【フィリピン市民団体のプレスリリース】化石燃料への融資終了に合意したG7コミュニケへの日本の参加を受け、JBICに対し生物多様性ホットスポットでのLNG開発事業から撤退するよう要請

化石燃料
イリハンLNG輸入ターミナル事業地(©︎Center for Energy, Ecology, and Development)

以下、フィリピン市民団体によるプレスリリース(和訳)です。


>プレスリリース原文(英語)はこちら

プレスリリース|2022年5月31日

2022年末までに化石燃料事業への国際的な金融支援を停止するというG7の公約に日本が署名したことを受け、フィリピンと日本の環境団体は、公的金融機関である国際協力銀行(JBIC)に対し、アジアにおける化石燃料ガス開発の拡大を推進している企業や事業への支援、特にフィリピンの海洋生物多様性ホットスポット近辺への支援から撤退するよう要請します。

先週、G7の閣僚たちは、「各国が明確に規定する、地球温暖化に関する1.5℃目標とパリ協定の目標に整合的である限られた状況以外において、排出削減対策が講じられていない国際的な化石燃料エネルギー部門への新規の公的直接支援の2022年末までの終了」に合意しました。

JBICは、ヴェルデ島海峡(The Verde Island Passage: VIP)に面するバタンガス州で輸入LNG(液化天然ガス)用の浮体式貯蔵設備(FSU)と陸上式再ガス化ターミナルを開発しているアトランティック・ガルフ・アンド・パシフィック(AG&P)の出資者であり、株の一部を保有しています。VIPは、フィリピンにおけるガス関連施設拡張の震源地であり、全国の新規LNGターミナル9案件のうち7案件、また新規ガス発電所27案件のうち8案件が計画されています。

「AG&Pに金融支援を行うことで、JBICは貴重な海洋生態系を破壊し、大量の輸入LNGをフィリピンに流し込む堰を切って落とし、化石燃料の未来に我々を縛り付けることになるのです。日本がG7の公約に署名したことは、JBICがフィリピンやその他の国でのLNGへの関与を再考するきっかけになるはずです」と、シンクタンクのCenter For Energy, Ecology and Developemtn(CEED)事務局長のGerry Arancesは述べました。

VIPは、世界で認知されている近海魚種の60%以上が生息する海洋回廊であり、世界で最も生物多様性の豊かな海洋生息地のひとつであり、それが「海のアマゾン」と呼ばれる所以です。VIPでのこの3 MTPA(年間300万トン)のプロジェクトは、関係団体からの反対と、環境および社会的な許容性に関する違反に基づいた少なくとも3件の訴訟に直面しています。 

「JBICにとって、AG&PとそのLNGターミナル事業から撤退することは、この事業に起因する厄介事から自身を守ることになり、日本が世界的なエネルギー移行にどれほどコミットしているか証明することにもなります」と、FoE Japanの開発金融と環境キャンペーナーの長田大輝は述べました。

日本は化石燃料に対する世界最大の資金供与国の一つであるにもかかわらず、G7の中で唯一、2021年11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で化石燃料投資の停止にコミットした声明に署名していませんでした。

Oil Change Internationalのアジア・プログラム・マネージャーSusanne Wongは、「日本政府のG7でのコミットメントは、海外での化石燃料支援の終了に向けた重要な一歩です。しかし、日本政府がこのコミットメントを誤って解釈し、アジアや世界各地でガス関連インフラの拡大計画を推進することを非常に懸念しています。JBICは誠実に対応し、ガス事業の拡張支援を止めるべきです」と述べました。

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info@ceedphilippines.com

+63 929 594 0057 (WA, Signal)

www.protectvip.org

 

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