連続オンライントーク第7回:核のごみ「文献調査」が地域にもたらすものとは? 佐賀からの報告
福島第一原発事故から13年の今、原発ゼロ社会の実現に向けて考える連続オンライントーク。第7回は、「核のごみ」についてです。
「核のごみ」とは、原発から出る使用済み核燃料を再処理する過程で発生する、高レベル放射性廃液をガラス固化したものです。その最終処分場はまだ候補地すら決まっていません。
この「核のごみ」をめぐり、5月10日、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長が、選定プロセスの1段階目となる「文献調査」の申し入れ受諾を表明しました。同町議会に調査受け入れを求める請願が提出されたことが明らかになってから、わずか1カ月足らずの判断でした。
この間、市民団体や自治体議員連名が反対の要請書や受け入れに反対する署名を相次いで提出しましたが、こうした声は顧みられることはありませんでした。
核のごみをめぐる「文献調査」は、現在までに、北海道寿都町、神恵内村の2自治体が受け入れています。しかし、受け入れをめぐり賛否は分かれ、住民の間には深刻な分断が生じている状況です。
長崎県対馬市では、比田勝市長が文献調査を受け入れないことを表明。理由として、市民の合意形成が十分でないこと、文献調査だけにとどめることはできないこと、地震などの想定外の要因による安全性への不安などを挙げました。
国はGX(グリーントランスフォーメーション)の名のもとに原発推進に舵を切りました。国が前面に立って、最終処分をめぐる「理解の促進」をはかるとしています。
また、文献調査を受け入れた自治体は、国から最大20億円の交付金が支給されます。原発を地域に押し付け、核のごみも地域に押し付ける、国策に従いリスクを受け入れた自治体には交付金を支給する…これは過疎に悩む自治体の弱みに付け込み分断を生み出す、不公正で不平等なやり方ではないでしょうか。
「核のごみ」は近づくと人が短時間で死に至るほどの強い放射線を出す危険なものです。これを地下300メートル以深に埋めることになっていますが、何万年もの管理が必要です。2023年10月には、地質の専門家300人余りが声明を発表し、「火山国とも地震国とも言われる日本は、地殻変動が極めて活発」とし、「日本に適地はない」と指摘しました。
このたび、玄海町の文献調査の受け入れに反対し、1万筆を超える署名を提出した「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」代表の石丸初美さんらをゲストにお迎えし、お話をおききます。
原発のない未来を考えていくため、連続オンライントークを開催中です。過去のオンライントークの資料やアーカイブ映像は以下からご覧いただけます。
2024年3月28日(木)14:00~15:30
「穴だらけの原子力防災」の意味すること…満田夏花/FoE Japan
全国で常習化 活断層の過小評価…阪上武さん/原子力規制を監視する市民の会
2024年4月5日(金)15:00~16:30 吉田明子/FoE Japan
2024年4月10日(水)14:00~15:30 ゲスト:山川剛史さん/東京新聞編集委員
第4回 どう伝えていくか~「福島ぽかぽかプロジェクト」で見えてきたこと
2024年4月16日(火)13:00~14:30 満田夏花、矢野恵理子/FoE Japan
第5回 危険は地域に、ツケは未来に~柏崎刈羽原発から考える原発の無責任構造
日時:2024年4月22日(月)16:30~18:00
ゲスト:菅波完さん(高木仁三郎市民科学基金事務局長)
日時:2024年4月25日(木)20:00~21:30 吉田明子/満田夏花/轟木典子 (FoE Japan)