途上国には、電気やエネルギーも満足に手に入らない環境で生活する貧しい人々がたくさんいます。温暖化の原因となる温室効果ガスもほとんど排出することはありません。それなのに、そのような貧しい人々が最もひどい温暖化影響を受けることになるのです。もともと様々な社会問題や環境問題に苦しんでいる上に、多くの人々が、天候による影響を受けやすい農業や漁業、天然資源に頼って生活しているため、温暖化により受ける被害は甚大です。また、自然災害の予防や被害から復興するための情報、技術、資金が不足しているため、被災した後も、収入を失い、ますます貧しくなってしまうなど、長期間にわたって影響を受けます。
温暖化対策の中でも南北の格差が生じています。国際的な温暖化交渉の場では、ほんの一部の国だけが強力な発言権を持ち、温暖化影響を受ける人々の声は届きません。また、途上国の生態系や住民の生活に配慮できていない植林カーボン・オフセットや代替燃料開発などから、温暖化対策被害が広がっています。
- エネルギー消費の格差
世界の4人に1人が(16億人)が電気のない生活を送っている。 - 温室効果ガス排出の格差
G8諸国だけで世界の温室効果ガス排出の4割以上を排出。 - 温暖化影響の格差
・温室効果ガスを排出しない途上国の脆弱なコミュニティ・生態系が、最も深刻な影響を受ける。
・農林水産業等の一次産業への影響が大きい。
・途上国では、温暖化影響に対応する情報・技術・資金が不足。
・温暖化影響による貧困の拡大、悪化。 - 温暖化交渉の格差
・一部の先進国が協力を拒否することにより弱体化される国際合意。
・無視され続けるコミュニティの声。 - 温暖化対策の格差
・炭素市場に支配される温暖化対策。
・軽視される住民の権利、生態系
・先進国の対策に利用される途上国の温暖化対策。