COP26目前、民意無視の第6次エネルギー基本計画閣議決定に抗議
10月22日、第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
FoE Japanは、今回のエネルギー基本計画見直しに際し市民からの意見を反映するプロセスがほとんど踏まれなかったこと、いまだに原子力と化石燃料を重視する内容であり、福島第一原発事故の被害の深刻さや、気候危機の切実さを踏まえていないことに強く抗議します。世界第5位の大規模排出国としての責任に向き合わず、途上国や将来世代の被害や人権を軽視する政策として、COP26で国際社会からも批判を受けるでしょう。
FoE Japanも参加する「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンは10月12日、経済産業省に対しパブリックコメントを反映することを求める要望を行いましたが、そういったプロセスはまったくなく、パブリックコメントの結果公表もないまま閣議決定となりました。今回、市民の意見を「聴取する」機会は意見箱とパブリックコメントに限られ、これらも「考慮し反映される」ことはほとんどありませんでした。
世界的に気候危機への認識と早急な対応の必要性が共有されています。日本政府もカーボンニュートラルを打ち出し、2030年度の温室効果ガス削減目標を見直すなかで、このエネルギー基本計画の改定も議論されました。
しかし、審議会(基本政策分科会)のメンバーは産業界に偏り、その議論は、原子力を維持・推進し、石炭火力も含め化石燃料も使い続けようという一部の産業界の声を色濃く反映したものでした。気候危機の現実や気候正義に向き合うものではなく、福島第一原発事故の被害や解決不可能な放射性廃棄物など原発の非合理性を直視したものではありません。
本来行うべき「気候危機への対応」は、生産や消費のあり方を大きく転換し、エネルギー消費の大幅削減を前提として再生可能エネルギーにシフトし、排出を可能な限りゼロに近づけることです。
FoE Japanは、以下のようなエネルギー政策転換を引き続き求めます。
1)各地での意見交換会や討論型世論調査、世論調査の考慮など、さまざまな形での市民参加のプロセスを確保すべき。
2)気候危機に向き合い、世界の気温上昇を産業革命以前から1.5℃までに抑えることを、日本としても目指すべき。
3)生産・消費のあり方を大きく転換し、最終エネルギー消費と電力需要を大幅に削減したうえで、再生可能エネルギーにシフトしていく方向を明確にすべき。鉱物資源の際限ない採掘からも脱却しなければならない。
4)化石燃料を大量消費する発電や産業を維持したまま不確実な新技術に頼る「カーボンニュートラル」ではなく、化石燃料から脱却し、可能な限り排出をゼロに近づけるべき。CO2排出が特に大きく大気汚染も起こす石炭火力発電は、新増設は直ちに中止し、遅くとも2030年度にはゼロとすべき。
5)福島第一発事故被害の実態を把握し、完全賠償および被害者救済をかかげること。原子力発電は、核のごみや事故のリスク、被ばく労働などの観点からこれ以上使うべきではない。次世代炉の研究開発についても、中止すべき。すでに破たんしている核燃料サイクル政策からは撤退すべき。
6)エネルギー消費の削減を前提に再生可能エネルギー社会への転換を明確に目指すべき。同時に、再エネを生態系を破壊せず地域に根差した形で進めるために、適切な規制や地域主導の取り組みが必要である。気候変動防止と生物多様性の保全とを両立させることが必要である。
FoE Japanから提出したパブリックコメントやパブコメ呼びかけはこちら
https://www.foejapan.org/climate/policy/6thenergyplan.html
第6次エネルギー基本計画閣議決定
https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005.html