フィフティ・フィフティ
東京都杉並区でのフィフティ・フィフティ
地球温暖化防止活動としてのモデル事業
2004年(平成16年度)、東京都杉並区教育委員会はFoE Japanと協同して「学校における省エネと光熱水費節減分還元プログラム」を開始しました。平成16年度はモデル校6校〈小学校4校、中学校2校〉での取り組み、平成17年度以降は区内全67校(小学校44校、中学校23校)を対象にしています。
教育委員会ではFoE Japanとの共同により還元システム構築に向けた調整を行い、各校では教職員のエネルギー使用に関するコスト意識や知識の向上、そして、子どもたちと教職員の協力で独自のアイディアによる省エネへの取り組みが行われています。
学校・教育委員会・NGOそれぞれの役割分担
「エネルギー」を知らない子どもたちの省エネ活動
杉並区でのフィフティ・フィフティ実施では、まず子供たちにこの活動について知ってもらうところから始めました。 いつも子供たちの目に触れて意識してもらえるよう、ポスターにして校内に掲示することにしました。(ポスター①)
学校教育においてはエネルギー教育は5年生頃から始めますが、それでは省エネをするのも5年生からがよいのでしょうか?エネルギーという言葉を習っても、習っていなくても、「省エネ」や「エネルギー」という言葉は子供たちにはピンときません。このポスターでは、そうした言葉を教えるのでなく、省エネとはどういうことなのか、どうして省エネをしなくてはいけないのかということを理解してもらえるように作りました。(ポスター②)
ポスター① | ポスター② | ポスター③ | ポスター④ |
また、ただでさえ漠然としたエネルギーは、どれくらい使ったかなど、目に見えないのでますますわかりません。手洗いのときやトイレに行くとき使った水の量は見えても、教室で勉強しているとき消費している電気量は目に見えません。このポスターでは、これらを見えるようにするためにグラフを作ってもらうことにしました。 毎月各校で使った電気量、ガス量、水道量を、グラフに書きおこしてもらうのです。グラフは過去3年間の平均値と比較して見えるので、過去とくらべて増えたのか減ったのかが一目瞭然です。合わせて金額も書くことで、子供たちは「え~!1ヵ月に電気代20万円も使ってるの~!」ととても驚きます。
月ごとに朝礼で担当の児童が全校児童に向けて発表している学校もあります。(ポスター④)
このポスターは基本的に4枚セットで掲示するものです。そこには、省エネのために自分たちが何をすればよいのかも合わせて書き込むようになっています。クラスごとの行動目標を決めて書いたり、学校全体で省エネのアイディアを募集してポスターに書いたりと様々な活用方法が見られます。(ポスター③)
学校の環境監査”エコオーディット”
目に見えないエネルギーは、自分たちで調べたり測ってみたりして実感するのが一番です。
いくら「電気はこまめに消しましょう」「水は大切に使いましょう」と省エネ行動を呼びかけたところで、照明を1時間使うのにどれだけのエネルギーが必要なのか、1度の手洗いでどれくらいの水を使っているのかがわからなければ、どうもピンときません。
杉並区では、子供向けの家庭での環境マネジメントシステムキッズISOを、数年前から積極的に導入していて、小学校5年生以上はほとんどの子がチェックリストによるエネルギーチェックやメーターの数値確認などを体験しています。
そこで、学校を舞台とした環境マネジメントシステムを、FoE Japanと教育委員会、モデル校の教員の方の協力により作成しました。
・校内エネルギーチェックリスト
・調べてみよう!測ってみよう!
・チームで省エネしよう!
・先生や主事さんにもチェックしてもらおう
電気、ガス、水、資源、それぞれの校内での使用状況を調べて、それをなるべく無駄に使わないように、先生に協力してもらいながら自分たちでプランをたて、実行する構成(PDCAサイクル)になっています。照度計や待機電力計などの道具を使いながら、子供たちが自身の手足を使い、目で見て飽きずに学習できるように工夫しました。
ワークブックは概ね5年生以上を目安に作成していますが、クラス単位、学年単位、電気を中心になど、各校に合ったかたちで取り組んでいます。
☆TV放映されました
2006年5月17日(水) 朝4時15分~
NHK BS-1 番組「news today 30minutes」
杉並区のフィフティ・フィフティの活動がNHKで取り上げられました。
海外向けの国際放送のニュース番組で、原油高騰と関連した話題の中で、ESCO事業とともに日本の省エネ対策のひとつとしてフィフティ・フィフティが紹介されました。
ドイツで始まったフィフティ・フィフティは、今や、国際的なプロジェクトになっています。今後、省エネや自然エネルギーを通じた学校同士の環境教育を通じた国際交流などにも発展していけばと思います。