「原発の建て替え、再稼働の加速、既存炉の最大活用」…原発行動指針に意見提出

経済産業省は、原発の建て替え(2040年代までに2~5基、50年代までに11~14基)、再稼働の加速、既存炉の最大活用などを含む「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」を公表し、パブリックコメントにかけました。
FoE Japanは7月9日、以下の意見を提出しました。
意見1. 原発建て替え方針は、超長期にわたり、国民に原発や核廃棄物のリスクとコストを負わせることになる。見直すべきである。
理由:
2040年代、2050年代の基数を示し、原発の建て替えを促すことは、以下の点で不適切であり、見直すべきである。
- 増え続ける高レベル放射性廃棄物の処分の目途はたっておらず、原発の建て替えによって放射性廃棄物をこれ以上増やす政策は容認できない。
- 核燃料サイクルは行き詰まり、六ヶ所再処理工場では竣工が27回も延期されている。。事業者自身がガラス固化の最終確認を「稼働後」に先送りしようと試み、のちに撤回するなど、稼働前に確実にガラス固化ができるかどうかの実証さえできていない。
- たとえ六ヶ所再処理工場が稼働したとしても、数万年の管理を必要とするガラス固化体の処分地は決まっていない。
- 再処理を行えば、プルトニウムが発生するが、余剰プルトニウムをこれ以上増やすことは国際的に問題になる。MOX燃料(ウランとプルトニウムの混合燃料)を一般の原発で燃やす「プルサーマル」ではプルトニウム使いきれない。また、プルサーマルで生じる「使用済みMOX燃料」は通常のウラン燃料よりも発熱量や放射線量が高く、危険な上、その処分・再処理方法は日本では確立されていない。
- 増え続ける放射性廃棄物の抜本的な解決策がないまま、中間貯蔵施設建設や、最終処分地の選定(文献調査など)は、過疎や財政問題を抱える地域に事実上押し付けられている。これは地方の困窮につけこむものであり、地域にさまざまな葛藤や分断をもたらしている。
- 原発建設には多額のコストが必要である。近年海外の実績では、原発建設費用は一基あたり数兆円規模に上り、工期の大幅な遅延によってコストが当初予算の数倍に膨れ上がるケースがほとんどである。こうした状況下で、原子力事業者が銀行から資金調達することが困難であるため、新たな公的融資制度を含む電気事業法の改正案が今国会で成立しようとしている。しかし、これは事業者のリスクを国が肩代わりするものであり、最終的にこのコストを負担するのは、将来世代も含む私たち国民になりかねない。
- 原発は大規模集中型で定格出力の電源であり、電力需給調整に必要な系統の柔軟性を損なう。
- 原発は、事前調査や環境影響評価、規制委による審査、地元同意なども含めると、計画立案から稼働までに20年程度、場合によってはそれ以上の時間を要する。喫緊の対応が必要な気候変動対策としてはあまりに遅すぎ、むしろ再エネや省エネへの投資・導入を遅らせる。
- 事故が生じた際に、広範囲で長期間の放射能汚染など、大きな被害ををもたらす。
- 国際情勢が緊迫化している中、テロ・攻撃のターゲットにるリスクが高まっている。武力攻撃に対しては防御不可能である。
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意見2. 2040年代~50年代「原子力発電は、電源構成の2割程度となる見通し」とあるが、根拠が不明である。
理由:
「見通し」というからには根拠が必要だが、その根拠が示されていない。再稼働済み15基、設置変更許可済み、未再稼働原発3基、審査中原発8基含めてなお、2割には程遠い。ここには、基準地震動策定において不正が発覚した浜岡原発、能登半島地震で被災した志賀原発など審査中の原発も含まれている。「原発2割」は、非現実的であり、「見通し」と呼ぶことは不適切である。
<参考>

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意見3. 非現実的かつ危険な「原発2割」目標は撤回すべきである
理由:
意見2で示した通り「原発2割」は非現実的であるばかりか、これを達成するためには、前述の浜岡原発、志賀原発に加え、原子炉直下に活断層が認定された敦賀2号機、地盤の液状化の影響が指摘された柏崎刈羽1~4号機をはじめとした、稼働するのにはあまりに危険な原発を、無理に稼働させることにつながる。
また、すでに意見1で詳細を書いた通り、原発にはさまざまな問題がある。「原発2割」は撤回すべきである。
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意見4. 「再稼働の加速」は行うべきではない
理由:
「再稼働を加速」することは、原子力規制委員会が適切に審査を行う能力を有することを前提としていると思われるが、現実にはそうはなっていない。
原子力規制委員会の審査は、あくまで事業者の提出したデータを前提とした書類上の確認作業が主であり、データの齟齬や意図的な隠ぺい、改ざん、不正を見抜くことは困難である。
