【日米NGO共同声明】菅首相およびバイデン大統領に対して、日米首脳会談で石炭、石油、ガスへの公的支援を止めるための強いリーダーシップを発揮するよう要請

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菅義偉首相およびジョー・バイデン米大統領は、対面での初の日米首脳会談を4月16日にワシントンDCで行うと日本政府が発表しました(※1)。アメリカと日本に拠点を置く私たち環境NGOは、菅首相およびバイデン大統領に対して、1.5度目標に整合しない石炭、石油、ガス拡張事業への公的支援を止めるための強いリーダーシップを発揮するよう要請します。

日米両首脳は気候変動問題の重要性を認識しており、その解決に向けた公約を発表しています。アメリカでは、バイデン大統領が大統領令にて、「持続可能な開発とグリーン・リカバリーを推進すると同時に、炭素集約型の化石燃料をベースとしたエネルギーへの国際的な資金提供の終了を促進するために合衆国が取れる措置を特定する(※2)」と述べています。日本では、菅首相が2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにし、カーボンニュートラルな社会を実現することを宣言しました(※3)。

2020年10月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した World Energy Outlook 2020 によれば、既存の化石燃料エネルギーインフラおよび現在建設中のすべての発電所が、その寿命まで過去と同じように使用された場合、それらの排出量は2070年までに世界の平均気温を1.65度上昇させるとのことです(※4)。したがって、菅首相およびバイデン大統領は、両国のエネルギー部門への公的支援に関する政策をパリ協定の1.5度目標と整合させなければなりません。

特に、気候変動対策において両国がリーダーシップを発揮できる重要な機会には、アジア開発銀行(ADB)のエネルギー政策改訂と経済協力開発機構(OECD)の石炭火力発電セクター了解の改訂があります。日本およびアメリカは、ADBへの最大の出資国として、またOECDにて国内総生産(GDP)が最も高い国々として、他のADB出資国およびOECD加盟国に対して、1.5度目標に整合しない石炭、石油、ガス拡張事業への公的支援を止める方針を策定するよう働きかけることを約束しなければなりません。

国際環境NGO FoE U.S. の国際ファイナンス・プログラム・マネージャーの Kate DeAngelis は、「何十年もの間、日本とアメリカは世界中の化石燃料事業を支援し、地域社会と気候に壊滅的な影響を与えてきました。両国は今こそ、汚染し続けた過去とは決別し、海外の化石燃料事業への全ての支援を直ちに中止することで、真の気候リーダーになれます」と述べています。

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)のプログラム・ディレクターである田辺有輝は、「日本政府は原則として海外の石炭火力発電事業の融資を行わないことを約束しているが、現在、バングラデシュのマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(マタバリ2)およびインドネシアのインドラマユ石炭火力発電事業(インドラマユ)への支援を検討中です。両事業は、今後、国際協力機構(JICA)による支援が見込まれています。バイデン大統領は、日本がマタバリ2およびインドラマユを含む全ての石炭火力発電事業への支援を中止することを菅首相に働きかけるべきです」と述べています。

オイル・チェンジ・インターナショナルのリサーチアナリストであるBronwen Tucker は、「ガスは汚染されており、経済的でなく、必要ともされていないので、菅首相とバイデン大統領は、それを移行期間のエネルギー源として扱うのをやめなければなりません。世界は両首脳に注目し、化石燃料に対する公的資金の完全停止がなされるのを待ち望んでいます。資金は再生可能エネルギーの支援、そして化石燃料の生産に依存する労働者やコミュニティの公正な移行を支援するために注ぎ込むべきです」と述べています。

国際環境NGO FoE Japan の開発金融キャンペーナーの杉浦成人は、「新規の化石燃料事業を行なう余地は明らかにないにも関わらず、国際協力銀行(JBIC)は現在カナダとオーストラリアでのLNG事業への融資を検討しています(LNGカナダ輸出ターミナル事業およびバロッサガス開発事業)。これらの事業は、私たちの気候に影響を及ぼすだけでなく、地域の環境に深刻な被害を与え、地元の先住民族の権利を侵害します。地域住民の同意もない中、融資を検討すべきではありません」と述べています。

国際環境NGO 350.org の日本支部ファイナンス・キャンペーナーの渡辺瑛莉は、「日本の民間銀行は世界の石炭産業へのトップの融資者であり、アメリカの銀行はパリ協定の採択以降、化石燃料産業への世界第4位の融資者および引受者です。地球の平均気温上昇を1.5度に抑えるためには、日米両国が協力して化石燃料ファイナンスを終了させなければなりません。バイデン大統領は、日本政府に対して、日本のNDC(国が決定する貢献)を1.5度目標と整合するよう改定し、カーボンニュートラル宣言を実現するために、汚染されたエネルギーから撤退するための強力で明確な政策を導入するよう働きかけるべきです」と述べています。

脚注:
※1: https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202104/2_a.html
※2: https://www.whitehouse.gov/briefing-room/presidential-actions/2021/01/27/executive-order-on-tackling-the-climate-crisis-at-home-and-abroad/
※3: https://mainichi.jp/articles/20201026/k00/00m/040/255000c
※4: International Energy Agency (IEA), (2020), World Energy Outlook 2020, pp. 102, IEA, Paris, https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2020/achieving-net-zero-emissions-by-2050

本件に関するお問合せ先

<日本> 「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
プログラムディレクター、田辺有輝 
メール:tanabe@jacses.org

<アメリカ> 国際環境NGO FoE United States
Kate DeAngelis
メール:kdeangelis@foe.org, 電話:+1-202-222-0747

 

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