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フィリピン・サンロケダム
現状と問題点
日本大使館前での住民の抗議活動 (2002年9月 マニラ) |
事業者は1998年に着工し、02年8月にはダム湖への貯水を開始。03年の竣工と同時に水力発電の商業運転が始まった。
一方、この巨大ダム計画がもちあがった95年から、伝統的な生活・文化が破壊されることを懸念しダム建設に反対してきた先住民族、そして、主な収入源を失った住民(農地を収用された約2,500世帯、砂金採りができなくなった数千人)らの懸念は、いまだに解消されていない。ダム建設後も、ダムの操業中止、また、喪失した生計手段への適切な補償措置を事業者に求める住民運動が粘り強く続けられた。
2001年以降、フィリピンではフィリピン軍の反乱鎮圧作戦の下、住民運動のリーダーやジャーナリスト等が「テロリスト」のレッテルを貼られ、暗殺、拉致されるケースが全土で多発していた。そんな状態が続く中、06年には、サンロケダム反対運動の先頭に立ってきた農民団体「アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA)」の代表ホセ・ドトン氏が、オートバイに乗った2人組の男に暗殺された。リーダーを失った代償はあまりにも大きく、住民運動の勢いは衰えてしまうこととなった。
それでも、地元を歩けば、生活水準の回復と改善を求める住民の声は今でも根強く聞かれる。現在も、補償の支払われていない農地収用のケースが100件以上にのぼり、また、砂金採取に代わる十分な収入源が確保されていないからだ。
●プロジェクトの問題点
1.サンロケダム建設地の上流域に住む先住民族の懸念
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2.サンロケダム建設地とその下流域の人々への影響
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3.プロジェクトの経済効果
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4.円借款および輸出信用における日本政府の政策の矛盾
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