日加の環境NGOが、両政府に対し再生可能エネルギーを中核とする公正なエネルギー移行の推進を要請
国際環境NGO FoE JapanおよびFriends of the Earth Canadaは、3月6日に開催される日加首脳会談に向け、両国が再生可能エネルギーを基盤とする真に持続可能なエネルギー移行を主導するよう求める公開書簡を両政府首脳に送付しました。
FoE Japan事務局長の深草亜悠美は、次のように述べています。
「日本とカナダは、公正なエネルギー移行を推進する大きな可能性を有しています。しかし現状では、LNG拡大や原子力、資源採掘が協力の中心に据えられています。インド太平洋地域の地政学的緊張が高まる中、両国が気候変動対策でリーダーシップを発揮し、再生可能エネルギーを軸とした持続可能な社会の構築に協力することが重要です。」
カナダでは、アジア市場向けとして同国初のLNG輸出ターミナルが操業を開始しました。同プロジェクトには日本の官民が深く関与しています。一方で、先住民族の反対への対応、温室効果ガス排出、フレアリング事故などが指摘されています。また、日本は取り扱うLNGの約40%を再販売しており、供給過剰の課題も指摘されています。
Friends of the Earth Canadaシニア・ポリシー・アドバイザーのジョン・ベネットは次のように述べています。
「LNG輸出の拡大とメタン排出は1.5℃目標と整合しません。座礁資産のリスクも高まります。『ブリッジ燃料』の時代は終わっています。洋上風力を含む再生可能エネルギーこそが、今回のミッションのクリーンエネルギーの柱となるべきです。」
本首脳会合は、高市早苗首相およびマーク・カーニー首相にとって、化石燃料依存から脱却し、再生可能エネルギーを中核とする協力へと転換するチャンスです。
詳しくは公開書簡をご覧ください。
(FoE Japanによる和訳。原文英語はこちら)
日加首脳会合に向けた共同公開書簡ー化石燃料・原子力拡大ではなく、再生可能エネルギーと脱炭素、公正な移行を最優先に
2026年3月2日
カナダ首相 マーク・カーニー 様
日本国内閣総理大臣 高市早苗 様
3月6日~7日に予定されているカナダ政府代表団の訪日に際し、Friends of the Earth Japan(FoE Japan)およびFriends of the Earth Canadaは、両国政府に対し、液化天然ガス(LNG)および原子力の拡大を軸とした協力の枠組みを見直し、再生可能エネルギーを中核とする科学的知見に基づき、かつ公平性に則した移行を最優先とするよう強く求めます。
インド太平洋地域を取り巻く地政学的緊張が高まる中、民主主義と法の支配を共有する日本とカナダが、気候変動対策およびエネルギー安全保障の分野で国際的リーダーシップを発揮することは極めて重要です。そのためには、化石燃料依存を延命するトランジションではなく、再生可能エネルギーを基盤とした真に持続可能で公正なエネルギー転換への協力が不可欠です。
本ミッションでは「クリーンエネルギー」が柱の一つとされていますが、現時点の議論が依然として化石ガスや原子力インフラへの依存に固執していることを私たちは強く懸念しています。両国のパリ協定目標および1.5℃目標との整合性を確保するため、以下の三点を重点課題とすることを提案いたします。
1.化石ガスからの段階的撤退とLNG拡大の中止
LNGインフラの拡大は、長期にわたる温室効果ガス排出の固定化(ロックイン効果)をもたらし、将来的に座礁資産を生み出す可能性があります。LNGの主成分であるメタンは、20年スパンで見ると、二酸化炭素の80倍もの温室効果を持つ強力な温暖化ガスです。国際的な科学的合意は、新規化石燃料インフラの建設が1.5℃目標と両立しないことを明確に示しています。
両国政府に対し、以下を求めます。
・国内外における新規LNGインフラへの支援を行わないこと。
・化石ガスを「トランジション燃料」や「ブリッジ燃料」と位置付ける枠組みを二国間協力において採用しないこと。
・再生可能電力および分散型エネルギーシステムの迅速な導入を優先し、安定的かつ持続可能なエネルギー安全保障を構築すること。
2.原子力および小型モジュール炉(SMR)不確実な思惑ではなく、拡張可能な再生可能エネルギーへの重点転換
原子力発電および小型モジュール炉(SMR)は、放射性廃棄物の処分問題、事故リスク、核拡散、高コストといった課題を抱えています。
2023年に米国アイダホ州で中止されたNuScaleプロジェクトは、補助金を考慮しても発電コストが119米ドル/MWhを超え、再生可能エネルギーと貯蔵技術(平均約45米ドル/MWh)と比較して競争力を欠くことを示しました。
両国政府に対し、以下を求めます。
・原子力拡大ではなく、省エネルギーおよび実証済みの再生可能エネルギー技術へ政策資源を優先的に配分すること。
・SMRを脱炭素の中核解決策として位置付けないこと。
・既存原子力施設の安全確保および責任ある廃炉を優先し、新規高コスト炉への依存を拡大しないこと。
3.重要鉱物政策における人権および生態系の保護の徹底
再生可能エネルギー技術への移行は、開発の影響を直接受ける地域社会や先住民族を搾取する従来型の資源採掘を繰り返してはなりません。私たちは、カナダおよび日本の企業が関与する共同投資や開発事業の中に、海外の地域社会に深刻な影響を及ぼしてきた事例があることを確認してきました。再生可能エネルギー関連のサプライチェーンは、単なる迅速な資源確保を優先するのではなく、社会的公正と生態系の健全性を基盤として構築されるべきです。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に基づき、両国政府に対し、以下を求めます。
・鉱山開発の影響を受けるすべての先住民族および地域社会からの自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の確保を義務化すること。
・生物多様性や地域の生活を脅かす開発に対する、先住民族および地域社会による拒否権を尊重すること。
・破壊的な新規の資源採掘を防ぐため、循環型経済のアプローチを推進し、リサイクル拡大および資源需要の削減を優先すること。
結語
今回の首脳会談は、気候科学および公共の利益と整合する大胆な政策転換を示す重要な機会です。
私たちは、再生可能エネルギーの大幅拡大、化石燃料からの段階的撤退、コミュニティの権利の擁護を柱とする協力の道筋を提示するよう強く求めます。
敬具
Friends of the Earth Japan 事務局長 深草亜悠美
Friends of the Earth Canada CEO Beatrice Olivastri