脱原発・エネルギーシフトに向けて
【緊急声明】民意無視の「エネルギー基本計画案」に抗議
本日、政府は、原子力関係閣僚会議を開き、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけるとともに、安全と認められた原発の再稼働を進めることなどを盛り込んだ新たな「エネルギー基本計画」の政府案を発表しました。これから1カ月ほど、与党内で協議したのち、閣議決定するとされています。
政府原案およびパブリック・コメントの結果は下記から確認できます。
https://www.enecho.meti.go.jp/topics/kihonkeikaku/new_index.htm
多くのパブコメが集中した「原子力は即時ゼロにすべきである」「脱原発をめざすべき」「事故の収束を優先すべき」(*1) 等の意見は、実質的に無視されています。
「原子力依存を可能な限り低減させていく」と冒頭に書かれているものの、いつまでに、どのようにという道筋は示されず、パブリック・コメントで多くよせられた「原発をゼロに」という声には答えていません。
多くの批判の声があがった原発の位置づけについては、「基盤となる重要なベース電源」は「基盤となる」が削除され、「重要なベースロード電源」と書かれるにとどまりました「再処理やプルサーマル等を推進する」としており、破たんが明らかな核燃料サイクルについても従来から基本的姿勢は変更していません。
再稼働については、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」としています。
しかし、原子力規制委員会が何度も繰り返しているように、「規制基準」は安全基準ではありません。(*2)また、多くの専門家が指摘しているように、原子力規制委員会の規制基準は“世界で最も厳しい”とは程遠いものです。(*3)
さらに、原子力規制委員会は、原子力防災計画を審査の対象外としており、過酷事故時の住民の安全は確保されません。
2010年のエネルギー基本計画策定の際は、国内11か所で公聴会が開かれましたが、今回は公聴会が一回も開かれず、多くの国民の意見が吸い上げられていません。
福島原発事故はまったく収束のめどがたっておらず、ふるさとや生業、生きがいを失った多くの方々の苦しみが続いています。
汚染水の漏出は、とどまるところを知らず、東京電力の処理能力をはるかに超えています。
私たちはこの民意無視、福島原発事故をなかったことにするかのようなエネルギー基本計画案に強く抗議します。
また、2012年夏の国民的議論の結果を受け、「原発ゼロ」を明記すること、各地で公聴会を実施することを求めます。
国際環境 NGO FoE Japan (エフ・オー・イー・ジャパン)
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*1)資源エネルギー庁「新しい『エネルギー基本計画』策定に向けたパブリックコメントの結果について」( p.29-37 )
>https://www.enecho.meti.go.jp/topics/kihonkeikaku/140225_2.pdf
*2)日経新聞( 2013 年 4 月 3 日付)「原発新基準の呼称「規制基準」に規制委が変更」
>https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03024_T00C13A4EE8000/
*3)原子力市民委員会 2013年6月19日付声明「緊急提言 原発再稼働を3年間凍結し、原子力災害を二度と起こさない体系的政策を構築せよ」
>https://www.ccnejapan.com/2013-06-19_CCNE_01.pdf
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