ボン2会合について(SB32)
ボン2会合(SB32)について
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国連気候変動枠組み条約第32回補助機関会合、気候変動枠組み条約第10回特別作業部会、京都議定書第12回特別作業部会
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COP15コペンハーゲン会合での失望から半年、国連気候交渉下では年末のメキシコ会合に向けた実質的な議論が再開されました。次期枠組みに関して、参加国は 2つの大きな交渉トラックのもとで交渉を進めます。
5月31日から6月11日までドイツのボンで開催された国連気候変動条約第10回特別作業部会(AWG-LCA)と京都議定書第12回特別作業部会(AWG-KP)では、コペンハーゲンでの失敗を糧に、多くの国々の思惑を含んだ話し合いが行われます。
COP15前に比べると、世論の関心も落ち着いた感がありますが、京都議定書の第1約束期間の期限切れを目前にし、また4月にボリビアで開催された世界市民会議の盛り上がりを受け、国際市民社会は実効性の高い議論を求めた多くの提言活動やデモンストレーションによって各国政府に働きかけました。
UNFCCCボン6月会合ホームページ
>https://unfccc.int/meetings/sb32/items/5573.php
交渉の主なポイント
=全体として去年同様に残る先進国と途上国の間の大きな亀裂が解消されるかどうか。
○先進国は京都議定書の第2約束期間のもとで新しい削減目標を設定するかどうか、そしてそれらが十分であるかどうか。
○アメリカは、国際的に、そして科学と歴史的責任に基づいて設定された、法的拘束力のある削減目標を避けることに固執し続けるのかどうか。
○姿を現しつつある気候変動資金メカニズムは、国連監督下に新規に設置され、民主的に管理されるかどうか。
○関連する既存の開発援助を整理し、気候変動資金とした場合、それを認めるのかどうか。
○コペンハーゲン・アコードは、公式にはCOP決定ではないにもかかわらず、アメリカの提案によりLCAのもとの交渉文書にその内容が盛り込まれてきているが、どうなるのか。
ボン2会合の結果
1.AWG-KP:京都議定書の第2約束期間のもとでの先進国の新目標値
○京都議定書の第一約束期間(2008~2012年)の終了が近づいていますが、その次の枠組みをどうするか話し合う交渉が複数あります(主にAWG-KPとAWG-LCA)。アメリカや主要な途上国が排出削減義務を負わない京都議定書の延長に反対する日本やロシアなどの先進国は、京都議定書第二約束期間への約束を拒み、この二つの交渉を統合させることを提案しました。一方、途上国は先進国が京都議定書をつぶし、拘束力を持たない新たな枠組みをつくろうとしていると懸念を示しています。
注:アメリカは京都議定書を批准していないため、AWG-KPの話し合いには参加していません。
2.AWG-LCA:長期対話による条約の実施
○削減目標:アメリカを含めた締約国が次期枠組みにどのような目標値を設定するか議論されましたが、先進国は、科学に基づかず拘束力のない自主的な目標であるべきだと主張しています。
○コペンハーゲン・アコード:アメリカがコペンハーゲン・アコードを交渉のベースにすべきだと提案し、これをどう扱うべきか締約国間で意見が分かれました。(コペンハーゲン・アコードはUNFCCC文書としては採用されていません)
○気候変動資金:コペンハーゲン・アコードで約束された短期の気候変動資金(300億ドル)は、政治的な交渉ツールとして扱われてしまい、実際の途上国のニーズに沿うための議論がなおざりにされてしまっています。また、ツバルなどの途上国は、この短期資金はこれまでに約束された既存の開発援助が含まれていることを批判しました。
○LULUCF(土地利用・土地利用変化と森林):先進国は、積極的にLULUCFルール作りにおいて、さらなる抜け穴を得ようとしました。4億トンもの削減から逃れることができます。(FoEマレーシア)
※LULUCFについて詳しい解説はこちらをご覧ください
○REDD(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減):LCAとSABSTAのもとで議論された「途上国の森林への資金融資に関する議論」は、排出削減の義務を逃れようととあらゆる抜け穴を探している附属書Ⅰ国から大きな関心を集めました。しかし大きな進展は見られませんでした。
※REDDについて詳しい解説はこちらをご覧ください
○UNFCCCの外で進む交渉と民主性:今年になってUNFCCCの交渉の外でも、森林に関する議論がバリ-オスロREDDプロセス(REDDプラスパートナーシップ)という場で進められていたり、気候変動資金の資金源に関しては、国連のアドバイザリーグループで進められています。さらに、昨年のコペンハーゲンにおける一部の有力国のみで進められた非民主的な交渉プロセスをメキシコ会合に向けて繰り返そうと提案する国々もあります。
FoEインターナショナルの活動
○FoEインターナショナルおよびボリビア政府は、4月19~22日にボリビアのコチャバンバで行われた「気候変動と母なる地球の権利に関する世界市民会議(World People's Conference on Climate Change and the Rights of Mother Earth)」の成果文書をUNFCCCの交渉文書に反映させるよう、働きかけました。
世界市民会議のページ: https://pwccc.wordpress.com/
宣言文書: https://pwccc.wordpress.com/2010/04/24/peoples-agreement/
FoE International 世界市民会議関連ページ: https://www.foei.org/en/blog/world-peoples-summit-on-climate-change-opens-in-cochabamba/?searchterm=World People's Conference on Climate Change