農家と女性たちが怯えている:WALHI南スラウェシはヴァーレインドネシア社にタナマリア鉱区での探査活動における軍事化を止めるよう求める
インドネシア南スラウェシ州のソロワコ・ニッケル鉱山地域で、2023年7月24日に探査活動・拡張計画に抗議の声をあげた胡椒農家や女性の皆さんに対する企業の回答は、「軍の関与」という暴力的・抑圧的な手段でした。
7月26日、ヴァーレインドネシア社は探査活動を進めるため、インドネシア国軍を伴い、胡椒畑に現れたのです(上記バナーの左上の写真/WALHI南スラウェシ)。7月24日の農家・女性たちによる抗議アクションにも、重武装の警察機動旅団が配備されており(上記バナーの左下の写真/WALHI南スラウェシ)、事業者及びインドネシア当局による住民の皆さんへの人権侵害の悪化が大変危惧される状況です。
ヴァーレインドネシア社に出資する住友金属鉱山(出資比率15.03%)は、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、自らの人権方針でも、地域住民などすべてのステークホルダーとの対話を通じた合意による解決をめざすと明記しています。しかし現状は、ヴァーレインドネシア社の人権侵害に加担している状況が続いています。自分たちの生活を鉱山開発から守ろうと「反対」の声をあげている住民の皆さんが、これ以上、脅迫や弾圧を受けることがないよう、住友金属鉱山は一刻も早く適切な対応をとるべきです。
以下、現地NGO WALHI南スラウェシのプレスリリース(2023年7月26日付)の和訳です。
農家と女性たちが怯えている:WALHI南スラウェシはヴァーレインドネシア社にタナマリア鉱区での探査活動における軍事化を止めるよう求める
2023年7月26日
WALHI南スラウェシ
環境団体であるインドネシア環境フォーラム(WALHI)南スラウェシは、タナマリア鉱区におけるヴァーレインドネシア社の探査活動に軍、つまりインドネシア国軍が関与していることを厳しく非難した。
WALHI南スラウェシはまた、ヴァーレインドネシア社に対し、タナマリア鉱区での探査を進めるにあたり、軍や軍人を使用しないよう求めた。
WALHI南スラウェシのグリーンな法・政策部門の責任者であるアルファンディ・アナスは、ヴァーレインドネシア社がコミュニティ、特に農民や女性からの要求や要請に直面し、暴力的な手段を使ってきたと述べた。
彼によれば、ヴァーレインドネシア社はカナダ企業、日本企業(住友金属鉱山)、ノルウェー政府等が株を所有する外資系企業であり、企業の警備に軍人を参加させることは固く禁じられている。脅迫と軍国化の一部となるからである。
「ヴァーレ社はタナマリアでの採掘やビジネス活動を軍事化している。このやり方は、ビジネス活動における人権の原則に大きく反している。私たちは黙っていない。この軍事化について国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に書簡を送るつもりだ。」とアルファンディは語った。
さらにアルファンディは、胡椒農家は国家主権を脅かす侵略者でもテロリストでもないと述べた。「したがって、ヴァーレ社が警備のために軍や(警察)機動旅団を関与させるということは、胡椒農家、女性、若者、そして環境や生活、胡椒畑を守ろうと闘うすべての人々をヴァーレ社が侵略者だと決めつけているに等しい。」
「私たちは、南スラウェシ州タナマリア鉱区のニッケル鉱山探査現場を軍事化しているヴァーレ社を強く非難する。ヴァーレインドネシア社のフェブリアニー・エディCEOは、ロエハ/マハロナ・ラヤ地域の農民や女性たちに会い、話し合うべきだった。企業の警備として軍や機動旅団を関与させるのではなく。」とアルファンディは説明した。
したがって、この法学部卒のWALHI南スラウェシ担当者は、ブラジル政府と日本政府は、両国の各企業がタナマリア鉱区周辺の農民や女性を脅し、威嚇するために軍人を動員していることを認識し、責任をとらなければならない、と述べた。
一方、ランテ・アギン村の女性の一人であるディナール氏は、タナマリアに複数の軍人がいることに恐怖を感じていることを認めた。女性農業労働者もまた、胡椒畑周辺の軍人の存在が怖くて仕事に集中できないのだという。
彼女によれば、軍と機動旅団が関与することで、ヴァーレ社は農民を恐怖に陥れ、すべての人、特に女性や女性農業労働者を怯えさせているのだという。
「正直、胡椒畑に向かう道で、会社の車から軍人や機動旅団が降りてくるのを見て、とても怖くなった。女性農業労働者も怯えている。ヴァーレ社は恐怖を与え、村の雰囲気を悪くし、恐怖で満ちたものにしている。」と彼女は説明した。
彼女はまた、ヴァーレインドネシア社に軍と機動旅団と共にタナマリアから立ち去るよう求めた。そして彼女はさらに、インドネシア国軍司令官と国家警察長官に、タナマリア鉱区から国軍と警察の全軍を撤退させるよう要請した。
彼女によれば、コミュニティ、特に女性は、タナマリアでの採掘が行われないことを望んでいるだけだという。タナマリアをヴァーレ社の鉱業コンセッションから除外するべきだ。住民たちは侵略者でもなければ、テロリストでもない。
「私たちはただの農民であり、農民の妻であり、胡椒栽培を続け、胡椒畑の収穫で豊かな暮らしを続けたいだけだ。(ヴァーレインドネシア社CEOの)フェブリ氏は、私たちの畑に来た軍人や将校ではなく、私たちに会うべきだった。」と彼女は説明した。
「もう一つ、私たち女性はすべての当局者に、ただちに私たちの村と畑から立ち去るようお願いしたい。私たちは、当局の存在によってストレスを受け続けたくはない。」ディナール氏はこう締めくくった。