阪和興業が日・尼の環境NGOからのバイオマス燃料の生産に関する質問書に回答 依然として地域住民への影響に対する見解示さず
2026年5月25日、阪和興業株式会社より日本・インドネシアの環境NGO5団体が同年1月に提出した質問書の回答がありました。今回の質問書では、環境影響評価の開示や木質ペレットの生産が地域住民へ与える影響に対して見解を求めていましたが、多くの質問に対して、明確な回答を得ることができませんでした。阪和興業はインドネシア・ゴロンタロ州における天然林由来の木質ペレットの生産および輸入をしており、私たちは天然林の減少を防ぐためにインドネシア産の木質ペレットの輸入中止を求めています。
背景
近年インドネシアでは、日本ではバイオマス発電所の燃料として利用されている木質ペレット生産を目的とした「エネルギー産業用造林(HTE)」が急速に広がっており、面積は約130万haにも達しています。
これにより、天然林の伐採および単一樹種による人工林への転換が進行し、生物多様性の喪失、洪水リスクの増大や森林や農地へのアクセス不可による地域住民の生活への深刻な影響が現地NGOより報告されています。
特に、スラウェシ島北部のゴロンタロ州で生産されている木質ペレットは、日本や韓国などへの輸出向けであり、日本では商社の阪和興業などが輸入しています。
FoE Japanとインドネシア環境NGO4団体はこれ以上、インドネシアの天然林を破壊することがないよう、阪和興業へ木質ペレットの輸入中止を要請するとともに、1回目の質問書を2025年11月6日に送付しました。
同年12月11日に阪和興業から回答をいただいたものの、特に環境影響評価や木質ペレットの生産地周辺に住む人々への影響に対する見解に関し、明確な回答が確認できなかったため、2026年1月21日に再度質問書を送付しました。
以下が1月に送付した質問内容と今回の回答を一覧にした表です。
質問書と回答に関する対照表
| 質問(2026年1月21日) | 阪和興業からの回答の抜粋(2026年5月26日) |
|---|---|
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(1)「既存の天然林を皆伐してガマルを植栽する土地 |
「当社は、このように過去に伐採や改変があった |
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(2)「ガマル」を植栽されていることは理解しましたが、 |
「(ガマルの)伐採および植林は、既に当該地域に 存在している森林資源基盤を活かしつつ、関連法令 および管理計画に基づき、関連規制や市場動向、 生育状況などを踏まえて計画的に行われています。」 |
| (3)「二次林地域が確認されている」とのご回答ですが、 この「二次林地域」は依然として天然林です。 この地域を「皆伐&ガマル植栽地への転換」することは 「森林減少」だと認識しております。このことに つきまして、御社のご見解をお示しください。 |
「~当該地域における森林の伐採や改変は、 PT BTL および PT IGL が関与する以前、すなわち HGU が付与されるよりも前から既に生じていたもの と認識しています。」 「当社は、このように過去に伐採や改変があった 土地を、現地法令に基づきガマル植林地として 再生・管理することを、持続可能性の一環と 位置づけています。」 |
| (4)ガマルの植栽は、具体的に何年から開始されたの でしょうか?また約4年で収穫可能とのことですが、 具体的にいつから「ガマル」をバイオマス燃料として 輸入・販売を開始されるご計画でしょうか? それとも「ガマル」は輸入燃料として想定していない のでしょうか? |
回答無し |
| (5)「PT. BJA、PT. BTL、およびPT. IGLがすべての 法令に適切に準拠している」ことを確認されている とのご回答ですが、確認された法令について、 具体的にお示しいただけませんでしょうか? |
「本事業では、関係法令・規制を遵守するとともに、 必要な政府許認可を取得したうえで、透明性を 重視した運営を行っています。」 「前回ご回答申し上げた通り、当社の木質ペレット 調達先である PT Biomasa Jaya Abadi(以下 PT BJA) に原料を供給している PT BTL 及び PT IGL は、 いずれもインドネシア国土庁(BPN)ゴロンタロ州 地方事務所から事業運営に必要な事業用地権/栽培権 (HGU)を取得した上で事業を進めています。」 「当社は事業に関連するすべての適用法令を 対象としてコンプライアンス確認を行っています。」 「インドネシア関係当局および独立認証機関による 監査・認証および現地調査の結果、土地権利、投資、 森林資源利用、認証要件を含むすべての法的要件を 遵守していることが確認されています。」 |
| (6)「PT. BTLおよびPT. IGLの事業は森林製品合法性 検証(VLHH)証明書を取得している」とのご回答ですが、 原材料に関する「持続可能性」については 確認できていない、との理解でよろしいでしょうか? |
回答無し |
