ユロジオ・カピタン・コレト
(63歳、アンカシュ県 ビコス居住区環境委員会委員長)
時期に関係なく霜が降りたり、雹(ひょう)が降ったりすることで、住民たちは気候の変化に不安を感じ始めています。以前は霜や雹の影響を受けるのは3〜4年に一度でした。今では、異常気象がどの年、どの月にも起こり得ます。私達は、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、エンドウ豆、その他の豆類、キノアなどを栽培しています。気候の変化に対し、ジャガイモやキノアの種類は変えなければならなくなるかもしれません。以前はもっと高品質で、たくさん収穫できたのですが、今では、質は悪くなり、虫がついてしまいます。農薬の散布も、昔は一度でよかったところを、今では2〜3回撒かなければならなくなりました。新種の病気が現れているのです。黒斑(カビ)はちょうど10年前から現れはじめました。これも気候の変化と何らかの関係があるはずです
アウレリア・ルリア・カフェリーナ
(45歳、農業従事者・主婦)
以前はいつ霜が降りるのかわかっていたので穀物が凍らないように暖かくしておくことで穀物を守ることができました。今では、全くわかりません。雨はとても激しくなり、地面を洗い流してしまいます。風も強いのでトウモロコシは曲がってしまいます。霜は穀物を凍らせてしまいます。女性達は普段は家にいて、家庭菜園と子供達の世話を受け持っていて、夫の手伝いをするときだけ上地の農場に行くものでした。でも、今では霜のために女性達までみんな農場に駆り出され、この変化を何とか乗りきろうと必死です。
ひとたび霜が降りると、一年間の収穫も、投資したものも、全て失ってしまいます。予期することのできなかった2月の霜により、穀物はみんなだめになってしまいました。ここでは、主に自家用の食べ物を栽培しています。売るためのものを栽培している人はほとんどいません。140家族もが、食べ物を失ってしまったのです。ジャガイモの生産は、10年前に私が栽培を始めたころのようではなくなりました。以前は15〜17袋はとれたのに、今では5〜8袋です。突然の大量の雨が、ジャガイモの花をダメにしてしまうのです。 3年前まで山には雪がありましたが、今では山は真っ黒です。雪がとても少なくなっているのです。以前は、雪解け水は、澄んだ色をしていましたが、今ではむき出しの地表の上を通ってくるので鉛色です。こうした水はネグロ川に流れ込み、私達の飲み水となる川の水を汚染しています 。
地球温暖化は、コルディエラ・ブランカの最も象徴的な氷河であるパストルリ氷河を、4年間(2001〜2005年)で21%も減少させてしまいました。これが続けば、数年後にはでこの氷河は完全に消えてなくなるでしょう。1989年には、航空写真をもとに、2041キロ平米にわたる3044個の氷河が確認されました。しかし、1997年に実施した新たな調査では、446キロ平米にわたる111の氷河の消滅が確認されたのです。現時点では、ブロッギ氷河とヤナマレイ氷河が温暖化による悪影響を受けています。近年、かなりの量の氷が消滅してしまったため、今ではブロッギ氷河はもはや氷河とは考えられていません。私達は、貯蔵水の減少により、将来、特に農業に深刻な影響が及ぶことを懸念しています。
ペルーの熱帯性氷河は温暖化に対して非常に脆弱ですが、経済のあらゆる側面で、氷河からの水に大きく依存しています。しかし、手立ては少なく、温暖化の環境や経済、文化、健康への影響は、人々の知識が不足していることで、さらに状況は悪化します。正しい情報の提供、迅速な適応対策の指導が必要とされています。
情報提供:マリア・テレサ・コルケ・ピネロ、ヴィクトール・エミリオ・サンチェス・カンポス Asociacion Civil Labor / FoE ペルー
(Voice from communities affected by climate chang)