【10/1 アクション報告】国際協力70周年 ミャンマー軍を利する「協力」ではなく困難な人たちに届く援助を今すぐ!ー外務省前アクション
#ミャンマー軍の資金源を断て
#JapanStopODAtoTheMyanmarJunta #NoMoreBusinessWithTheMyanmarJunta
ミャンマーでは、気候変動の影響で激化する災害に人びとが苦しんでいます。しかし、国際的な支援の手は十分に届いてはいません。2021年2月1日にミャンマー軍がクーデターを起こしてから、3年8ヶ月にもわたり、軍は違法な状態で国を支配し、人びとを殺戮し、不当に拘束した人たちを拷問やレイプで苦しめています。各地で軍事的な抵抗を受け陸上での支配地域を徐々に失っている軍は、頻繁に空爆を行っています。空爆は、子どもを含む民間人を巻き込むだけでなく、村を焼き、人びとの生活基盤をも奪っています。このようなミャンマー軍の体制を正式な国家として承認した国はありません。
ミャンマー軍によって殺害された人は確認されているだけでも5,688人、死亡の詳細が未確認の方も約2,500人で、今も2万人以上の人たちが不当に拘束されたままです(9月23日時点。政治囚支援協会調べ)。国連人道問題調整事務所(OCHA)の発表では、9月初旬に首都ネピドー、バゴー、カヤー、カイン、マグウェイ、マンダレー、モン、シャン東部・南部という広範な地域を襲った台風「ヤギ(台風11号)」によって、推定88.7万人が避難を余儀なくされています[1]。しかし、軍に対抗する勢力が統治する地域に軍が援助することはありえません。軍自らの支配地域ですら支援が行き届かないためか、これまでは拒んできた海外からの支援を要請するとも報じられています[2]。
クーデターにより、契約先である選挙で選ばれたミャンマー政府が実質的には消滅したにもかかわらず、日本政府は既存のODA(政府開発援助)案件を継続したままです。その総額は7,396億円にものぼります。ODA事業には、バゴー橋建設のように軍系企業に利益をもたらすものがあります。また、日本政府が貸し出したODA資金がミャンマーの金融機関にプール・管理される「ツーステップローン」という形のODAがありますが、その資金は金融機関を支配下に置くミャンマー軍の管理下に入ってしまう恐れがあるなど多くの問題を抱えています[3]。
円借款はミャンマーが日本に返済しなければいけない「融資」です。ミャンマー軍の資金源となっている、またはその可能性が十分にあるODAの返済を、ミャンマー軍による深刻な人権侵害や残虐行為に苦しむミャンマーの人びとに、日本の私たちは数十年先まで負わせているのです。
今年3月にタイ政府が行った援助は、タイとミャンマーの赤十字社が実施し、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)が監督しました。この支援に関し、カレンのコミュニティや国内避難民(IDP)、難民への人道支援を促進してきたカレン民族の市民社会組織最大のネットワーク、カレン平和支援ネットワーク(KPSN)は、報告書「倒錯する優先順位 カレン州におけるタイの人道支援活動の概観(Conflicting Priorities: A review of Thailand’s humanitarian initiative in Karen State)[4]」で、
・支援をそれほど緊急に必要としていないIDP地域が支援の対象になった
・配布された救援物資がIDPの優先ニーズに合っていなかった
・ミャンマー軍の国家統治評議会(SAC)が広報のために人道支援を利用することを許した
といった問題を報告しています。また、援助を担うミャンマー赤十字がミャンマー軍の高官らが深く関わる組織であることも以前から指摘されていることです。国連など国際機関を通した日本の援助も、ミャンマー赤十字を通して行われており、「援助の武器化」が指摘されています。5月に私たちが主催したオンラインセミナーで、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)元所長のアデリーナ・カマルさんは、「軍政やミャンマー赤十字のような軍政の協力団体、または軍政と提携する組織を通じて援助を届ける国家中心主義的アプローチを重視する支援は、危機の文脈や現場の状況に合っていない」という重要な指摘をしています[5]。在日ミャンマー人や日本の市民グループも、軍を通さない国境越えの支援を続けています。日本政府は今こそ、現状を正しく認識し、従来のODAを脱却し、人びとに届く援助を実施すべきです。
10月6日は、日本がコロンボ計画に加盟し国際協力を開始した日として国の「国際協力の日」に定められています。この70年という期間は、ミャンマー軍が自治や民主主義を求める人びとを、「敵」として攻撃し続けていた期間と同じです。日本政府は、過去に、ミャンマーの軍事政権に援助を提供し、返済されなかった債務の多くを免除し、間接的にミャンマー軍の体制を支えてきました。また、先進国である日本は、激化する気候変動にも多くの責任を負っています。この過去を反省し、今、命の危機にさらされている多くの人びとを救うため、軍を通さない援助を日本政府に求めます。そのような市民の声を外務省・日本政府に届けるため、外務省前でアピールを行いました。
官邸前アクションの様子
呼びかけ団体
メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)
問い合わせ先
国際環境NGO FoE Japan >お問合せフォーム