聞こえていますか、私たちの声 オンダンカクサの現場から
ホンジュラス/Honduras
1998年、破壊的なハリケーン・ミッチがホンジュラスに上陸し、この国の温暖化影響に対する脆さが露呈されました。何千人もの死傷者が出て、水、衛生、医療施設などが破壊されました。また、ミッチは、社会的構造まで変化させました。このことが、彼らの生活環境に与える悪影響は何十年にも及ぶでしょう。ホンジュラスの経験は、中央アメリカ諸国に、温暖化によりもたらされる異常気象や自然災害が、大きな社会的余波を引き起こしかねないと警鐘を鳴らしています。

■ ミッチから受けた被害の大きさ

ハリケーン・ミッチにより、100以上の医療施設が被害を受けました。国全体でも60%以上の交通インフラが破壊され、4分の1の人々が家を失い、7000人の死傷者を出しました。 ミッチは、このような直接的な被害だけでなく、一連の社会的、政治的、経済的危機の連鎖をもたらし、ホンジュラスを慢性的な非常事態へと陥れました。貧困、暴力、汚職、抑圧、疫病、パニックとテロが増加し、ミッチのあと、1998年から2002年にかけて、1500人以上ものホンジュラス人の児童、青年が殺害されました。(アムネスティインターナショナル)

■ 復興に便乗する開発と環境破壊

ミッチ被害からの復興のどさくさに便乗し、外資系鉱業企業が提出した新法案(鉱業一般法)の通過により、鉱物輸出に関わる税金の軽減や、環境規制の緩和が断行され、採掘地の水資源の使用が許可されました。2000年にはIMFが鉱業製品の関税完全撤廃を迫り、一気にホンジュラスで鉱業が発展し、水資源の重金属汚染が始まりました。また、バナナの単一栽培のような農業ビジネスが拡大し、有毒殺虫剤の使用が増えました。ミッチの後に拡大したタバコ産業も人々の健康被害を促進しています。森林伐採も増え、生物多様性が失われています。これら農業ビジネスと鉱業は、小作農と土地・水資源を争い、貧困層が増え、ラテンアメリカ諸国の中でも、食糧輸出国でありながら、栄養状態の悪い国と位置づけられています。

■ 生きとし生けるもの全ての健康

異常気象と、森林破壊、生物多様性の喪失とあいまったときに、健康と環境にもっとも深刻な影響を及ぼします。これらの問題は相互に影響しあっているので、単独の適応対策ではうまくいきません。温暖化による被害を減らすには、「生きとし生けるもの全ての健康」という総体的かつ生態系を中心としたアプローチが有効です。森林面積の回復による生活水準の向上や生物多様性の保護、土壌、水資源、空気の質の向上、そして予防原則の適用が必要とされています。
また、貧しいコミュニティーが何を望んでいるかが、ミッチの前後の生活状況の変化に関する調査により明らかになっています。コミュニティーの衛生、きちんとした住宅、安全な水へのアクセス、電話、法的所有権、教育、レクリエーション場所、医療、暴力のない治安統制、そして森林再生が求められています。また、地域の組織化、特に児童と青年のための教育と能力開発、識字プログラム、州によって課された不正に抗議する自由、健康管理とコミュニティープログラムへの取り組み、零細企業と協同組合の発展、人権に対する警察の教育、そして、環境と人権に関する啓蒙によってこそ実現できると考えられています。

ホンジュラス 地球が発熱し、人類の健康を脅かす

マリッツア アレバロ アマドール
(58歳、5人の子を持つシングルマザー)

気象や季節の変化は、猛暑、皮膚疾患の増加、水不足、環境汚染などをもたらします。鉱業の乱採掘と同時に温暖化影響による土壌侵食は、大気汚染、水質汚染も引き起こします。特に、子供や老人は皮膚病や肺の疾病に苦しんでいます。
私は、これまでずっと環境保護に取り組んできました。よりよい環境のために、木を植えなければなりません。さらに、私たちはゴミをリサイクルすることも学んでいます。家庭菜園にコンポストを作りました。このように、私たちはライフスタイルを変えてきたのです。気候変動の影響を防ぐ為、まず仲間を探して下さい。第二に正義のために闘います。第三に意思と魂を持ちます。そして第四に、自分を教育し、孫やひ孫や玄孫の将来へのビジョンを持ってください。そうすれば、将来その子たちが十分に教育を受け、より豊かな環境で暮らすことができるはずだから。

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カンディーダ ロサ マラディアーガ
(69歳、9人の子を持つシングルマザー)

降水、雨季、そして、夏の天候が変化しています。暑すぎるのです。以前はこんなことはありませんでした。強風も増え、ちょっとした揺れで地滑りが起こるようになりました。疾病が増え、皮膚病や脱水症状、頭痛症状が起きています。生活の質が下がりました。作物を植える場所も減り、食べるものも少なくなりました。極度の貧困、絶望、悲嘆に襲われます。 
このような影響に立ち向かう為、私達はコミュニティーで協力しながら取り組んでいます。以前なかったようないろいろなことが今起こっているのですから。私は、助産婦として働き、5つのコミュニティーグループでリーダーとして働き、識字キャンペーンに携わり、医療ボランティア、主婦クラブでも働いています。現在は、雨水をためる容器を作るプロジェクトにも携わっています。

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イルダ マラディアーガ メヒア
(55歳、6人の子を持つシングルマザー)

私は様々な持続可能な開発活動に関わり、コミュニティーの生活改善、環境改善のために働いています。温暖化の被害を防止する為、仲間と一緒に地域を回ります。貧困対策として家庭菜園や地域菜園を作り、栄養状態の改善のための啓蒙活動も行います。薬になる植物を地域間で交換したりします。
今、私達は、前進する為に協力を必要としています。他の地域や組織とも連携しましょう。より強くなるために、国、国際レベルで協力して立ち向かいましょう。勇気を出して、隣人を助けましょう。国境のない公正な世界のために、愛情を示して、神と隣人を愛しましょう。

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情報提供:フアン・アルメンダレス / FoE ホンジュラス
(Voice from communities affected by climate change)

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