<参院選2025>各党マニフェストを比較!【気候変動対策編】~各党の特色は?
投票日を7月20日に控えた参議院議員選挙。7月4日には期日前投票も始まっています。「原発・エネルギー」に続き、「気候変動対策」に関しても主要各党のマニフェストを比較してみました。
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政党名 | 温室効果ガス削減目標 | 再エネ | 脱化石燃料 |
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自民党 | 2030 年度に46%削減、更に50%の高みを目指す/2035 年度60%削減/2040 年度73%削減(全て2013 年度比)/1.5℃目標に言及 | 目標明記なし/再エネ主力電源化 | 目標明記なし |
立憲 | 2035年66%以上削減(2013年度比)/1.5℃目標に言及 | 2050年までのできる限り早期に再エネ電力100% | 2050年までのできる限り早期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル |
維新 | 目標明記なし | 目標明記なし | 目標明記なし |
公明 | 2050年カーボンニュートラル | 目標明記なし/徹底した省エネに加え、再エネ、原子力等の脱炭素電源を最大限活用/国産再エネの製造支援 | 目標明記なし |
国民 | 2050年カーボン・ニュートラル社会の実現、「パリ協定」の推進 | 2030年代には電源構成比で再エネ比率40%以上 | 目標明記なし |
共産 | 2030年までに50 ~ 60% 削減/2035年までに温室効果ガスを75%~80%削減(2013年度比) | 2035年までにエネルギー消費全体を6割削減(電力消費量は3割削減)、再エネ比率80%/40年度には再エネ比率100% | 石炭火力からの計画的撤退をすすめ2030年度ゼロ |
れいわ | 2050年までに温室効果ガス排出ゼロ | 2030年までに再エネ比率70%/2050年までのできるだけ早期に100%を達成 | 脱原発・脱炭素までは既存の火力発電を活用し、段階的に廃止/石炭火力発電の新設を禁止/2030年までに石炭・石油火力の運転を終了 |
参政 | パリ協定の離脱により炭素目標を撤回 | 高コストの再エネを縮小し、再エネ賦課金を廃止 | 目標明記なし |
社民 | 目標明記なし | 原発ゼロ・自然エネルギー100%の社会 | 目標明記なし |
保守 | 目標明記なし | 再エネ賦課金の廃止/過度な再エネ依存の見直し | 目標明記なし |
自民党
- 「パリ協定の1.5℃目標を達成するために」と明記されています。
- 再エネについては目標の明記はないものの、「主力電源化」との表現があります。また、「洋上風力拡大」や、「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」にも言及するなど、拡大に向けても一部、積極的な表現が見られます。
- しかしながら、「火力発電の高効率化や次世代化」との文言もあり、引き続き化石燃料を使用していく方針が感じられます。
参照:令和7年参議院 選挙公約、総合政策集2025 J-ファイル
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立憲民主党
- 3つのポイントそれぞれに対して目標が明記されており、積極性が感じられます。温室効果ガス削減目標も、現行より踏み込んだものを提案しています。
- しかしながら、「再エネへの移行期にLNG火力を中心に活用、石炭火力・石油火力は緊急時の当面緊急時のバックアップとして活用」とあり、脱化石燃料には時間をかける方針が見られます。
- 「燃料アンモニア、CCSなどは可能性を探る」といった表現もあり、誤った対策にコストがかけられないかどうか今後注意が必要です。
参照:立憲民主党2025年政策パンフレット、立憲民主党 政策集2025「エネルギー」
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日本維新の会
- 他党と比較して、気候変動やエネルギーに関しての言及が一番少なく、あまり注力していないように感じられました。
- かろうじて「再エネの導入拡大や送電網整備、洋上風力や地熱発電の推進」「原発再稼働や再エネ導入促進により、エネルギー自給率を向上」といった文言はありましたが、具体的な目標値などはないので不明確な印象です。
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公明党
- 「第7次エネルギー基本計画」に向けた検討時には、「2035年までに66%削減(2013年度比)」が目標値として掲げられていましたが、マニフェストには2030年、2035年の目標は見当たりませんでした。
- 「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されたのを踏まえ、それに倣って「再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成をめざす」方針のようです。
