『Wiser with Wood 賢い木材の使い方』改定EU再エネ指令(REDIII)ガイドの日本語版を公開―バイオマスによる森林破壊を防ぐために活用を

バイオマス2024.5.31

森林や人権に取り組む欧州のNGO Fernと気候や環境に取り組む法律家グループClientEarthは、2023年11月、『Wiser with Wood 賢い木材の使い方 森林、気候、公衆衛生および他の木材利用産業をより適切に保護するためのEU再生可能エネルギー指令改定版(RED III)国内法化ガイド」と題するレポートを発表しました。

本レポートは、改正EU再生可能エネルギー指令(Renewable Energy Directive、2023年11月発効、以下EU-REDIII)のバイオマス関連部分の規定を解説し、国内法への反映にあたっての提言を行ったものです。

国際環境NGO FoE Japanは、両団体のご了解を得て、本レポートの日本語訳版を作成しました。

EU-REDIIIをめぐっては、森林由来のバイオマス燃料の扱いが大きな議論となりました。

バイオマス燃料の需要拡大が、森林破壊の原因になることが危惧された上に、バイオマス・エネルギーの利用が気候変動対策としても疑問視されたためです。

最終的に、REDIIIでは、森林由来のバイオマス燃料を使用している発電目的のみの施設には財政支援を行わないこと、カスケード利用、産業用丸太・製材・株・根などの特定の原料で生産されたエネルギーに対する直接的な財政支援の禁止、生物多様性の高い土地(原生林や老齢林)をバイオマス燃料の伐採から除外することーーなどが盛り込まれました。

日本でも、現在、バイオマス事業計画策定ガイドラインのうち、木質バイオマスに関する規定の強化が検討されています。EUで進むバイオマスエネルギーへの規制強化は、日本においても大いに参考になるはずです。バイオマス燃料拡大による森林破壊を防ぐたに、本レポートをご活用いただければ幸いです。

目次

まとめと提言
1. 木質バイオマスセクターの問題とは?
1.1 税金と公的予算の無駄遣い
1.2 欧州の森林、生物多様性、環境への損害
1.3 公衆衛生への損害
1.4 より価値の高い木材利用を行う他の産業への損害
1.5 クリーンエネルギーへの移行の妨げ

2. RED IIおよびRED IIIの国内法化:要件と可能性
2.1 再生可能エネルギー加速化区域
2.2 カスケード原則の実施
 ケーススタディ――フランドルにおけるカスケード原則の実施
2.3 バイオマス燃焼設備を支援する条件
2.3.1 バイオマス由来の電力生産の禁止
2.3.2 温室効果ガス排出削減基準
2.4 木質バイオマス燃料によるエネルギーを支援する条件
2.4.1 特定の木質バイオマス原料から生産されるエネルギーに対する直接的な財政支援の禁止
2.4.2 木質バイオマス燃料に適用できる持続可能性基準
 対象除外地域
 持続可能な収穫基準
 LULUCF基準
2.4.3「最周縁地域(outermost regions)」に対する適用制限
2.5 事業者はどのようにRED III基準を遵守しなければならないか
 マスバランス方式の監査――民間認証の役割
2.6 監視と報告の要件
 森林バイオマスのエネルギー利用の監視

結論

【ウェビナー】改定EU再生可能エネルギー指令と日本への影響:バイオマスによる森林破壊を防ぐために

ゲスト:Martin Pigeonさん(Fern, 森林・気候変動・バイオエネルギー キャンペーナー)

【日時】2024年5月31日(金)16:00-17:30
【会場】オンライン会議システムzoom(ウェビナー機能を使用)

詳細はこちら

 

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