COP15 (コペンハーゲン会合)
リアルCOP
12月7日
残された時間はわずか、合意形成までは遠し >音声・原文
COP15市民イベント“気候フォーラム”がコペンハーゲンで開催
気候変動枠組条約(UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)がデンマークの首都コペンハーゲンで始まりました。およそ1万人の代表者が集うと予想されています。サミットの会場は1万5千人を収容する規模のものであり、各国からの代表団に加えて、オブザーバーとして2万人が登録されています。
さらに世界中から市民団体が集う“気候フォーラム”が市民イベントとして開催され、7日からCOP15が終了する18日まで様々なイベントが予定されています。
気候フォーラムは、7日午後のFoEインターナショナル代表のNnimmo Bassey氏とジャーナリスト・研究者であるNaomi Klein氏の記者会見にて口火が切られます。Klein氏は反グローバリゼーション運動の立役者として世界的な知名度のある方です。La Via Campesina Internationalの代表者も会見に参加する予定です。スピーチは、同ネットワークの全体コーディネーターであるインドネシア人活動家のHenry Saragih氏の予定です。この記者会見をもって、気候フォーラムは正式にスタートします。フォーラムでは、アクション、デモンストレーション、セミナー、記者会見など様々な活動が行われる予定です。ベラセンター(国連会場)内の特設スペースでも数百の市民団体やNGOなどもイベントや活動を行います。
COP15の議論はかなり厳しいものになると予想されています。これまでのところ、先進国のおかげで、気候変動適応・緩和、資金、技術移転等について議論には大きな進展は見らません。先進国には、気候変動枠組条約と京都議定書の下で削減義務があります。先進国の気候変動問題における歴史的な責任を認める合意の妨げとなっているのは、米国だと考えられます。
米国は1997年日本で締結された京都議定書を批准しなかった唯一の国家です。京都議定書は、先進国に法的拘束力のある削減義務を負わせるものです。現在は、京都議定書の第一約束期間(2008年~2012年)です。コペンハーゲンでは、第二約束期間(2013年~2017年)中に、どのような対策をとるかを決定しなければなりません。しかしながら、先進国(附属書Ⅰ国)は発展途上国にも削減義務を負わせようとしています。2年前のCOP13にて合意されたバリアクションプランでは、米国に他の先進国と同等の削減目標を掲げる猶予を与えるために交渉が延期されました。しかし、それ以来米国はまったく進展をみせておりません。
米国は、自主的排出削減と、途上国の気候変動対策に対する資金も自主的な拠出(義務でない)を求めており、クライメート・ジャスティス(気候の公平性)も歴史的、社会的公正からもほど遠い提案をしています。また、気候変動対策支援に対して長期的な約束はできないとし、交渉にまたもや物議をかもしだしました。
オバマ大統領は、12月18日にコペンハーゲン入りする予定となっています。
欧州連合とスイスを除いた先進国全てで構成される「アンブレラ・グループ」もまた、交渉で重要なアクターです。現在は、オーストラリアが代表となっており、その他には、日本、ロシア、アメリカが参加しています。合同で交渉に参加もしますが、今後は個別での交渉に進みます。
オーストラリアは1990年比で、温室効果ガスが25%増加しており、その上に、同国の経済基盤は石炭開発です。
欧州連合は、排出削減20%という、コペンハーゲンには脆弱な立場を採択していますが、他の先進国が合意すれば、30%減に達するかもしれません。
国連の科学者は国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で集い、1990年比で、2020年までに25-40%削減を主張しています。しかし、同時に、低い削減目標しか到達出来ないと、新たな気候変動の惨事への危険性が非常に高い、と警告を発しています。
世界77カ国の環境NGOのネットワークであり、コペンハーゲンでは気候フォーラムと国連会場のベラ・センターに最大数の代表団を送りだしているFoEインターナショナルは、先進国が1990年比で2020年までに、少なくとも40%の排出削減をすべきだと主張しています。
FoEヨーロッパの調査によると、欧州連合が2020年までに40%の排出削減は技術的に可能です。これには、排出源となる化石燃料に非常に依存するライフスタイルの変化が必要です。欧州連合の首脳会議が12月10日、11日にブリュッセルで開催される予定となっています。欧州連合からの新たな情報が、この首脳会議から出てくることになるかもしれません。
「先進国の目指すゴールは、中国とインドが米国と交渉をし、彼らが法的に拘束力のある排出削減に合意することであろう」という情報もあります。
政治的な話合いは終わりにして行動に移る時だ、と途上国は主張しています。途上国が気候変動の破壊的な結果をもたらすの被害(ハリケーン、洪水、干ばつ、飢餓など)を一番受けているのです。また、気候変動の間違った解決策(ダム、バイオ燃料、原子力、単一作物栽培のプランテーション、炭素回収・貯蔵、コミュニティの強制移動)の影響にも苦められています。
これらの国々はG77の一部と中国であり、正確には136カ国と中国です。ボリビアのように米州ボリバル代替構想(ALBA)の加盟国もこのグループに入っています。南アメリカの諸国は、先進国が母なる台地を長年にわたり、破壊してきたことに対する「気候債務」への支払いをするようにとの立場をとる声明を提出しています。このブロックの一員として、ブラジル、中国、インド、メキシコ、特にアフリカのグループの立場は、非常に重要なものとなっています。COP15におけるアフリカの連帯がいっそう強まっています。