問題と視点
日本の気候変動政策
省エネプロジェクト
温暖化の影響
健康問題
地球温暖化は近年の目を見張る医学の進歩を台無しにしてしまう可能性もあります。熱射病や熱中症の増加、また、呼吸器疾患患者やアレルギー患者の数も大気汚染物質、花粉、カビの胞子、森林火災が増えることによって増加すると見られています。異常気象によっても、精神的ストレスや汚染された水資源によるコレラのような病気の蔓延が懸念されます。
この他にも、媒介生物の生息地域が気温の上昇で拡大することによる媒介性疫病の蔓延があげられ、特にマラリア、デング熱、黄熱、ライム熱、ウィルス性脳炎などの媒介性疾患の発生が懸念されます。日本も亜熱帯気候に似た気候帯に入るため、マラリアを媒介するハマダラ蚊の生息地になる可能性もあるのです。
伝染病の中でも、マラリアの蔓延が特に懸念要因となっています。現在、24億人がマラリア感染していてもおかしくない状況で、毎年1億人が死亡しています。人口増加に伴い、マラリアに感染する人の数は上昇すると見られ、気候変動によるマラリアの生息地域の拡大で状況が悪化すると予測されます。2080年までに、さらに2億9000万人がマラリアのもっとも危険な種である熱帯マラリアに感染する危険性があります。もっとも被害の拡大が大きいのは中国と中央アジアで、アメリカ西部の一部、中国、ヨーロッパ諸国、中央アジアでは一年のうちでマラリア発生時期が最大5ヶ月伸びることが予想されています。
気候変動が及ぼす健康への影響は適切な医療サービスが供給されているかどうかで大きく変わってきます。裕福な国々では被害を最小限に食い止めることができるかもしれませんが、医療設備が行き届いていない貧困国では被害が大きくなる可能性があります。