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フィリピン・サンロケダム
問題点(3) プロジェクトの経済効果
上院議員によって開かれたパブリック・ヒアリング (カマンガアン再定住地にて、2002年9月) |
サンロケパワー社(SRPC)とフィリピン電力公社(NPC)の間で結ばれた電力購買契約(PPA)には、SRPCがNPCに発電施設を移管するまでの25年間、SRPCが一定量の電力をNPCに卸し売りすることが記載されている。独立専門家の調査 によれば、SRPCは電力の供給過多や流水量の不足などによる電力の供給停止に左右されず、発電コストとして毎月約1000万ドル以上の固定料金の支払いをNPCから受けることになっており、また、この支払いはフィリピン政府によって保証されているということだ。この高い発電コスト によってフィリピン政府および消費者に大きなリスクがかかることが懸念されている。
2002年半ば、民間セクターとの間で結ばれた電力購買契約(PPA)に関して、フィリピン財務省の諮問委員会が提出した報告書では、サンロケダムについて、「現時点でプロジェクトを買収するほうが、今後25年間、電力購買契約に基づいてSRPCへ電力料金を支払い続けるよりも安くつく」ことが勧告としてあげられている。この報告を受け、フィリピン政府は、SRPCとPPAの契約内容について2003年4月に再交渉。結果、商業運転から25年間の発電する電力を85~115メガワットまでを基本とすることが取り決められた。しかし、サンロケ発電所は、実際、345メガワットの発電容量を備えており、このことから、サンロケダム事業自体の必要性、また、コスト・ベネフィットに疑問が提示されている。
問題点
1 >サンロケダム建設地の上流域に住む先住民族の懸念
2 >サンロケダム建設地とその下流域の人々への影響
3 >プロジェクトの経済効果
4 >円借款および輸出信用における日本政府の政策の矛盾