【Q&A】原発の「建て替え」(リプレース)目標って何? 老朽原発は? コストは? 負担するのは誰?
経済産業省は、原発の建て替え(リプレース)について、2040年代までに2~5基、50年代までに11~14基とする目標案を示しました。現在、この目標を含んだ「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」がパブリック・コメントにかけられています。しかし、この案にはさまざまな問題があります。ポイントをまとめました。
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Q1:原発の「建て替え」目標って何?
A1:第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成における原発の割合を2割程度としました。これは2024年度比2倍以上の発電量が必要です。
一方で、多くの既存の原発は、老朽化が進んでいます。福島第一原発事故のあと、2012年には、原発の運転期間を「原則40年、最大60年」とするルールが法制化されました。原発回帰の流れの中、2023年の法改正でこのルールは緩和され、60年を超えた稼働も可能となりました。原発の既存炉の運転期間を仮に60年とした場合、2040年度末までに高浜原発1,2号機、美浜原発3号機などが60年を迎えます。
これを踏まえて、政府は、2040 年代までに約220 万kW~550 万kW(約2 基~5 基)、2050 年代までに2040 年代分も含め約1,270 万kW~1,600 万kW(約11 基~14 基)分の原発の建て替えが必要だとしているのです。
しかし、現在示されている政府案では、現在、稼働している高浜原発1,2号機、美浜原発3号機といった老朽原発は最大限活用することになっています。これらの老朽原発のリスクが低減するわけではないことに注意が必要です。

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Q2:「原発2割」とした根拠は何?

「図で見る 福島原発事故から15年」
A2:2040年度の電源構成、原発を2割としたのは、「原発を最大限活用していく」という政策目標を示したものであり、何かの予測に基づくものではありません。政府は原発の最大限活用の理由として、①AIやデータセンターによる電力需要の増加、②脱炭素、③エネルギー安全保障――などを挙げています。
2011年の福島第一原発事故以降、「原子力への依存度を低減する」とされていましたが、その後、脱炭素や原発回帰のための政策が次々に打ち出され、2025年策定された第7次エネルギー基本計画では、「原子力の最大限の活用」に転換されました。
同計画ではAIやデータセンターによる電力需要が増加するとして2040年度における発電電力量を1.1~1.2兆kWh、電力構成における原子力の割合を2割程度(2,200~2,400億kWh)としています。
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Q3:「原発2割」は現実的?
Q3:2040年度「原発2割」(2,200~2,400億kWh)というのは、かなり非現実的な目標といわざるをえません。
すでに稼働している原発に加え、防潮堤の施工不良などで再稼働が遅れている東海第二原発(茨城県)や、能登半島地震で被災した志賀原発(石川県)、データ捏造問題で審査が振出しにもどった浜岡原発など、原子力規制委員会が審査中の原発をすべて含めても、まだこの数値には届かないのです。
「原発2割」目標ありきで無理をかさねるのではなく、まず、この目標を見直すべきではないでしょうか。

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Q4:「核のごみ」はどうするの?
A4:原発を稼働すれば使用済み核燃料が発生します。この処分をどうするのかの目途はたっていません。最終処分地も決まっていません。
政府は、使用済み核燃料をすべて再処理する方針をかかげています。六ヶ所再処理工場(青森県)は、1993年に建設が開始されました。1997 年に完成する予定でしたが、27 回も竣工が延期されています。
再処理工場では、使用済み核燃料から、プルトニウムとウランを回収しますが、この過程で、人が近づけないような高レベルの放射性廃液が発生します。これをガラス原料とまぜ、ガラス固化体にします。これがいわゆる「核のごみ」です。しかし、この肝心のガラス固化は、原子力規制委員会の審査の対象外となってしまっています。
ガラス固化体は専用の300m 以深の地層中に処分することになっています。処分地については決まっておらず、候補地選定の第一段階である文献調査が、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町で、東京都小笠原村の南鳥島で実施されています。
今稼働している原発の使用済み核燃料は、各原発の敷地内の燃料用プールで保管されています。しかし、この燃料用プールが各地で満杯に近づいており、問題となっています。青森県むつ市では、中間貯蔵施設が建設され、ここに柏崎刈羽原発からの使用済み核燃料が搬入されました。
また、中国電力は2023年8月、山口県上関町に、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を検討すると発表しました。
このように、使用済み核燃料の最終処分場も、中間貯蔵施設も、過疎に悩む地域に押し付けられているのが現状です。行き場がないのにもかかわらず、原発の「最大限利用」が進められようとしているのです。

