COP16 (メキシコ・カンクン会合)
国連気候変動カンクン会合(COP16)報告①
―これまでの振り返りと閣僚級会合への期待―
メキシコ、カンクン
11月29日~12月10日までメキシコ・カンクンでCOP16、CMP6が開催されています。昨年のコペンハーゲン会合は、一部の国だけが参加し公平性に欠けた交渉プロセスで作られたと批判された合意案、いわゆる「コペンハーゲン合意」を巡って交渉が決裂してしまいました。今回のカンクン会合は、透明性や公平性のある国連のプロセスへの信頼を取り戻す重要な会議となります。
開催初日、早くも日本の発言によって嵐が巻き起こりました。京都議定書の下の特別作業部会(AWG-KP)の全体会合で、京都議定書の第二約束期間を、「いかなる状況においても」受け入れないと発言したのです。ほとんどの国々が、先進国による京都議定書の第二約束期間への野心的な温室効果ガスの削減目標の約束と、条約の下で作られる緩和、適応、技術、資金等が含まれる包括的な枠組みの両方を合意することを目指して議論している中で、日本の強固な姿勢は交渉の決裂を招かねないと波紋を呼びました。途上国政府やNGO、海外のメディアからも厳しく非難されています。
◎2010.12.01 FoEプレスリリース「日本、気候交渉の進展の脅威に」
◎緊急サイバーアクション「日本政府に「温暖化交渉をつぶさないで!」とメールを送ろう」
もう一つ参加者を不安に陥らせたのは、メキシコ政府がいくつかの国を「グリーン・ルーム(密室交渉)」へ招待し、これまでの交渉文書に基づかない全く新しい文書が用意されているという噂でした。これは、コペンハーゲン合意の失敗を思い起こさせ、様々な噂が飛び交いました。
◎2010.12.04 FoEプレスリリース「京都議定書を破棄する可能性をもつプロセスで構築されるシークレット・テキストは、いかなるものでも認めてはならない」
カンクンの明るい日差しと対照的に波乱に満ちたまま始まった、一週目ですが、条約と京都議定書の下のそれぞれの作業部会(AWG)における各論の議論と補助機関会合が進められました。AWGでは当初、議長から提案された文書と前回の天津会合までの交渉文書のどちらを使うかで議論になりましたが、この二つの文書とその他多くの国々から提案された文書等を元に交渉が進められました。また、条約17条に基づいたコンタクトグループが作られ、新しい議定書を作るための議論が始まったことは、大変注目されています。
週末、条約と京都議定書の下のそれぞれのAWGから、これまでの交渉の結果を踏まえた新たな文書が提案されました。また、議長国であるメキシコから、国連交渉の外では「新しい文書」も、「秘密交渉」も一切ないという宣言が出されました。途上国からの不信感と、市民社会からの透明性を求める声(市民社会からメキシコ政府に宛てたオープンレター)が、メキシコ政府に少なからず影響を与えた可能性があります。多くの国々は、議長の努力を歓迎し、今後は政府間の交渉により文書を作っていくべきだという意見が出されました。
二週目に入り、世界中の大臣たちがカンクンに集まりました。日本はこれまでになく厳しい立場に立たされるでしょう。環境大臣が、名古屋でのCOP10の成功に貢献した経験を生かして交渉の流れを正しく読み、国際社会の意見、そして世界の気候変動に苦しむ人々の声に耳を傾け、京都議定書の第二約束期間を受け入れることで交渉を前進させることを期待します。
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