声明:原発運転期間「原則40年」ルールの削除容認に抗議-規制委の方針は、国民を危険にさらし、自らの責任を放棄するもの

原発

原子力規制委員会が、原発の運転期間を原則40年、最長60年とする原子炉等規制法の規定を削除することを容認する方針を示したのに対して、国際環境NGO FoE Japanは以下の抗議声明を発出しました。

2022年10月6日
国際環境NGO FoE Japan

声明:原発運転期間「原則40年」ルールの
削除容認に抗議

規制委の方針は、国民を危険にさらし、自らの責任を放棄するもの

原子力規制委員会は10月5日、原発運転期間を原則40年、原子力規制委員会の審査を経て1回だけ20年延長できると定めた原子炉等規制法の規定を削除することを容認する意向を示した。
私たちはこれに強く抗議し、方針の撤回を求める。

初代の原子力規制委員会委員長の田中俊一氏は、「40年運転制限制は,古い原子力発電所の安全性を確保するために必要な制度。40年を超えた原発は厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させない」と述べていた。

福島第一原発事故のとき、第一原発1号炉は運転開始40年の特別な検査に合格したばかりであった。それでも事故は起きた。事故の教訓として2012年の原子炉等規制法の改定で原則40年の寿命が定められた。

老朽原発を動かすことは極めて大きな危険を伴う。運転により原子炉が中性子にさらされることによる劣化に加え、運転休止中も時間の経過に伴い、配管やケーブル、ポンプ、弁など原発の各設備・部品が劣化する。交換できない部品も多く、電力会社の点検できる範囲も限定的である。また設計が古く、構造的な欠陥をかかえていることも深刻な事故を引き起こす原因となる。

規制委の審査は電力会社の申請に基づくものであり、万全とは程遠い。

規制委の山中伸介委員長は、「原発の運転期間は利用政策であり、規制委が意見を述べるべきではない」としたが、果たしてそうだろうか。原発の老朽化に関する審査にはおのずと技術的物理的な制約があり、運転期間に上限を設けることは規制の一部として極めて妥当な手段である。規制委の今回の決定は、福島原発事故から得た教訓を蔑ろにし、規制委自らの、国民を守るべき責務を放棄したものだ。強く抗議し、撤回を求める。

 

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