COP12, COP/MOP2
進む地球温暖化問題解決に求む世界首脳のコミットメント
FoE Japan プレスリリース
2006年11月17日(ナイロビ、ケニア)
ケニヤの集中豪雨で6万人が避難を強いられるというなか、ナイロビで11月6日から17日まで開かれていた国連気候変動枠組条約、京都議定書締約国会合(COP12・COP/MOP2)は、京都議定書の現在の目標が終わる2012年以降の次期国際目標の為の困難な政府間交渉を乗り越え、来年12月のインドネシアでの第13回条約会合で包括的な将来目標の交渉を始めるための準備に合意した。FoE Japanは昨年12月に採択された2012年より先の国際目標交渉の最初の一歩として評価する一方、来年の条約・議定書会合で次期目標合意の為の途上国を含む包括的な交渉開始の合意がなされるよう、強く求めるものである。次回会合では次期目標交渉の明確なスケジュール及び手続きが合意されなければならない。
今回のナイロビ会合は既に温暖化の被害に苦しむアフリカで開かれた会議であり、温暖化の被害に脆弱な途上国への支援強化が大きな課題のひとつであった。残念ながら適応基金の合意には至らなかったが、基金の運営を途上国が担うことや支援原則に合意し、来年以降の基金運用に道を開いた。国連の各種基金は主に資金を出す先進国が中心の運営であるが、途上国での排出削減事業で生まれる削減クレジットの2%が自動的に繰り込まれるという画期的な基金の運営が途上国中心になされる点を評価したい。次期目標交渉の中で、この適応基金の適応対象を先進国間の排出量取引まで拡げることにより、真の意味での汚染者負担原則が実現するよう求める。
将来目標の交渉では京都議定書の原則を尊重し、先進国は更なる削減目標に合意するため議定書作業部会で交渉が進められなければならないが、その来年の作業計画の合意、また条約の究極の目標や先進国の目標のみならず現在の議定書市場メカニズムの評価を行うことが含まれたことも評価したい。また議定書9条の下で現在の議定書と条約の取り組みの見直しを行うことに合意したことも重要である。これにより現在の先進国のみの排出削減では解決し得ない温暖化問題の地球的な解決に一歩を踏み出したことも重要である。この合意により日本が強く主張したIPCC第四次評価報告を含む最新の科学的知見に基づき次期目標を定めるプロセスが動き出すことになる。
二週間に渡るナイロビでの交渉で改めて浮き彫りになったのは先進国と途上国の間の根強い不信感であり、また限られた権限で交渉する各国政府代表団の限界を改めて示した。気候変動は地球規模での問題であり、今後10年程で地球的な規模での合意と対策がとられねばならない緊急性に鑑み、環境大臣に任せるのみならず世界の首脳がこれを今世紀最大の問題ととらえ、次回アジアでの会合に向け国連プロセスへ強い政治的コミットメントを示すよう求めるものである。
FoE Japan
小野寺ゆうり