シウイラ・トロア
(教師、ツバル赤十字元事務局長、ツバルの環境グループIsland Care理事)
温暖化問題から目をそらそうとする国がありますが、私達にはそらすことなんてできません。ツバルは小さな国です。その小国が大きな問題に直面しています。もし予測されていることが現実となり、ツバルが海に沈んでしまうことになれば、この国の人々の命が失われるかもしれないのです。この小さな島国は、CO2をほとんど排出することなく、地球規模の温暖化に寄与してきたわけでもないのに、最も苦しめられているのです。
ツバルの人々は、住む場所を失い、温暖化難民となる可能性があります。これはツバル人の主権や昔から受け継がれてきた文化や習慣を失うことになります。
ツバルの人々は、海産資源などのごく身近な自然環境に大変依存して生きています。人々は昔から作ってきた作物や海産物の収穫が明らかに減っていることに気がついています。
2003年に、それまでで一番驚かされる現象が起こりました。あるとても穏やかな日に高波が襲ってきて、海岸地域一帯に影響を及ぼし、農園がたいへんな被害に遭いました。その後、しばしば干ばつが頻繁に起こるようになり、3ヶ月も続いたりします。塩害によっても、ツバルで栽培できる農作物が減っています。ツバルの8島のうち6島で昔から作ってきた農作物が影響を受けています。住宅にも影響が出始めています。また地下水の塩分濃度も上昇しています。地下水はツバルにとって飲料水の主な水源で、貴重な水源のひとつを失ってしまいました。
温暖化による気温の上昇が人々に影響を与え、海面も上昇をしています。3月の大潮では、コンクリートでできた私の家の基礎の半分が水に浸かりました。
オーストラリア政府は今のところ温暖化難民の受入を検討しておらず、あまり好意的ではありません。これに比べればニュージーランドは柔軟で、ツバル政府との間で今後の移民計画が交渉されています。しかし、ツバルを捨てて移住するということは、我々の文化や価値観にとって望ましいことではありません。ここでは、どのように行動すればよいのか、またどのように分相応の暮らしをすればよいのか全て分かっています。他の場所に住むとなれば、快適な生活は営めないでしょう。自分たちの土地や家、祖先が暮らしてきた場所に住みたいのです。ツバルの人々は難民と呼ばれたいとなんてけして思っていません。
情報提供:ステファニー・ロング / FoE オーストラリア、 ジャニス・ワームワース
(Voice from communities affected by climate change)