COP13, COP/MOP3
バリ気候会合で求められる意欲的なロードマップの合意
FoEインターナショナル プレスリリース
2007年11月26日
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12月3日から14日にかけてインドネシアのバリにおいて、国連気候変動枠組条約の第13回締約国会議が開催されます。 FoEインターナショナルは、気候の危機に立ち向かうため、緊急に必要とされる変化に先立つ、意欲的なロードマップへの合意に向けて、働きかけていきます。
ジョセフ・サクーン(FoEインターナショナル気候コーディネーター)のコメント:
先進工業国は、2015年までに温室効果ガス排出のピークに達した後の、大幅削減のために、法的拘束力のある目標とタイムテーブルに合意しなければならなりません。歴史的及び現在の温室効果ガス排出の大きな責任をもつこれらの国々は、行動するに充分な富を保持しており、また、義務があります。先進国は、不公正な資源の消費と、途上国から収奪した資源により生じた環境債務に、今まさに返済を迫られています。緩和と適応の包括的な努力が求められており、バイオ燃料や原子力、あるいはモノカルチャーのプランテーションを含むカーボンオフセット制度のような適切でない解決策は絶対に導入するべきでありません。 |
ファラ・ソファ(FoE Indonesia(WALHI)副代表)のコメント :
今回の気候会合のホスト国であるインドネシアは、適切でない気候変動対策、バイオ燃料の実験場として使われてきました。油ヤシなどのプランテーションのために、泥炭地を乾燥させ、火を放つといった熱帯林の破壊は、膨大な量の二酸化炭素を排出します。そのためにインドネシアは、アメリカと中国に次ぐ、世界で三番目に多く温室効果ガスを排出する国になってしまっています。 |
ステファニー・ロング(FoE インターナショナル気候コーディネーター)のコメント:
現在の先進国による途上国の緩和と適応基金は、実際のニーズと責任に基づくというよりも、もっぱら自主的な『チャリティー』に依っており、明らかに不充分なものです。先進工業国は、温室効果ガスを排出し続けた前世紀を通じて、気候変動の影響を回避することのできるだけの富を蓄えています。世界的に、毎年何十億ドルという資金が、軍事防衛や、環境や社会への債務への支払いにあてられています。このような資金は、脆弱なコミュニティーの気候変動の影響に対する適応や、復興のためのプログラムに、当てられるべきです。 |
ヒルデブランド・ヴェレス(FoE インターナショナル気候コーディネーター)のコメント:
持続可能な社会の実現を可能にする施策を、政府は用意する必要があります。例えば、エネルギーの供給源や消費の在り方において、コミュニティーレベルでの意志決定の支援や、化石燃料への投資を見直して、再生可能エネルギーや省エネ対策への投資に移行していくことです。このような施策は、バイオ燃料やカーボンオフセットのような、責任の所在を曖昧にするような横道にそれることなしに、迅速に実施されなければなりません。 |
インドネシアでは4000万人の先住民族を含む1億人の人々が、森林や天然資源に依存して生活しているとみられています。先住民族によって代々利用されてきた森林の大部分が、すでにプランテーション、とくに油ヤシのプランテーションのために奪われてしまっています。
バイオ燃料の生産促進は、コロンビア、ブラジルからインドネシアやマレーシアまで、環境社会へ甚大な被害が生じさせる原因となっています。土地と水資源を奪う企業経営のプランテーションのために、世界中で森林が伐採され、先住民族は土地を追われています。バイオ燃料の開発のために熱帯林が伐採され、泥炭地は乾燥させられ、そのために莫大な二酸化炭素が大気中に排出されているというのに、バイオ燃料はあいかわらず気候変動への切り札として強硬に推進されている。最近の研究は、世界中でバイオ燃料がもたらしている環境社会影響に言及しています。
ファラ・ソファ(FoE Indonesia(WALHI)副代表)のコメント :
先進工業国の持続不可能な消費需要に起因するバイオ燃料ブームは、森林破壊や先祖代々の土地の収奪、先住民族の土地所有権の侵害によって、この危機的状況をさらに悪化させています。EUの発表によると、今年バイオ燃料の運輸部門での需要が高まる中、インドネシア政府はバイオ燃料の開発に約10億ドルを投じることを決定しました。森林は伐採され、先住民族は土地を奪われます。ただ車を走らせるためだけに。 |
森林減少による排出を削減すること(REDD)は、ポスト2012の議題の中でも、鍵となるテーマです。FoE インターナショナルは、森林保護プログラムの中で、保護区域から先住民族や森林に依存して生きる人々をしめだすようなあらゆる行動を禁止することによって、コミュニティーの権利や先住民族などの土地所有権を、保障できると考えます。そのような行動を禁止することができなければ、人種差別的な環境格差を認めることになり、質の高い文化的な保護の実施は続けられないでしょう。
ポスト2012の環境対策の合意を弱めることにもなるので、産業部門や運輸部門での排出削減を世界規模で埋め合わせるような「認証制度」や取引を、森林減少を減らすための金融システムに組み込むことはあってはならない、と環境団体は述べます。
森林減少の削減計画を通じて、排出量取引に「吸収源」概念を組み込むことは、国家や企業が自らの排出を続けるために森林を買い上げることを許すことにより、森林とそこに暮らす人々に多大なリスクをもたらします。
FoE インターナショナルは、適応対策は生態系の保護、および世界の最貧困層の生計と人間保障を守るように計画されるべきだと主張します。コミュニティーベースで対策を立てることは、適応プロジェクトが文化的、機能的、社会的に適正であり、気候変動の影響にたいして復興力を高めることができます。
国連開発計画の総裁であるカーマル・ダーヴィスによれば、気候変動による影響に対応するためには、現在の支援額からさらに50~100%の増加、金額にして500~1000億ドルが新たに必要になるといいます。