脱原発・エネルギーシフトに向けて
【緊急声明】大飯3・4号機をめぐる原子力安全委員会の実質「お墨付き」に抗議
本日、原子力安全委員会が大飯3・4号機の「確認書」を出したことに抗議し、FoE Japanなど10団体は、緊急声明を発出しました。
審議時間はたったの5分。怒った傍聴者が委員長につめよろうとしましたが、委員たちは逃げるように退室しました。
安全委員会の「確認書」は、「安全」に関する委員会の判断を逃げ、あくまで「一次評価の範囲」においての確認ということになっています。二次評価の速やかな実施と「一層の安全性向上」を求めるものであり、決して現段階の大飯3・4号機の安全の確認にはなっていません。
緊急声明:大飯3・4号機をめぐる原子力安全委員会の実質「お墨付き」に抗議
「確認書」に関する審議時間はたったの5分
ストレステスト一次評価では安全を判断できず
大飯原発3・4号機の再稼動をめぐり、再稼動の条件の一つとされるストレステスト一次評価について、原子力安全委員会は、本日、これを「妥当」とする確認書を出しました。委員会が開かれたのはたったの5分。実質的な審議はなに一つなされませんでした。政府はこれをもって、大飯3・4号機の再稼働を「安全」とし、野田首相など4閣僚の判断を経て地元説明を行うと報じられています。
下記のように根本的な問題が置き去りにされたまま、国民の声を無視して行われたこの手続きに、私たちは強く抗議します。
1.一次評価だけで安全は確認できない
大飯原発再稼動の安全上の判断に際しては、ストレステスト一次評価が全く意味を持たないことは斑目委員長が繰り返し述べているとおりです。関電は、昨年末が期限だった二次評価を未だに出していません。
2.活断層の連動を考慮に入れていない
関西電力は、大飯原発の耐震安全評価において、活断層の連動を十分に考慮に入れていません。保安院の地震と津波に関する意見聴取会では、委員全員から、大飯原発周辺の3本の活断層について、連動評価を行うべきとの厳しい意見が出されています。
3.制御棒の挿入時間が許容値ぎりぎり、3連動では上回る
保安院で平成22年に了承された耐震安全性評価中間報告(注1)によれば、制御棒の挿入評価値は基準地震動Ssで2.16秒であり、評価基準値(許容値)である2.2秒ぎりぎり下回るにすぎません。これを考えれば裕度1.8倍というのは明らかにおかしいことになりますが、原子力安全委員会でこの議論はまったくなされませんでした。活断層の3連動を前提にした場合、制御棒の挿入評価値が評価基準値(許容値)を超えることとなります。
なお、保安院は、3月13日、安全委員会に提出した資料に、前述の中間報告をはるかに下回る「1.88秒」という数値を掲載(注2)していますが、その根拠を示していません。
4.津波の想定
大飯で用いられている津波の想定は11.4メートルで、福島事故の14メートルよりも低い想定で疑問があります。関電などが行った津波跡調査は、地震・津波に関する意見聴取会でも不十分だとの結論となり、再度の詳細調査が実施される予定です。
5.福島原発事故の原因究明を待つべき
福島原発事故については、原因究明も終了していません。これでどうして福島原発事故を繰り返さないなどと言えるのでしょうか。
6.広く市民の意見をきく公聴会の開催を
大飯3・4号機の運転再開の手続きの一環として行われているストレステストの審査・確認は、その後の原発の運転再開の基準となります。その意味で、すべての国民が影響をうける可能性があります。現在の形式的な意見受付だけではなく、一般市民や住民からの意見聴取が必要です。私たちは当事者であり、潜在的な被害者です。専門家のみによって進められる審査・確認では全く不十分であり、広く市民の声をきく公聴会を開催すべきです。
国際環境NGO FoE Japan
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
ピースボート
グリーン・アクション
プルトニウムなんていらないよ! 東京
プルサーマルを心配する福島の女たち
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
原発いらない福島の女たち
福島原発事故緊急会議
再稼働反対! 全国アクション
【本件の連絡先】 FoE Japan 満田夏花 090-6142-1807
注1)
2009年(H21年)12月 大飯発電所3,4号機 新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告追補版)に関する補足説明資料。保安院は複数回の審議を経て2010年(H22)11月に了承。
注2)
2012年(H24年)3月13日 原子力安全委員会ストレステスト検討会における原子力安全・保安院 「総検第4-1号等で示された質問に対する回答」(総検第5-3 号)。「美浜の会」が保安院に問合せたところ、「久木田安全委員の質問に対する回答を作成した際、関電が保安院に口答で伝えた数値」と回答。保安院は審議会などの確認を経ずに、そのまま流用したことになる。