石炭火力問題
【プレスリリース】再び市民の力の勝利!蘇我に引き続き袖ヶ浦も撤退!
東京湾岸の石炭火力はJERAの横須賀の計画のみに
FoE Japanは、大気汚染防止、気候変動防止などの観点からこの中止判断を歓迎します。
詳しくは、下記のプレスリリースをご覧ください。
プレスリリースのPDF版はこちら
国際環境NGO FoE Japan
1月31日、出光興産株式会社、九州電力株式会社並びに東京ガス株式会社は、千葉県袖ヶ浦市中袖で計画していた「(仮称)千葉袖ケ浦石炭火力発電所1,2号機建設計画」(1号機:100万kW/2025年運転開始予定、2号機:100万kW/2026年運転開始予定とされていた)を中止し、九州電力株式会社並びに東京ガス株式会社は同地点で天然ガス火力発電所共同開発の事業実現性検討に着手することを発表しました(注1)。中止の理由について、「本計画は十分な事業性が見込めない」とホームページ上で公表しています。FoE Japanは、連携する地元団体や環境団体とともに、その決断について歓迎します。
本計画に対しては、袖ヶ浦市民が望む政策研究会(袖ヶ浦の会)が中心となり、市民の健康被害、地球温暖化への悪影響などを心配し、2016年から連日の長浦駅や袖ヶ浦駅でのチラシ配布のほか、市民を対象とした勉強会や環境省や千葉県知事への申入れなどを行ってきました。また、2017年から発足した石炭火力を考える東京湾の会としても、東京ガスや出光興産の本社や袖ヶ浦事業所前でのバナーアクションや東京ガス社長宛の「石炭火力の中止」を求めるはがきを送るキャンペーン、株主総会時には東京ガス本社前(浜松町駅)でのバナーアクションを実施してきました。一事業者である東京ガスは、2017年に「石炭はやめてLNGへの切り替えを検討する」と発表していたものの、事業者の最終決定は遅れている状況でした。その理由について、炭鉱や建設予定地の敷地を所有する出光興産側にあるとし、2018年は出光興産社長のみならず出光興産の複数の工場に宛てた、出光興産の方向転換を応援するユニークな手紙アクションや、出光興産本社前(日比谷駅)で社員の通勤時間帯を狙い、石炭火力の中止を求めるアクションを展開してきました。
・住民団体が指摘していた本計画の問題点:
- 建設予定地から半径5km圏内に幼稚園・保育園、小中高校、病院などが立地しており、石炭火力発電所が排出する大気汚染物質による地域住民の健康への影響が無視できないこと
- CO2排出量は年間1200万トン程度と国内最大級レベルであり、気候変動問題に対して世界の脱石炭の潮流に逆行していること
- 日本の重要湿地に指定されている盤洲干潟が建設予定地から3km程の距離に位置しており、発電所からの温排水による生態系への影響が懸念されること
袖ヶ浦の会の弛まぬ活動、そして東京湾の他の計画地の市民団体、気候ネットワークおよびFoE Japanなどの環境団体との強い連携が、今回の事業者の決断を大きく後押ししたものと考えられます。
FoE Japanでは2018年11月、袖ヶ浦の会のメンバーにインタビューを実施しました。その声を映像とインタビューにまとめていますので、ぜひご覧ください。
●映像『日々のくらしの裏側で〜千葉県袖ヶ浦市〜』
●インタビュー記事:
【日々のくらしの裏側で – vol.4】気候変動という危機を放置していいのか?袖ケ浦石炭火力発電所建設計画に立ち向かう人々
しかし、日本には2012年以降の石炭火力発電所の新規建設・計画がいまだに39基(うち稼働済み10基、建設中・計画中29基)あり、東京湾にもJERAによる横須賀の計画が残っています(注2)。FoE Japanは、「事業性がない」ことがすでに明らかとなっている石炭火力発電について、その他の計画も中止としていくことを求め、市民の力を信じ、引き続き地元の市民とともに声をあげていきます。
<関連情報>
・石炭火力を考える東京湾の会:袖ヶ浦火力問題の関連ニュース
https://nocoal-tokyobay.net/tag/sodegaura/
・FoE Japan:電力自由化の負の側面?石炭火力の新規計画ラッシュ!
https://www.foejapan.org/climate/nocoal/index.html
〒173-0037 東京都板橋区小茂根 1-21-9
03-6909-5983 info@foejapan.org
(注1) 出光興産ほかプレスリリース 「千葉県袖ケ浦市における火力発電所開発検討の内容変更について」(2019年1月31日)
https://www.idemitsu.co.jp/company/news/2018/190131_1.pdf
(注2) 石炭発電所ウォッチ(気候ネットワーク)
https://sekitan.jp/plant-map/