【プレスリリース】フィリピンと日本の環境団体、日本のJBICに対しバタンガスLNGターミナルへの支援撤回を要請

化石燃料2022.11.17

フィリピンの市民団体からJBICに対する要請書はこちら

日本の市民団体からJBICに対する要請書はこちら

本プレスリリースの英語版はこちら


プレスリリース|2022年11月15日

気候・環境問題に取組む団体とコミュニティの関係者は、フィリピン・バタンガス州のイリハンで計画されている液化天然ガス(LNG)ターミナル事業から、アトランティック・ガルフ&パシフィック社(AG&P)に出資する国際協力銀行(JBIC)が撤退するよう要請した。

CEED(Center for Energy, Ecology and Development )とProtect VIP ネットワーク(VIP:ヴェルデ島海峡)を中心に、環境団体は、石油・ガス・石炭事業に世界最大の公的資金を提供していることが明らかになった日本が、フィリピンでさらなるガス事業を推し進めることを非難した。

CEEDによる最新の特別報告書「Financing a Fossil Future: Special Report on High Prices and Fossil Gas Expansion in SEA」(化石燃料の未来への融資ー東南アジアにおける価格高騰と化石燃料ガス拡大に関する特別報告書)がG20とCOP27の両会議にあたり行われたサイドイベントで発表されたが、本報告書は東南アジア全体における化石燃料ガスへの三大融資者が日本の金融機関であることを明らかにした。

「日本は、とどまるところを知らない金融支援によって、より多くの化石燃料事業を世界中に溢れさせており、私たちの最新の報告書が示しているように、東南アジアにも目を向けています。化石燃料への投融資は環境を脅かすだけでなく、より深刻な電力危機を誘発し、クリーンエネルギーの未来から私たちを遠ざけています。」と、CEEDのGerry Arances事務局長は述べた。

環境団体は以前から、世界で最も生物多様性に富んだ海洋生息環境であり、「海のアマゾン」と呼ばれるヴェルデ島海峡(VIP)に対して、この汚れたガス事業が直接的な脅威となることを警告してきた。

「推進派はしばしば、化石燃料ガスが実際には破壊的であるという認識が世界的に高まっているにもかかわらず、『クリーンなエネルギー源』であると主張しています。これらの事業やインフラは、VIPの海底や周辺の生命を深刻に脅かしています。この問題の緊急性は明白です。私たちは、地方自治体や中央政府が直ちに行動を起こすこと、また国際的な融資者らが自身の環境ガイドラインにおける主張に忠実であること、VIPを危険に晒すあらゆる投資の流れを断つことを要求し、かつ期待します。」と、ゴールドマン賞受賞者でProtect VIPの主たる呼びかけ人であるEdwin Gariguez神父は述べている。

日本の環境団体FoE JapanがJBIC東京本店に届けた(フィリピン市民社会からの)公開の要請書には、農地改革省(DAR)が先日、イリハン村とデラパス村での無許可で拙速に過ぎる土地転換等を踏まえ、AG&P社に対する停止命令(CDO)を出したことが記されている。フィリピン・ココナッツ庁は、事業地の所有者による違法伐採の状況証拠について言及している。

AG&Pの事業は、LNGターミナルの状況証拠があるにもかかわらず、DARからの土地転換令やフィリピン・ココナッツ庁からの木の伐採許可を確保できておらず、以前から物議を醸してきた。

FoE Japanは(日本の団体から)別途提出した要請書で、同事業が「社会的合意」の欠如や 「重要な自然生息地」の著しい転換・劣化など、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(ガイドライン)の複数の規定に違反しているため、直ちに同事業の工事を停止するとともに、同事業に対する出資を止めるようJBICに対して要請した。

「G20首脳会議が今日始まるにあたり、私たちは日本の誤った気候変動対策に反対する声を上げます。私たちはJBICに対し、フィリピンのイリハンLNGターミナル事業の工事作業を直ちに停止し、同事業から撤退することを求めます。」とFoE Japanの波多江秀枝は述べている。

日本は石油・ガス・石炭事業に対する世界最大の公的資金供与国であり、2019年から2021年まで年平均106億ドルの資金を拠出してきた。

「現在、エジプトで開催中の気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)では、日本の化石燃料への巨額の公的支援が再び非難の的となっています。貴行がフィリピン現地、また国際社会からの声に真摯に耳を傾け、フィリピンでのLNGターミナル事業を含む化石燃料への投融資支援を停止するよう、改めて強く求めます」と、日本の団体からJBICへの要請書には書かれている。

COP27での生物多様性デーの前日、環境団体は、金融機関が天然資源を保護する事業に関心を向け、化石燃料への投融資から手を引く必要性を強調した。

「世界の指導者たちは、明日、エジプトで気候危機の解決策や緊急になすべきことに取り組みますが、私たちは、地方自治体や国の政府指導者たちにも同じことを要求します。生物多様性の損失や破壊に対して自然が抗う余地を残したいのであれば、生物多様性という議題はCOPの外でさえも優先されるべきであり、エジプトではもちろん成功させなければなりません。」とGerry Arancesは締めくくった。

問い合わせ先

国際環境NGO FoE Japan 
電話: 03-6909-5983 または、問合せフォーム

 

関連する記事

【プレスリリース】海洋生態系の破壊と違法性の問われるフィリピンLNGターミナル開発―国際協力銀行は工事の即時停止と出資引き揚げを!

化石燃料

世界海洋デー:ガス開発から「海のアマゾン」を守ろう!ーフィリピン市民団体がガス開発による海洋生態系への悪影響に警鐘

化石燃料

【フィリピン市民団体のプレスリリース】化石燃料への融資終了に合意したG7コミュニケへの日本の参加を受け、JBICに対し生物多様性ホットスポットでのLNG開発事業から撤退するよう要請

化石燃料

【プレスリリース】「海のアマゾン」を守って!フィリピンのガス開発で海洋生態系の危機――フィリピンと世界の106市民団体が日本を含む各金融機関に撤退要請

化石燃料

フィリピン・イリハンLNG 輸入ターミナル事業とは?

化石燃料

関連するトピック

関連するプロジェクト