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(7)「環境影響評価制度(AMDAL)の要件に従って評価 |
「環境影響評価(EIA/AMDAL)は操業開始前に 法令に基づき適切に実施されています。 当該評価は、対象地域を管轄する環境当局により 審査・承認されており、操業開始前に必要な 環境許認可はすべて取得済みであることを 確認しています。」 |
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(8)そうしたエリアでもPT. BTL、PT. IGLは伐採事業 |
回答無し |
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(9)この環境影響評価が実施された年や時期が記載 |
回答無し |
| (10)6つのステップのうち「6. パブリック コンサルテーションおよび承認」につきまして、 「地域住民」や「ステークホルダー」に関する 情報が記載されておりませんが、具体的に「いつ」、 「誰に対して(州・県・郡・村など地方自治体 の役職など)」実施されたものなのでしょうか? |
「住民協議(パブリック・コンサルテーション) についても、同環境認可プロセスの重要な 構成要素として、関連法令に従って実施されて います。インドネシアにおける同手続きに おいては、州・県レベルの行政当局に加え、 地区・村レベルの代表者も参加します。」 |
| (11)EIAは、スコーピング段階、ドラフト段階で 一般公開され、ステークホルダーからのコメント を求める期間が設定されますが、このEIAは そのような手続きが踏まれましたか。 その場合、公開期間はいつからいつまででしたか。 |
回答無し |
| (12)上記のステークホルダーからのコメント期間中、 ステークホルダー向けの説明会などは開催 されましたか。 |
回答無し |
| (13)質問をさせていただきましたインドネシアNGO を含む5団体の関心は、その環境影響評価の結果 にありますが、EIA報告書は地域住民を含む ステークホルダーに公開されていますでしょうか? またその写しをいただくことは可能でしょうか? |
「協議記録を含む環境影響評価結果の詳細は 一般的に公表されるものではありませんが、 ステークホルダーとの対話は、本規模事業に おける許認可取得の重要な要素となっています。」 |
| (14)6ヶ月毎に行われている環境モニタリングの結果 は、地域住民を含むステークホルダーに公開されて いますでしょうか? また直近の環境モニタリング結果/報告書の写しを いただくことは可能でしょうか? |
「両社がインドネシア法令・規制に従って実施 している環境影響評価の定期モニタリング・報告 については、市民を含むステークホルダーが 参加・傍聴できる仕組みとなっています。」 |
| (15)(同じ質問になりますが)インドネシアNGOを含む 5団体の関心は、その環境影響評価の結果にあります が、EIA報告書を開示いただくことは可能でしょうか? |
回答無し |
| (16)「PT BTLおよびPT IGLはFPICの原則を優先し、 コンセッションの下流に位置する地域を含む 複数の村を対象に(後略)」とのご回答ですが、 具体的な地域名および村名についてお示し いただけませんでしょうか? |
回答無し |
| (17)「ステークホルダー・マッピング、参加型 マッピング、フォーカスグループディスカッション、 さらに関連する主要ステークホルダーへの詳細な インタビュー等を実施」とありますが、 何年に行われたのでしょうか? また、上段のEIAとは別のプロセスで行われたの でしょうか? それとも、EIAの一環で行われたのでしょうか? |
回答無し |
| (18)草の根コミュニティとの自由意思に基づく事前 同意(FPIC)を実施したとのことですが、 コミュニティの意見に基づく文書を作成し、 企業の伐採権に異議を唱える方法は存在するの でしょうか? もし存在する場合は、どのような方法かご教示 いただけますでしょうか? |
「FPIC(自由意思による事前同意)に関する手続き および関連文書、コミュニティとの対話内容や 意見、やり取りの記録は、PT BJA、PT BTL、 PT IGL の各社によって作成・管理され、許認可取得 に係る正式な記録として適切に記録されています。」 |
| (19)11月6日付けの要請書および参考資料で お示しした通り、FoE Japanおよびインドネシア NGOが実施した、地元住民へのヒアリングで、事業が 土地・森林利用への阻害につながっており、森林破壊 による洪水や地すべりの発生への懸念、生計に 不可欠な森林へのアクセスを失う恐れがあることから、 当初から事業を拒否してきた住民もいると 理解しています。 こうしたことを踏まえて、再度、地元社会や住民への 影響について、貴社のご見解を再度お示しください。 |
「PT BTL および PT IGL は、年間を通じて医療、 教育、社会文化活動などのさまざまな取組を通じて 地域社会との継続的な関係構築に努めるとともに、 ポフワト県およびゴロンタロ州の住民の積極的な 雇用に取り組んでいます。」 |