COP15 (コペンハーゲン会合)
リアルCOP
12月9日
「彼らは京都議定書を潰したがっている!」 >音声・原文
インタビュー:ボリビア国連大使のパブロ・ソロン
ボリビア選挙での地滑り的勝利を遂げたエヴォ・モラレス、ボリビア国連大使のパブロ・ソロン氏への独占インタビューでは、コペンハーゲンでの国連気候変動枠組交渉条約締結会議(COP15)での交渉と、ボリビアの社会運動の役割などについて尋ねました。
ソロン氏は、現在デンマークの首都コペンハーゲンで開催中のCOP交渉のボリビア政府代表団の首脳陣の一人です。ボリビアは、G77+中国(実際には136の途上国と中国)のメンバーの一員でもあります。これらの国々は、先進国への主要な対抗ブロックを構成しています。
気候変動交渉に、気候債務の概念や人類と「母なる地球」の不平等性を強調するなどの先進的な活動から、ボリビアはこのグループ中でも特に重要な立場になってきて
います。
インタビューでは、まずソロン氏に、エヴォ・モラレス氏が日曜日の選挙で63%の票を獲得して勝利したことについての印象を尋ねました。「これは意味深い革命的な民主的勝利です。ボリビアの歴史史上で、このように数多くの選挙と国民投票で勝利したリーダーはこれまでいませんでした。」と答えました。
エヴォ・モラレス氏の地滑り的な勝利については、ソロン氏は「ボリビアの人々が新自由主義モデルはもう沢山だ、寡頭勢力グループは要らない、(最貧困層がボリビアの豊さからの利益を得られるようになる)変化のプロセスを始めようではないか、と明確に示したということです」、と述べました。
彼らは気候債務の痕跡を消したがっている
コペンハーゲンでのCOP15の気候変動交渉に関して、「過去2年間の交渉プロセスを継続していたにもかかわらずで、ほんの一握りの国が書いた文書案が、交渉最終日に忽然と現れ、突然それが(正式文書と)入れ替えようとする企みがあるようだ」とソロン氏は述べました。
この文書案は、「先進国が温室効果ガスの排出削減の義務を負う京都議定書を潰す」ことを模索するものです。先進国、G77+中国グループの一部である中国、インド、メキシコ、ブラジルに排出削減を強いる新たな約束を推そうというものです。
ソロン氏はこの点について「デンマーク政府がこの文書案をCOP15の何らかの結果作成したとの噂がありますが、十分にG77+中国グループの懸念が検討されていないことから、大半のG77+中国グループは同意しないと思われます」と述べました。
G77+中国グループには、先進国の企みを認識しており、どんなことがあっても対抗する心構えがあります。交渉期間が延長し、12月19日、或いは20日まで延長する可能性もあります。事実、COPが18日で終了しても、登録カードは12月19日まで有効です。
>「ボリビアは先進国が、途上国や人類全体、さらに母なる地球への借りがある気候債務の痕跡を消そうとしていると考えています。このために、先進国は京都議定書と国連気候変動枠組条約を葬り去りたいのでしょう」とソロン氏は続けました。
先進国には世界人口の20%の人類が住んでいますが、歴史的な温室効果ガスの排出に対し75%の責任があります。
「私たちは、先進国が歴史的責任を回避したり、消去するような試みに強く反対を唱えなくてならないのです」と言葉を強めて言いました。
母なる地球と人類のバランス、社会ムーブメントの役割
ソロン氏は「ボリビアはCOP15に主要課題を携えてきました。もし、気候変動問題をこの場で解決したいのなら、資本主義のシステムにより破壊されてしまった人間と自然の調和のとれた関係を回復しなくてはならないのです。資本主義システムを変革させない限り、人類と自然のバランスの再生は不可能であり、温室効果ガスの排出と世界中の環境問題が続くことになります」と述べました。
さらに、「気候債務の提言は、G77+中国グループの政府の中でさえ、多くの反響が出ています」とも言っていました。
「コペンハーゲンでは社会ムーブメントが大きな役割を担うでしょう」と述べていました。「プレッシャーや社会ムーブメントがなければ、土壇場になって別の場所で作った文書案がこっそり忍び込まれる可能性が大きいのです」と述べました。最後に「社会ムーブメントが政府代表団にプレッシャーをかけ、しっかり見張っていれば、人類と母なる大地を第一に考えるような合意に達する可能性は大いにあります」と言いました。
しかし、ソロン氏は先進国への責任を追及できるような合意がコペンハーゲンで達成される可能性については、楽観視してはいませんでした。