COP12, COP/MOP2
FoE Japanの主張
COP/MOP2,COP12 始まる
地球温暖化を国際協力で食い止めようとする国際会議がケニア・ナイロビで、11月6日から11月17日まで約2週間にわたって開催されています。国際会議は、昨年発効した「京都議定書」の批准国による第2回締約国会合(COP/MOP2)と、議定書の親条約である「気候変動枠組み条約」の第12回締約国会議(COP12)です。
日本をはじめ、欧州連合(EU)など先進各国に二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書の実行は、2008年からの5年間が対象期間です。その後の2013年以降の世界の削減計画は全くの白紙です。議定書が定めるのは、先進国が温室効果ガスの総排出量を、1990年に比べて、約5%削減することに過ぎません。しかも、議定書から、最大の排出国の米国は離脱したままであり、経済躍進の著しい中国やインドなど途上国は、削減義務の枠組みの外にあります。
議定書の現在の枠組みを土台に、米国の回帰を求め、中国なども参加する、2013年以降の大幅な排出削減の体制(レジーム)をどう構築するのか。それを協議する国際交渉を、レールに乗せられるかどうか。ここが、ナイロビの国際会議の焦点です。温暖化交渉の最大の難所といえるでしょう。
難航する会議のポイント
現在、ナイロビ会議は折り返し点を越えたところですが、様々なところですでに難航を重ねています。その最大のものが、議定書9条に基づく「議定書の見直し」に関する協議です。
日本やカナダなどの先進国は、2013年以降は、途上国も温室効果ガスの排出抑制や削減に具体的に参加するような形に、現在の議定書を見直したい、と主張しています。途上国側は、見直しは、先進国の新たな削減義務や途上国への技術、資金供与などに限定するべき、など繰り返しています。これは、北と南、従来どおりの先進国と途上国の根深い対立です。
もう一つの大きな対立は、先進国同士です。これは、議定書3条9項に基づく特別作業部会(AWG)での協議をめぐってのものです。
温暖化交渉をリードするEUなどは、議定書の実施が始まる2008年までに、2013年以降の新たな排出削減義務や削減対象期間などについて、各国が合意をめざすべきだと主張しています。いわば、協議の「締め切り」の設定を交渉の前提にし、延々と議論が続くことを避けようというものです。EU域内ではすでに、CO2の排出量取引の「炭素市場」が昨年1月から始まり、取引価格も上昇し、定着しつつあります。協議がただ長引き、次期体制が空白ともなれば、このマーケットも機能しなくなります。
問題は、この「締め切り」論に、日本が先頭に立って、強硬に反対していることです。その原因は日本政府の外交姿勢にあります。環境省の幹部が、「2008年大統領選挙のある米国が議定書から離れたままで、どう対応するか分からないうち、2013年以降の削減を約束できない」と、語っています(11月8日付け読売新聞朝刊、解説面)。これは恐らく、本音の発言でしょう。この日本のスタンスに、ナイロビ現地のNGOは、11月9日の「化石賞」に選びました。
FoE Japanは主張します
FoE Internationalは、今回の国際会議について、以下の基本方針を表明しています。
急激な地球温暖化に対し、大気中のCO2を安定化させる国際協力は、今後10年をどうするか、にかかる。現在の「京都議定書」のターゲットは、先進国だけに限った「慎ましやかな」ものである。産業革命以前から平均気温上昇を2度以内の抑えることが気候政策の基本となるべきである。そのためには、先進国は2013年以降においても、排出削減でリーダーシップを発揮するべきであり、2020年までに35%台の排出削減が必要になる。
2013年以降の「新削減体制」は、京都議定書の特色である、削減義務の「拘束性」を土台に、さらに大幅な削減を目標としなければならない。「新体制」をめぐる国際交渉は、2008年末までに完了しなければならない。議定書の実施が終了する2013年以降、速やかに第二の強力な「削減レジーム」が続かなければならない。
このFoE Internationalの方針に加え、FoE Japanは、日本政府に対し、次の主張をします。
地球温暖化防止の国際交渉で今、最大の難局を迎えている。日本で誕生した「京都議定書」の基本的な枠組みを、より強力な新体制に発展させる機会であり、日本がここで指導力を発揮しなければならないはずである。しかし、現実には、不確かな米国の動きを待つ、という姿勢が否定できない。2008年まで残り時間は、ほとんどない。ナイロビ国際会議で、「地球温暖化問題」に対する「経済大国日本」の危機感の低さが露呈している。