【プレスリリース】海洋生態系の破壊と違法性の問われるフィリピンLNGターミナル開発―国際協力銀行は工事の即時停止と出資引き揚げを!

脱化石燃料2022.10.20
イリハンLNGターミナル建設現場(FoE Japan撮影)

2022年10月19日

地球上、最も生物多様性豊かな海洋生息環境の一つとして知られるフィリピンのヴェルデ島海峡(The Verde Island Passage: VIP)――そこで建設が進められている「イリハンLNG輸入ターミナル事業」に関し、今年8月、フィリピン当局から工事停止命令が出されていたことがわかりました。同開発の事業者には、国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)と大阪ガスも出資しています。

2022年5月、フィリピンの市民団体は、同事業に係る土地用途の転換に関する承認を農地改革省から得ずに開発を進めたことが違法行為ではないかと申立てを行っていました。今回の決定は、その指摘を認めたもので、2022年8月8日付で農地改革省が「継続中の開発行為を早急に停止するよう」命令を発したものです。

同事業については、海洋生態系の破壊、また小規模漁業や観光業など住民の生計手段に対する悪影響などから、強い反対の声が現地で上げられてきました。この10月14日にも、住民と支援団体が中心となり、上述の工事停止命令を含む違法行為を指摘し、同事業の環境適合証明書の取り消しを環境天然資源省に求める申立てが行われました。

『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(ガイドライン)では、「相手国及び当該地方の政府等が定めた環境に関する法令や基準等を遵守しているかどうかを確認」すること、また「プロジェクトは、プロジェクトの実施地における政府(国政府及び地方政府を含む)が定めている環境社会配慮に関する法令、基準を遵守しなければならない」ことが規定されています。JBICは自らが出資する企業が事業者として進めているLNGターミナル事業において、当局の決定を重く受け止め、まずは同工事の即時停止に向けた措置を早急に講じるべきです。また、ガイドラインの要件を明らかに満たしていない同事業からは出資を引き揚げるべきです。

イリハンLNGターミナル建設現場(FoE Japan撮影)

以下は、環境適合証明書の取消しを求めた申立てに関するフィリピン市民団体によるプレスリリース(和訳)です。


バタンガスLNG開発事業の環境法違反――

事業の停止を環境天然資源省に要請

プレスリリース|2022年10月14日

Protect VIP(ヴェルデ島海峡:Verde Island Passage)、BMB(Bukluran ng mga Mangingisda sa Batangas:バタンガス漁民団結)、カリタス・フィリピン、CEED(Center for Energy, Ecology, and Development)が主導する現地のステークホルダーと支持者は金曜、サンミゲル社の子会社エクセレント・エネルギー・リソース社(SMC-EERI)とアトランティック・ガルフ・アンド・パシフィック社のリンシード・フィールド社(AG&P-Linseed)による環境法違反について、申立書を環境天然資源省 環境管理局(DENR-EMB)に提出しました。

AG&P-Linseedはバタンガス市に液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル施設を、SMC-EERIはその隣接地に1.75ギガワット(GW)のLNG発電所を建設しています。どちらの事業も、ヴェルデ島海峡の生物多様性と、それに依存する人々の生計手段を脅かしています。

「SMC-EERIとAG&P-LinseedがLNG施設の稼働を目指す中で、環境保護に関する規則、規制、法律をどのように扱っているのか、私たちは非常に懸念しています。仮に施設が稼動した場合、そうした態度がVIPに不利益をもたらすのではないかと恐れています」と、Protect VIPの主たる呼びかけ人である、Edwin Gariguez神父は述べています。

申立書では、三つの違反行為が指摘されています。一つ目は、フィリピンココナッツ庁からココナッツの木の伐採許可を取得していないにもかかわらず、企業が建設を続けていること。二つ目は、DENRから木の伐採許可を取得していないこと。三つ目は、農地改革省(DAR)から土地転換令を取得していないことであり、これは事業の環境適合証明書(ECC)を取り消す理由となります。(このうち、3点目について、)DARは2022年8月8日、SMC-EERIとAG&P-Linseedに対し、両社の法律違反を理由に停止命令を出しました。

「電気のためのガスは私たちに必要ありません。フィリピン人の電気代を押し上げ、環境を破壊し、ヴェルデ島海峡の美しさと海峡に依存する多くの人々の食と生計手段を脅かすだけです。両社の手段についても目的についても正当化できる理由は何もありません。私たちは、DENRが私たちの苦情に迅速に対応し、この地域がこれ以上被害を受けないよう、ECCを取り消すことを要請します」と、CEEDの事務局長でProtect VIPの共同呼びかけ人のGerry Arancesは述べています。

バタンガス州は、化石燃料がヴェルデ島海峡の繊細な生態系にもたらす危険性にもかかわらず、15件のLNG開発計画が進行中または提案されており、フィリピン国内におけるLNG拡大の最前線となっています。

「環境を犠牲にして利益を得ることについてローマ教皇フランシスコが警告しましたが、SMC-EERIとAG&P-Linseedはその典型例です。この事業は、遠く離れた場所にいる彼らの投資家を豊かにしますが、私たちの漁民や観光業で働く人々を貧困に追いやるでしょう」とGariguez神父は述べています。



※同事業のファクトシートはこちら

 

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