【プレスリリース】米テキサス州の地域住民リーダー、LNG事業への日本の資金提供者の責任追求のため初の申し立て

高市首相が米国との化石燃料取引を続ける中、テキサス州フリーポートの住民が、米国でのLNG事業に伴うリスクと人権侵害を指摘する異議申立書を提出

東京(日本)――テキサス州の住民代表団が、画期的な一連の申し立てを行い、フリーポートLNG(液化天然ガス)事業の日本側投融資者らと直接面談するため、本日東京を訪れている。日本が資金を提供するLNG事業によって被害を受けた住民が、事業の投融資者に対し、共同で一連の申し立てを行うのは今回が初めてである。申し立ての対象は、日本の公的機関である国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)、民間銀行の三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、そして電力会社のJERAである。
この申し立ては、ホルムズ海峡危機による石油・ガス価格の高騰が日本の長期的なLNG戦略の脆弱性を露呈させ、化石燃料への依存に対する日本への批判が高まっている中で行われた。 2025年10月、高市首相は、トランプ大統領を懐柔し関税緩和を促すための試みとして、日本からの総額5,500米億ドル(約80兆円)規模の対米投資の覚書に署名した。高市首相はまた、その第1弾案件として米国の石油、ガスおよびその他の事業への投資(360億米ドル)を決定したと発表した。

テキサス州フリーポートでは、米国での石油・ガス投資に伴う社会経済的リスクが顕在化している。2022年、大規模な爆発により約140メートルの高さまで火球が吹き上がり、付近の住民に負傷者が出たほか、約3,300立方メートルのLNGが放出された。また2024年には、フリーポートLNGは、大気汚染排出規制に違反し、許容値を超える一酸化炭素、窒素酸化物、その他の極めて危険な化学物質を放出したとして罰金処分を受けた。現在進行中のLNG事業は、呼吸器疾患、心血管疾患、および有毒大気汚染に関連する汚染を引き起こしている。港湾の海底に堆積している土砂や底質汚泥を機械的に除去する浚渫作業や船舶の往来もまた海洋生態系を脅かしており、漁業および漁業に生計手段を依存する地域住民にリスクをもたらしている。この事業は爆発発生後8カ月間操業停止となり、事業の契約企業に多大な損失をもたらしたほか、運用上の問題に苦しんでいる

三菱UFJ、みずほ、三井住友は、米国のLNG事業における3大資金提供者であり、それぞれ148億米ドル、128億米ドル、101億米ドルを投じている。日本の公的機関であるJBICとNEXIは、このエクスポージャーをさらに拡大させ、日本の民間銀行や商社にとってのリスクを軽減する融資、出資、保証を提供することで、民間がメキシコ湾岸のLNG輸出基地にさらに数十億ドルを投入できるようにしている。具体的には、JBICとNEXIはテキサス州のフリーポートLNG輸出基地に対し、民間銀行との協調融資総額38億米ドルの資金提供を可能にした。

今回の申し立ては、日本の資金提供者の責任を追及するための広範なプロセスの第一歩となる。フリーポートの住民の代表は、日本の資金提供者の投融資によって引き起こされた被害に対する責任を追及するため、あらゆる手段を講じ続ける。 

コメント: 

グウェンドリン・ジョーンズ(Gwendolyn Jones)Climate Conversation Brazoria County 創設者

「フリーポートLNG輸出基地で爆発事故が起きた日を、決して忘れることはないでしょう。あの施設に対する見方、そして家族や地域住民の安全に対する私の考えが変わってしまいました。誰もそんな恐怖を抱えて生きるべきではありません。日本の金融機関は、フリーポートLNG事業が地域社会や住民、環境、そして金融機関自身にとっても多大なリスクを伴うことを理解する必要があります。私たちは、彼らがその事実からこれ以上目を背けられないようにするために東京に来たのです。」

マニング・ロラーソン(Manning Rollerson)フリーポート・ヘイブン・プロジェクト 創設者兼ディレクター

「フリーポートLNG事業は、私が暮らす地域の人々を苦しめています。この事業は、私たちの健康と安全を脅かしています。私の家族のうち幼い子供から年配者まで17人が、がんによって亡くなりました。私は東京に来て、日本の金融機関に、米国のLNG事業への投資は悪魔との取引のようなものだとお伝えしたいのです。それは不安定で、リスクが高く、信頼できないものです。日本の金融機関は、自社が資金提供している事業によって被害を受けている人々の声に耳を傾け、私たちの地域社会に犠牲を強いるのを止めてください。」

メラニー・オールドハム(Melanie Oldham)ベター・ブラゾリア:クリーン・エア・アンド・ウォーター 創設者兼事務局長

「2019年にLNGの輸出を開始して以来、フリーポートLNGでは70件の大気質基準違反が発生しています。2022年に爆発事故が起きたのは、経営陣が数日間にわたる警告を無視し、施設の人員を削減したため、従業員がプラントを安全に稼働させることができなかったからです。この爆発事故やフリーポートLNGの大気質基準違反、そして通常の操業そのものが、私たちの空気と水を発がん性物質によって汚染しています。私は41年間、医療従事者として働いてきました。テキサス州保健局での業務を通じて、フリーポートLNGが立地するブラゾリア郡南部では、6種類のがんが予想を上回る発生率を示していることを突き止めました。私たちの地域社会は、フリーポートLNGが立地していることによる恩恵を何一つ受けておらず、損害を受けるばかりなのです。」

