[意見記事]アフリカがG7に求めるのは化石燃料への支援ではなく再生可能エネルギーだ

気候変動

 G7広島サミットを5月に控え、岸田文雄首相は4月下旬から5月初頭にかけて、アフリカ諸国を歴訪しました。
それに合わせ、日本のアフリカ支援や化石燃料支援について、FoEモザンビークのメンバーらによる意見記事がロイターに掲載されました。詳しくは以下の本文(FoE Japan翻訳)をご覧ください。原文は5月4日にロイター通信に掲載されたものです。

アフリカがG7に求めるのは化石燃料への支援ではなく再生可能エネルギーだ

日本が主催するG7首脳会議を5月に控え、岸田文雄首相は金曜までアフリカ諸国を歴訪する(注:岸田首相によるアフリカ歴訪は4/29から5/5の間に行われた)。G7議長国として、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークを訪問し、「グローバル・サウスへの(日本の)関与を高める」ことを目的としている。日本は、G7議長国としての役割を利用して、アジアや世界各地で化石燃料を多用するエネルギー戦略を推進しているとして、他のG7各国から非難を浴びている。

気候危機の影響を最も大きく受け、エネルギーへのアクセスの格差が最も大きく、再生可能エネルギーのポテンシャルが最も高い大陸であるアフリカには、化石燃料へのさらなる投資は必要ない。アフリカ大陸の化石燃料依存を岸田首相が促進することは許されない。岸田首相は、再生可能エネルギー100%への公正な移行を望むアフリカの人々の声に耳を傾けなければならない。 

アフリカの市民社会組織として、私たちは経済的に豊かな国々に「アフリカでガス開発をしないで(Don’t Gas Africa)」というメッセージを送る。クリーンな再生可能エネルギーにアクセスできないアフリカの人々が6億人もいるなか、安価でクリーン、かつ分散型の再生可能エネルギーを拡大することが、エネルギー排除をなくし、アフリカの人々のニーズを満たすための最速かつ最良の方法であると、私たちは訴える。

先月、G7環境・エネルギー・気候変動大臣会合が札幌で開催され、気候目標を達成しながらウクライナ危機に紐づく現在の化石燃料エネルギー危機への対応について議論がなされた。日本は、ガスや液化天然ガス(LNG)、アンモニアのような化石燃料資産の寿命を延ばす化石燃料ベースの技術への投資を支持するようG7各国を説得しようとしたものの、英国とフランス、カナダはこれを押しとどめた。

そのかわりに、G7の閣僚たちは「世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるために必要な道筋に沿って、遅くとも2050年までにエネルギーシステムにおけるネットゼロを達成するために、排出削減対策が取られていない化石燃料の段階的廃止を加速させる… 」ことに合意した。 また、「各国によって明確に定義された、1.5℃目標に合致する限定的な状況を除き、排出削減対策が取られていない化石燃料エネルギー部門に対する国際的な公的支援を2022年に終了した…」と強調した。

これらは重要なコミットメントだ。国際エネルギー機関(IEA)によると、温暖化を1.5℃に抑制するのであれば、座礁資産にすることなく、石炭や石油、ガスの供給やLNGインフラに新たに投資しないことを意味する。さらに、化石燃料が開発を支えるというのは神話である。何十年もの間、アフリカでの化石燃料採掘による資源と利益は最も経済的に豊かな国々に輸出され、アフリカのコミュニティは汚染や不平等に見舞われ、エネルギーへのアクセスが乏しい状況に取り残されてきた。

再生可能エネルギーへの転換と、化石燃料への依存からの脱却は、高騰するエネルギーコストを恒久的に引き下げ、エネルギー安全保障を向上させる。再生可能エネルギーの技術は、より安価で、より迅速に拡大することができ、気候変動による被害の拡大や財政不安、世界のガス需要の減少に伴う座礁資産リスクなど、さらなる不安定さをもたらすこともない。また、再生可能エネルギーは、コミュニティ主導で所有することができ、農村部のコミュニティによりよく普及する。

モザンビークのガス危機

金融の流れを気候変動目標に合わせるという長年の約束にもかかわらず、Oil Change Internationalのデータによると、2020年から2022年にかけて、化石燃料プロジェクトに対してG7各国は少なくとも730億米ドルの国際公的資金を提供し、それは同期間のクリーンエネルギー支援(286億米ドル)の約2.6倍に相当する。G7各国の閣僚は、現在、この化石燃料の融資を終了したと主張しているが、データを見ればこれは真実ではないことがわかる。日本の輸出信用機関である国際協力銀行は、2023年にウズベキスタンで新規のガス事業に融資し、LNG輸入の支援を承認している。2022年末の化石燃料支援の終了期限前にモザンビークでの大規模なガス開発を支援したものの、壊滅的な結果を招き、日本は追加の金融支援を検討している

モザンビークのガス開発に対する国際的な公的資金のほとんどすべてが、エネルギーアクセスの向上ではなく、ガス輸出に関連する施設に費やされている。ガス開発は、この地域ですでに起きていた紛争を悪化させた。100万人が立ち退きを迫られ、4,600人が亡くなったうえ、環境は汚染され、地域の気候変動に対する脆弱性は悪化した。その一方で、地域コミュニティは社会経済的な恩恵をほとんど受けていない。日本は、時代遅れで気候を破壊する化石燃料技術をアフリカに持ち込むのではなく、化石燃料に対する国際的な金融支援を終わらせるというG7の約束を守り、代わりに、同じく経済的に豊かな国々と共に、5月のG7首脳会議で、気候変動や損失と損害に対する金融支援と、公正なエネルギー移行支援の公平な分配をグローバル・サウスに提供することを確実にすべきである。

G7は、化石燃料ファイナンスを転換することで、クリーンエネルギー・ファイナンスを少なくとも340億ドルに増やすことができる。これは、360億ドルと推定される、世界のクリーンエネルギーへのアクセスのファイナンスの格差を縮めるのにほとんど十分な金額である。これは、アフリカと世界のために、より安全で豊かな未来を確保するための唯一の効果的な方法である。

執筆者のThuli MakamaはOil Change Internationalのアフリカディレクター, Amos Yesutanbul Nkpeeboはガーナの気候変動キャンペーナー, Daniel RibeiroはFriends of the Earthモザンビークのメンバー, そしてSalome NdutaはOilWatch Africaのメンバーである。

本記事は5/4にロイターに掲載されたものをFoE Japanが翻訳したものです。 

 

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