【フィリピン市民団体のプレスリリース】フィリピンにおけるエネルギー移行を妨害する日本

化石燃料

以下、フィリピン市民団体によるプレスリリース(和訳)です。
原文(英語)はこちら


プレスリリース|2024年4月3日

クリーンエネルギーを支持するシンクタンクであるCenter for Energy, Ecology, and Development(CEED)は水曜日、日本政府がフィリピンの再生可能エネルギーによるクリーンエネルギーへの転換を促進するのではなく、むしろ妨害するようなエネルギーパートナーシップの方向性を選択していることに懸念を示した。

このコメントはは、政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)が、日本主導のアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の取り組みをフィリピンで展開するために、サンミゲル・コーポレーション(SMC)、アボイティス・パワー、メラルコの親会社であるメトロ・パシフィック・インベストメント(MPIC)と覚書を交わしたという発表を踏まえたものである。

「AZECはアジアの発展途上国で、化石ガスや化石燃料を延命する実証されていない技術を使った有害なエネルギーを推進する策略であると繰り返し非難されてきました。その批判が間違っていなかったことは、JBICがフィリピンの化石燃料の最大手と提携したことによって確認されました。日本は明らかに、フィリピンの気候変動対策への強い意志を犠牲にして、ガスを『橋渡し燃料』としてごまかし、擁護しています」とCEEDのジェリー・アランセス事務局長は述べた。

SMC、アボイティス、そしてメラルコの発電部門を通じたMPICの3社は、共同で約23GWの発電容量となる新規のガス火力を計画している。これは現在国内で計画されているガス火力発電容量の半分以上であり、フィリピンの現在のガス火力発電設備容量の80%以上に相当する。この3社はまた、フィリピン初の稼動済みLNG輸入ターミナルの買収に向けて交渉中であると伝えられている。このLNG輸入ターミナルはJBICが出資するアトランティック・ガルフ&パシフィック社が所有しており、現在環境に係る違反事項や地域社会への影響についてJBICが内部調査中である。

「こうした動きは、日本政府、ひいてはフィリピン政府の再生可能エネルギーへの真の移行に対するコミットメントの明らかな欠如を露呈している。これは、激甚化する気候危機の影響を最も受けている国の1つであり、化石燃料による発電によって脆弱な地域社会に死と破壊をもたらされている国にとって容認できないことです。私たちは、豊富な再生可能エネルギー資源を持ち、1.5℃目標に沿った完全な移行が可能です。ガスをさらに開発するのではなく、その豊富な資源を利用することに集中するべきです。」とアランセス氏は述べた。

この合意を受け、日本とフィリピンのクリーンエネルギーを支持する活動家たちは、来週ワシントンで開催される日本、フィリピン、米国の3カ国首脳会談の結果を警戒している。

「LNG大国である日本とアメリカは、今度の会談で修正を図り、ガスや誤った気候変動対策ではなく、フィリピンや同地域の他の新興経済国において、再生可能エネルギー優先の方針を確保すべきです。一方、この3カ国協議は、フィリピンの再生可能エネルギー転換に対するマルコス政権のコミットメントを試すものでもあります。マルコス大統領は、再生可能エネルギーを気候変動対策の最優先とすることを公約に掲げて就任しましたが、今のところその実践は中途半端なものです」とアランセス氏は言う。

「新しい覚書は、彼らが化石ガスを拡大してきた歴史を考えると、非常に懸念されるものです。JBICは、東南アジアにおける化石ガスへの公的支援総額の47%を提供する、東南アジア最大の化石ガス支援金融機関です。日本は、LNGは橋渡し燃料であり、東南アジアには必要不可欠だと言い続けています。しかし、このような日本のガス推進は、化石燃料関連のインフラや技術を維持し、売却することで得られる日本企業の利益のためです。JBICは、地域コミュニティの生活と環境を破壊してきた化石ガスへの資金支援を止めなければなりません」と、FoE Japan開発金融と環境キャンペーナーの長田大輝は述べている。

連絡先

国際環境NGO FoE Japan 
電話: 03-6909-5983 または、問合せフォーム

Center for Energy, Ecology, and Development
Weng Cahiles, 電話: +63-9685399514、メール:rdcahiles@ceedphilippines.com

 

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