アリー・ローゼンブルース(Allie Rosenbluth)オイル・チェンジ・インターナショナル 米国キャンペーン・マネージャー

「フリーポートLNGのような米国の化石燃料事業に対し、日本が資金提供を続けていることは、経済を左右する無謀な賭けであると言えます。最近の米国とイスラエルによるイランへの攻撃により、石油・ガス価格は急騰しました。これにより、化石燃料市場の極端な変動性と、輸入化石燃料への依存に伴う根本的なリスクが露呈しました。LNG事業に対する地域住民の強い反対、法的な異議申し立て、そして資金調達やガス購入先の確保の難しさから、米国のLNG供給の将来は不透明です。恒久的なエネルギー安全保障を実現するためには、日本は手頃な価格の再生可能エネルギー、エネルギー効率化、そして電化に注力し、ガスやLNGへの無駄な支出を止める必要があります。」

レイチェル・ホー(Rachel Ho)- マーケット・フォース アジア・エネルギー・ファイナンス・キャンペーン担当

「フリーポートLNGへの投資を通じて、日本の大手銀行は、自らの政策や基準に反し、地域住民、気候、そしてテキサス州メキシコ湾岸地域の環境への甚大な被害と危険性の拡大を助長しています。クリーンエネルギーへの移行が加速するにつれ、世界的にガスの需要は消滅していくことが明らかになっています。フリーポートLNG事業は、日米間の投資協定が、金銭的損失、人命や住民の暮らしへの悪影響という形で多大な負担をもたらすことを如実に示しているのです。」

長田 大輝(おさだひろき)- FoE Japanキャンペーナー

「日本は現在、戦略的投資イニシアチブ等を通じて米国の化石燃料インフラにさらに多くの公的資金を投入するとしています。しかし、フリーポートLNGの事例は、その資金がもたらす深刻な悪影響を如実に示しています。それは、爆発事故、メタン漏出、大気汚染、そして深刻な健康被害です。住民の犠牲を直視することなく投資を拡大することは、トランプ氏を懐柔するための交渉材料であってはなりません。」

報道関係者の皆様へ: 

  • JBICが融資するガス事業には、被害と破壊をもたらす傾向があり、地域住民はJBICに対し、同行が自ら定めた「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」に違反していると伝えてきました。報告書『Faces of Impact: JBIC and Japan’s LNG Financing Harms Communities and the Planet(影響に直面する人びと:JBICのガス投融資がもたらす地域社会と環境への損害』)および関連ウェブサイトでは、オーストラリア、バングラデシュ、カナダ、インドネシア、モザンビーク、フィリピン、タイ、米国、ベトナムにおける事例を検証し、環境破壊、地域住民の移転、先住民族の権利侵害が発生していることを明らかにしています。
  • 5月19日午前10時30分より日本外国特派員協会(FFCJ)主催の記者会見が開催されます。ご登録等の詳細はこちらになります。ぜひ取材にお越しください。
  • 会場でのご参加が難しい場合は、こちらよりライブ配信をご視聴いただけます。また、会見終了後には同リンクより録画映像もご覧いただけます。  
  • 申立人および法律専門家が取材対応可能です。 
  • 詳細については、本申し立ての背景資料および米国メキシコ湾岸における日本の破壊的なLNG投資に関する概要資料を参照ください。
  • 申立人が国際協力銀行等に対して異議申立書を直接提出した際の写真は、こちらでダウンロードいただけます。

申立人のプロフィール:

マニング・ローラーソン

マニング・ローラーソンJr. 3世はフリーポート在住でコミュニティのためのアドボカシー活動を行っている。27の孫を持つ助祭であるローラーソン氏は、立ち退きの影響を受けるイーストエンド地区の住人で、権利を侵害されてきたコミュニティの人々のために積極的に活動してきた。彼は、住宅問題と環境正義を中心に活動する非営利団体フリーポート・ヘイブン・プロジェクトの創設者である。彼は、化石燃料産業によって人々の健康と安全に深刻な影響がもたらされている地域において、メキシコ湾岸の地域の腐敗と産業汚染とたたかっている。

メラニー・オルダム

メラニー・オルダムはBetter Brazoria:Clean Air and Waterの創設者で事務局長。

オルダムは、テキサス州フリーポート地域において、清潔な空気と水を求め数十年にわたり活動してきた最前線のコミュニティリーダーである。医療専門職としての40年のキャリアは、公衆衛生の擁護者・活動家として20年以上にわたり続く現在の活動の基盤となっていいる。オルダムは、シエラクラブ・ヒューストンおよびシエラクラブ・ローンスター支部でボランティアとして活動し、両支部の執行委員会メンバーを10年間務めた。また、米国の石油・ガス/LNG輸出プロジェクト、石油化学産業の拡大、産業向け税制優遇措置、ならびにCCUS(炭素回収・利用・貯留)プロジェクトへの反対を通じ、世界各地のイベントで発言してきた。

グウェンドリン・ジョーンズ

グウェンドリン・ジョーンズは、Climate Conversation Brazoria County の創設者。十数を超える化石燃料関連施設に囲まれたフリーポートのイーストエンドで育つ。ジョーンズは、これらの施設がもたらす危険性について地域社会に啓発を行うとともに、企業に説明責任を果たさせるため、精力的に活動している。現在、ブラゾリア郡ではあらゆる年齢層において死亡や健康問題が現実のものとなっている。この活動はグウェンドリンにとって極めて個人的なものであると同時に、正義のためにたたかい、次世代を教育することが、神およびフリーポートとブラゾリア郡のすべての人々に対する自身の責務であると感じている。彼女は、愛と人々の力が最終的には勝利すると信じている。

 

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