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ボク、違法材「ナラ」いらないよ!
学習机ができるまで
ロシア産ナラ・タモ材の行き先
ロシア沿海地方で生産された木材の最大の行き先は、中国です。陸続きのためシベリア鉄道によって国境を越えて輸出するルートが最も多いのです。輸出される木材の53%が中国へ、30%が日本へ向けられています。
輸出される木材は76%が未加工のままの丸太で、地元に落とされる経済的な利益はほとんどありません。しかも違法伐採や違法取引が横行していることから、生み出される利益の分配は非常に限られています。
中国に無数の貨車で運ばれるロシア産丸太 |
日本と中国におけるロシア産ナラ・タモ材の輸入
ナラ、タモなどの広葉樹は日本の森にも存在していましたので、馴染みのある樹種として家具材や床材として好んで使われてきました。特に、広葉樹の森林資源が豊富であった北海道にこれらの工場が多く存在していました。しかし、中国製品に押されて国内の広葉樹加工産業は衰退。現在国内の家具メーカーで国産の広葉樹を使用しているのは高級家具やオーダー家具に限られ、規模も小さく全体需要量も小さくなっています。
一方、中国がロシアから輸入する丸太は90年代後半から急増しました。97年の大洪水を受けて自国の森林を保全する必要性から天然林保護計画を開始、ナラ・タモが生産されていた中国東北部の天然林も大幅に伐採制限をされることとなりました。この結果、1996~2004年の間に、中国の丸太の輸入量は318.6万m3から2,630.9万m3(日本の輸入量の4倍)にまで、8倍以上も増加しました。
ロシアからの丸太が最も多く輸入されているのが、国境の町スイフンヘイ(黒龍江省)です。2005年におけるスイフンヘイを経由したロシア産丸太の輸入量は、609.7万m3で、中国総輸入量の34.8%に達します。ナラ・タモ材などの広葉樹の丸太については、中国全体の8割近くに達します。
スイフンヘイで荷おろしされる ロシア産丸太 |
スイフンヘイの製材工場に運ばれた ロシア産のナラ、タモの丸太 |
スイフンヘイにおける輸入木材の樹種別内訳は、ナラ、タモ、シナノキなどの高級な硬質広葉樹材が多く、ロシアから輸入されているこれら広葉樹材のほとんどはここを通過して輸入されています。
中国におけるロシア材の加工
沿海地方と接し、多くの広葉樹材を輸入しているスイフンヘイは、単なる原木の通過地点から、一大加工地点に発展しています。同市には、2004年時点で、大規模な木材加工区が4ヶ所開発されていて、全体の年間加工能力は約300万m3に達しており、現在ではさらに拡大しています。
大手の木材加工企業は、自社用の鉄道専用レールを敷設し、設備も比較的先進的なもので、年間加工能力も10~30万m3に達します。主な製品は板材ですが、集成材、フローリング、内装用部材、無垢材のテーブル・椅子など高度な加工品も生産するようになっています。
スイフンヘイを通過したロシア産木材は、半分が丸太のまま、半分が板材などに一次加工されて、主に大連などの沿海部の工業都市に輸送されます。また近年では日本や米国へ直接輸出する工場も増えてきています。
スイフンヘイの街に見渡す限り立ち並ぶ製材工場 |
工場から日本に輸出される タモ材のフリー板 |
大連は、中国北部最大の不凍港であり、スイフンヘイにも鉄道で直接つながっているため、水・陸双方から木材を直接受け入れることができます。また加工した製品を直接輸出することも可能な立地です。大連の木材市場は、1995年に本格的に設立され、約400の木材業者がここで木材取引をしているとともに市場周辺に多くの広葉樹加工工場が操業しています。
1998年の天然林保護計画実施以来、中国東北部産木材の伐採量が大きく減少し、ロシア産木材の取り扱いへと大きく軸足を移しました。2004年の時点ではロシア材が約80%を占めるに至っています。
大連の市場に到着したロシア産のナラ材 |
大連の日本向け家具工場 |
大連市場は、加工業が進んでおり、到達した木材の相当部分をここで加工しています。市場には100余りの大小さまざまな製材工場が存在しているだけでなく、市内でも沢山の木材加工工場が操業しています。大連市家具協会によれば、2004年現在、大連市には家具企業全体で約550社あり、世界に名の通った超大規模の無垢材家具メーカーもかなり有ります。推計によれば、2004年における同市の家具業界の全輸出金額は、すでに5.6億米ドルに達しました。
大連で生産する家具は無垢材家具を主とし、その生産量については、中国全体の生産量の50%以上を占めています。使われる原料のほとんどは沿海地方を主とするロシア極東地区のナラ・タモ材など硬質の広葉樹材で、国内産材もありますが少量です。ロシアにいる中国人業者から買い付けたり、大連の市場で調達したりしていますが、いずれも違法伐採された木材が多く含まれています。
そして日本へ・・・
大連で加工された製品(家具、床、回縁などを指す)と高次加工品(製材、集成材、表面オーバレイ単板)は上海や北京などの消費地に販売されるとともに、相当量のものが海外へ輸出されています。
中国の木材の輸出は1996年の14億ドルから2005年の64億ドルへと4.5倍、家具の輸出も同じ期間に30億ドルから173億ドルと6倍に急増、合板や集成材、家具などで世界最大の輸出国になっています。
ロシアから大量の違法伐採丸太を未加工のまま輸入し、内陸部からの低賃金労働者と先進国からの投資資金を活用して、付加価値をつけた製品に加工して輸出しているというわけです。
こうした製品の最大の輸出先は米国で、それに続くのが日本です。