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Q5:老朽原発は危険だから、建て替えた方がいいんじゃない?
A5:政府案は「建て替え」を前面に打ち出していますが、現在稼働している高浜原発1, 2号機、美浜原発3号機といった老朽原発を止めるわけではありません。政府案では、これらの老朽原発を運転開始から60年稼働させることが前提となっていますが、場合によってはそれ以上、稼働させることも可能です。「建て替える」対象は、美浜原発1, 2号機、玄海原発1, 2号機など、稼働がすでに停止しており、廃止措置中の原発になります。
また、政府案では、「設備利用率の向上」のため、現在13か月ごととしている定期点検を15か月ごととすることを検討することも含まれています。老朽原発では配管や部品の劣化によるトラブルが相次ぎ、今年5月も浜原発3号機で高圧タービン内部の腐食により、蒸気漏れが発生しています。定期点検の間隔を伸ばすことは、「設備利用率の向上」のために安全性が犠牲になりかねません。
老朽原発は危険なのは間違いありません。その解決は、老朽原発を停止させ、廃炉することしかありません。
建て替えは、膨大な時間と公金(国民負担)を費やした挙句、新たなリスクを長期にわたり抱え込むことになります。老朽原発を延命させる口実となっており、解決策とはいえません。
「次世代革新炉」と言っても、現在、実現可能な「革新軽水炉」は基本的に現在の大型軽水炉の延長線上であり、事故などのリスクや核のごみといった本質的な問題は変わりません。
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Q6:コストは? 誰が負担する?
A6: 原発の建設費用は今や数兆円。しかも、当初の計画の数倍に達することもめずらしくありません。たとえば、最近稼働したフランスのフラマンビル原発3号機は、2007年の着工から数々のトラブルに見舞われました。当初は2012 年に完成予定でしたが、工事は大幅に遅延し、17 年の歳月を経て2024年9 月にようやく初臨界(稼働)を迎えました。建設費用は当初の一基当たり33 億ユーロから、132 億ユーロ(約2.4 兆円)へと約4倍に膨れ上がっています。
これほどの巨額資金は、原子力事業者(電力会社)単独では調達が困難です。民間の銀行にとって、リスクが大きい原発に融資することは困難だからです。
そこで、日本政府は、原発の建設や改修にかかる費用に対して、電力広域的運営推進機関(OCCTO)という公的機関を通じて融資を行う新しい制度を導入しようとしています。これは、民間では背負いきれない巨額の投資リスクを、財政投融資などを活用して国がサポートしようとするものです(※具体的な制度設計は今後の経済産業省の検討に委ねられており、不透明な部分も残されています)。
現在も「長期脱炭素電源オークション」などの制度により、原発の安全対策費や維持費は、広く電気料金に載せられ、最終的には、原発を使用しない電力小売りを選んだ人たちも含めて、消費者が負担させられています。
つまり、原発のコストは、国策によって広く「国民の財布」から吸い上げられる構造になっているのです。

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Q7:「次世代革新炉」って安全?
政府が推進しようとしている「次世代革新炉」の中で、最も実現可能性が高いのが「革新軽水炉」です。名前は『革新』とついていますが、基本的には従来の原発(軽水炉)にコアキャッチャーなどの安全対策を加えたものです。過酷事故、巨大地震、のリスクという原発の本質的な危険性や、「核のごみ」の問題は何も変わっていません。
近年の国際情勢が示す通り、原発は戦争や武力紛争において、格好の標的(人質)になるリスクが浮き彫りになっています。「次世代革新炉」であっても、航空機の衝突、サイバー攻撃、テロ攻撃といった脅威に対する対策は困難です。
小型モジュール炉(SMR)は通常の原子炉よりもウラン濃縮度の高い核燃料を使うことが多く、核拡散のリスクが高まります。また、発電量あたりの放射性廃棄物の量が多いといった問題も抱えています。

緊急オンライン集会:原発「建て替え」は誰のため?〜地域に押し付けられる危険と矛盾
2026年6月26日(金)14:00-16:00
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