- 再エネについては「地域と共生した太陽光や洋上・陸上風力などのさらなる導入を支援」「送電網の整備や、デマンドレスポンス」など積極的、具体的な言及が見られます。
- 一方で、石炭火力発電でのアンモニア混焼の推進、LNG等の安定供給を確保など、脱化石燃料に対しては逆行するような表現も見られました。
- CCSについても推進する方針で、誤った対策にコストがかけられないかどうか今後注意が必要です。
参照:公明党2025政策集
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国民民主党
- 「地熱・中小水力・バイオマス・太陽光・風力等の各地域資源の有効活用」など、再エネには前向きな姿勢が見られるものの、再エネ賦課金が負担であるとして、見直しが必要だとしています。
- 「現在、最終エネルギー消費の約5割を占める石油や天然ガスは国民生活・経済活動に不可欠なエネルギー源。安定供給の要である火力発電の高効率化、低炭素化、炭素回収・貯留(CCS)を促進」といった表現もあり、脱化石燃料の目標も掲げられていないことから、継続して使用していく方針のようです。
- また「水素・アンモニア・合成燃料の国内製造基盤と利用環境の戦略的整備を進め、将来的なエネルギー自給率50%を念頭」とあり、コストの高い混焼に積極的なのは注意すべき点です。
参照:政策各論 2.自分の国は「自分で守る」 | 国民民主党 第27回参議院議員通常選挙 特設サイト
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共産党
- 3つのポイントそれぞれに対して現行より踏み込んだ目標が明記されており、積極性が感じられます。
- 再エネについて、「送電網を整備し再エネ優先接続」する一方で、「乱開発による環境・社会影響への配慮」についても記載されています。
- ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)、小規模バイオマスの発電は推進の立場です。
- CCSやアンモニア混焼については反対の立場を表明しています。
- 容量市場についても、廃止することを盛り込んでいます。
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れいわ新選組
- 3つのポイントそれぞれに対して目標が明記されており、積極性が感じられます。
- 電力システムや供給については、送配電網の所有権分離や(再エネではなく)火力の出力抑制など詳細な政策が掲げられています。
- 再エネの地域との共生について、再エネと地域との共生について、ゾーニングやコミュニティパワーの三原則にも触れられていました。
- 脱化石燃料に向けたファイナンスに関しては、炭素税などの「カーボンプライシング」を導入。既存のガソリン税は、炭素税として改組、国内の金融機関や投資機関の海外石炭火力発電所建設への投融資を禁止などの記述がありました。
- 誰ひとり取り残さない「公正な移行」の徹底についても記述がありました。
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参政党
- 「パリ協定の離脱」「炭素目標を撤回」といった表記があり、気候変動対策から逆行する方針です。
- 再エネについては「メガソーラー等コストの高い電源開発推進は即刻中止し企業の脱炭素投資を見直す」とする一方で、「バイオマスや水素など地域型発電技術の実用化で『地産地消』の地域循環システムを構築」という記述もあり、供給方法によって対応するスタンスが見られます。
参照:参政党 -sanseito- | 参政党の政策カタログ一覧
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社民党
- 日頃の発信や取り組みを見ると、気候変動対策に積極的であると感じられますが、残念ながらマニフェストの中では記述が少なく、「温室効果ガス削減」や「脱化石燃料」の目標明示はありませんでした。
- 「脱炭素と脱原発をセットで目指し、『グリーンリカバリー』(環境と両立する産業を育成し雇用を創出する)を推進」するといった表現があり、気候変動対策について前向きな姿勢は感じられます。
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日本保守党
- 3つのポイントについて目標の明記はなく、逆に「過度な再エネ依存の見直し」といった縮小させるような方向性が見られます。
- 「日本の優れた省エネ技術の活用」という表記があり、省エネには前向きです。
- 「わが国の持つ優れた火力発電技術の有効活用」といった表現がみられ、化石燃料にも依存し続ける方針が伺えます。
参照:日本保守党の重点政策項目
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猛暑の中の選挙戦でありながら、メディアの報道や党首討論では気候変動対策についてあまり取り上げられていない印象です。公約をチェックするのはもちろん、街頭演説している候補者を見つけたら直接訊いてみたり、SNSのDMなどで質問してみるのもおすすめです。
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(深草亜悠美、吉田明子、小野寺ゆうり、轟木典子)