たとえば、今年になってから発覚した中部電力浜岡原発の基準地震動(耐震設計の目安となる最大の揺れ)の不正は、原子力規制委員会の審査の限界を端的に示している。これは2025年2月に公益通報をきっかけに発覚したもので、それまで原子力規制委員会は、中部電力の策定した基準地震動について、「おおむね妥当」と判断していた。もし公益通報がなければ、本件はこのまま審査が通り、再稼働へと進んでいった可能性は高い。さらに深刻なことに、中部電力は規制委の調査が始まった2025年5月以降も、裏でデータの不正操作を継続していたことが明らかになっている。
このケースは、原子力規制の限界を物語るとともに、中部電力がデータ操作を行わなければ、基準を満たすことができないという浜岡原発の立地の危険さ、想定される巨大地震の震源域に原発を建設したことの誤りをも示している。
加えて、各地の避難計画は、地震や津波によって道路が寸断され、家屋が倒壊する「複合災害」の際、避難も屋内退避もできない状況を想定しておらず、実効性に欠ける。
審査プロセスの信頼性が根本から揺らぎ、住民の安全を守る避難計画の実効性もない現状において、これ以上の「再稼働の加速」は、行うべきではない。
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意見5. 「既存炉の最大限の活用」は老朽原発の事故のリスクをさらに高める
理由:
本指針(案)では、既存炉について運転サイクルの長期化などにより設備利用率の維持・向上につなげるとしている。しかし、既存炉は老朽化が進み、トラブルが多発している。いつ深刻な事故が発生してもおかしくない綱渡りの状況が続いており、稼働の最大化を行うことは極めて危険である。
たとえば、運転開始から50年たつ美浜原発3号機では、今年5月に二次系配管からの蒸気漏れが発生した。原因は損傷していたタービン容器を密閉するキャップが酸化による腐食したためだが、このキャップは運転開始以来、一回も取り換えや補修はしていなかった。同原発では、2004年にも2次系配管が経年劣化で破断して熱水や蒸気が噴出し、作業員5 名が亡くなり、計11 名が死傷するという悲惨な事故を起こしている。この事故からすでに20年以上経過しており、目に見えない配管や部品の経年劣化はさらに深刻な状況になっているものと思われる。
それにもかかわらず、指針案には定期点検の間隔を現行の13カ月から15カ月と延ばす(運転サイクルの長期化)ことについても盛り込まれているが、定期点検の頻度が減れば、原子炉、配管、ケーブル等の劣化の兆候を発見する機会が失われ、事故のリスクを高めることになる。
「電気事業法に基づく原子力発電所の運転延長認可制度を、審査基準に則り着実に執行」とあるが、これは40年、60年を超える老朽原発の運転延長の認可を経済産業省を行うものである。長期停止期間を「除外」することで実質60年を大幅に超える超老朽原発の運転も可能となる。認可を行う経済産業省は利用推進側の官庁である。原子力規制委員会による審査を前提するとしているが、規制委の審査は前述のように限界があり、その信頼性が問われている。老朽原発のこれ以上の運転継続は危険であり、延長許可を行うべきではない。
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意見6. 「避難計画」には十分な実効性がなく、複合災害に対応できない。住民の意見が反映されていない
意見:
「避難計画」の前提となっている原子力災害対策指針では、自然災害により避難ができない場合は屋内退避ということになっている。しかし、能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、避難路も通行不能となった。つまり、地震等の天災と原発事故との複合災害では、避難も屋内退避もできない状況となりうる。また、屋内退避では十分な被ばく防護にはならない。
さらに、「避難計画」は住民の声を反映したものになっていない。
たとえば、今年2月に再稼働した柏崎刈羽原発の場合、2025年6月開催された「緊急時対応」の説明会において、参加者から、地震や津波、豪雪と原発事故が重なったときに避難ができない、屋内退避では被ばくが防げないなど多くの疑問が投げかけられた。しかし、これらの疑問はそのままに、6月27日、原子力防災会議が開催され、同「緊急時対応」が了承された。
複合災害に対応できない、また、住民の意見が十分反映されてない避難計画のまま、原発を再稼働もしくは建て替えを行うべきではない。
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実現したいこと:
・福島に暮らす親子に寄り添う「ぽかぽかプロジェクト」の継続
・福島の親子による水俣・長崎への学習旅行と交流
・事故後15年間の出来事や、政策の変遷などをまとめたデータブックの映像化
・原発のリスクやコストを図とデータで伝えるQ&Aやショート動画の製作
