【共同声明】気候・環境・社会の状況はチレボン石炭火力発電所1号機のより早期の閉鎖と2号機の稼働開始の停止を必要としている ― インドネシアにおける石炭火力発電所の早期閉鎖計画 第一号案件の発表を受けての市民社会からのコメント

化石燃料2023.7.10
住宅街から見たチレボン石炭火力発電所1号機(660 MW)(左)と試運転中の2号機(1,000 MW)
丸紅本社前(東京)

 11月14日、アジア開発銀行(ADB)、インドネシア政府、丸紅が出資する事業者が、ADBのエネルギー移行メカニズム(ETM)の下で、チレボン石炭火力発電所1号機の早期閉鎖を進めることを発表しました。これを受け、FoE JapanはWALHI(インドネシア環境フォーラム:FoEインドネシア)と以下の共同声明を発出しました。私たちは、チレボン1号機の一刻も早い早期閉鎖が、事業者が相応の責任を伴う形で行なわれること、またチレボン2号機の稼働開始を中止するよう強く求めます。

2022年11月14日

【共同声明】気候・環境・社会の状況はチレボン石炭火力発電所1号機のより早期の閉鎖と2号機の稼働開始の停止を必要としている ― インドネシアにおける石炭火力発電所の早期閉鎖計画 第一号案件の発表を受けての市民社会からのコメント

11月14日、アジア開発銀行(ADB)、インドネシア投資公社(INA)、インドネシア国有電力公社(PLN)、及びチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)との間で覚書が締結され、ADBのエネルギー移行メカニズム(ETM)の下で、チレボン石炭火力発電所1号機(チレボン1号機)の早期閉鎖が進められることを確認したとの発表がなされた。(脚注12

私たちはチレボン1号機が早期閉鎖される方向であることを一般的には歓迎する。今回の動きは、インドネシア政府、ADB、また事業者自身が、チレボン1号機の稼働を継続すれば気候変動の悪化を招くと認めたということでもある。

しかしながら、ETMの下で、バイオマスやアンモニア、水素との混焼など、代替電源を手配して、発電所を「再利用」するべきではない。また今回の合意では、チレボン1号機において10~15年の早期閉鎖が計画されているようだが、これまで地域社会が被ってきた大気汚染や生計手段への影響についても考慮すれば、チレボン1号機の一刻も早い早期閉鎖が必要不可欠である。

さらに、事業者であるCEP(出資者は、丸紅(32.5%)、韓国中部発電(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%))は早期閉鎖に向けて補償措置を受けることになるようだが、民間企業がとるべき座礁資産に対する責任を公的資金で補填することによるモラル・ハザードも懸念される。こうしたメカニズムが、現在も石炭セクターへの投融資を継続している民間企業に対し、将来的に座礁資産に対する責任を逃れる、あるいは回避することが可能であるという誤ったメッセージを送ることになる。

実際、現在試運転中のチレボン石炭火力発電所2号機(チレボン2号機)の事業者であるチレボン・エナジー・プラサラナ社に座礁資産のリスクを考慮することなく、2号機の稼働を開始させるインセンティブを与えることになるだろう。CEPRの出資者は、丸紅(35%)、Samtan(20%)、IMECO(18.75%)、韓国中部発電(10%)、JERA(10%)、Indika Energy(6.25%)である。

気候危機を悪化させることからも、また地域社会の環境社会影響を悪化させることからも、チレボン2号機の稼働開始は中止すべきである。また、チレボン2号機では、贈収賄のケースが調査中である。こうした汚職のケースについては、早急かつ十分に解明がなされるべきである。

私たちは改めて、チレボン1号機の一刻も早い早期閉鎖が、事業者が相応の責任を伴う形で行なわれること、またチレボン2号機の稼働開始を停止するよう強く求める。

脚注:
1. https://www.adb.org/news/adb-indonesia-partners-sign-landmark-mou-early-retirement-plan-first-coal-power-plant-etm
2. https://www.marubeni.com/jp/news/2022/release/00089.html

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連絡先:

Meiki – WALHI West Java(インドネシア環境フォーラム:WALHI西ジャワ) (+62 813 1491 3806 )

Fanny Tri Jambore – WALHI National (WALHI本部)(+62 838 5764 2883)

国際環境NGO FoE Japan – 波多江 ( hatae@foejapan.org )

 

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