンギン、26%の皇帝ペンギン、30%以上の南極フルマカモメ、6%の南極ミンククジラ、そしておそらく30%を超えるロス海シャチなどの貴重な生息地です。さらにロス海は南極海の高緯度地域において、そこでしか見られない7種を含む最も豊かな魚種の多様性を有している。
ASOCはCCAMLRが南極海におけるオキアミ漁業についても完全に規制する方向で議論を重ねてきていることに対して評価している。「一般保全手段決議51-07を更新することにより、オキアミ漁業が狭い地域に集中せず、漁獲制限を予防的水準に維持することができる。漁業が狭い地域に集中すると、特に繁殖期のペンギンやアザラシの群生地に負の影響が及ぶ。この対策の更新は、ペンギン、アザラシ、および他のオキアミ捕食者を飢餓の危険から守るだろう」とASOC上級顧問ロドルフォ・ワーナーは述べた。
CCAMLRは、オキアミに依存する捕食者に対する漁業や気候変動の影響に対応するCCAMLR自身の能力を強化すべく、リスク評価プロセスも導入した。
CCAMLRは、会議開催中に気候変動に対処するための小さいながら重要なステップを踏んだ。主要な科学的問題に取り組み、情報格差を埋めるための気候変動作業計画を策定することは合意されていたが、気候変動影響の検討強化のためにCCAMLRメンバー間の会合間協議も継続されたからだ。しかしながらASOCはCCAMLRに対し、気候変動と海洋酸性化とをCCAMLRの意思決定プロセスと管理ルールに組込むべく、より迅速に動くことを要求した。「気候変動により、氷の消失や海洋の温暖化と酸性化のリスクが増し、南極大陸全体の生息地や生物多様性に深刻な影響がおよんでいる。これらの変化は世界中の気候・気象に直接的な影響を及ぼすため、CCAMLRは緊急に取り組む必要がある」とASOCのメンバー団体であるWWFの海洋科学者クリス・ジョンソン氏は述べた。
●関連情報:
>メディアリリース:CCAMLR、世界最大規模の海洋保護区を制定!(英語)
>FoE Japan、第35回南極の海洋生物保存に関する委員会(CCAMLR)開催に向けた日本政府への要望書を提出