【プレスリリース】日本政府・企業に対し、重ねてイェタグン・ガス田からの責任ある撤退を求める

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メコン・ウォッチ
国際環境NGO FoE Japan
Justice For Myanmar

3月25日、ENEOSホールディングス(ENEOS)がミャンマーのイェタグン・ガス田開発事業から撤退の方針を固めたと報じられました。日本政府(経済産業省)も同様で、これは、先月報じられた三菱商事の撤退方針に続くものです。遅きに失していますが、日本の官民がこの問題のある事業から撤退する方向に動いていることは一定の前進と言えます。しかし、メコン・ウォッチ、FoE Japan、Justice For Myanmar (JFM) は、この撤退が責任ある形で行われるか依然として懸念を有しています。

メコン・ウォッチ、FoE Japan、JFMは、イェタグン事業に参画する日本政府、ENEOS(JX石油開発)、三菱商事が、近い将来枯渇が予想されるこのガス田について、閉鎖に向けた適切な処置を取ることを確保した上で、事業から責任ある撤退を行なうことを改めて強く求めます。そうすることで、将来の収益がミャンマー国軍に流れず、また、人権や環境への継続的な影響を回避することになります。

2000年に生産を開始したミャンマーのイェタグン・ガス田は、開発当初から日本政府と企業が深く関与してきました。日本のJX石油開発(ENEOS完全子会社)は、その前身の新日本石油開発の時代、1991、92年に南部の3つの海上ガス鉱区権益を取得、イェタグン・ガス田を開発してきました。90年代後半、ガス田からタイにガスを運ぶパイプラインルートの「安全確保」のためにミャンマー国軍が展開し、少数民族住民に対して強制移住、強制労働、略奪、レイプ、超法規的処刑などを行なったことが訴訟記録やNGOの報告などから明らかになっています。

同ガス田は現在、日本政府(経済産業大臣)50%、JX石油開発40%、三菱商事10%(2013年から参画)の共同出資会社であるJXミャンマー石油開発と、オペレーターであるマレーシア企業のペトロナス・チャリガリ、タイ政府系のPTTEP社、そして国軍が支配するミャンマー石油ガス公社(MOGE)の共同出資の下、生産が続けられています。

ミャンマーでは、2000年以降に開発されたガスからの収入が、国軍の大きな収入源となってきました。国軍に支配されているMOGEとの事業が国軍の資金となることを、私たちは昨年のクーデター以降、一貫して主張してきました。メコン・ウォッチと FoE Japan は、ENEOSを含む日本の出資者に対し、イェタグン事業の収益が国軍に流れないようにし、事業に関連してこれまでに支払われた、あるいは今後支払う予定の各種支払を公開するよう、要請してきました。しかし、いずれの出資者も具体的な措置を取らず、支払いについても明らかにしてきませんでした。

昨年12月にJutice For Myanmarが公表したリーク文書によると、非合法軍政がイェタグン事業におけるMOGEへの支払いについて強い関心を示していたことが明らかとなっています。

国軍の支配下にある限り、MOGEは環境に配慮すれば莫大なコストのかかるガス田閉鎖に向けて適切な対応を取ることはできません。これまで事業で収益をあげた日本政府・企業はその他の合弁企業と共同で、このイェタグン・ガス田について、閉鎖までの責任を果たさなくてはならないはずです。

私たちは、責任ある撤退が完了するまで監視を続けていきます。

メコン・ウォッチの事務局長、木口由香は、「イェタグン・ガス田は20年以上の生産の大部分の期間、ミャンマー国軍に大きな収益を与えてきました。ENEOSはMOGEへの支払いを通じて軍政を利してきた責任を取るべきですが、これは単に撤退をするだけでは果たせません。自社の人権ポリシーを踏まえ、環境や人権に配慮した撤退を行うよう強く求めます」と述べました。

JFMのスポークスパーソン、Yadanar Maungは、「ENEOSと日本政府が撤退するという決定を慎重ながらも歓迎します。同社が、その投資引き揚げによって非合法軍政が利益を得ることのないよう責任を持って撤退するよう求めます。撤退過程で、ENEOSと日本政府はミャンマーの正当な政府である国民統一政府(NUG)と対話し、非合法軍政を政府として扱うのを止めるべきです。軍政はテロリスト組織であり、ガスからの収入を使って残虐行為をし、一切の責任を免れています」と述べました。

連絡先

メコン・ウォッチ 木口: info@mekongwatch.org

Yadanar Maung, Justice For Myanmar: media@justiceformyanmar.org

 

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