【第5回 世界人権セミナー】フィリピン・ネグロス島からの現地報告:架空の容疑で長期勾留された若者の声を聴く

開発と人権

 かつて約20年間にわたり独裁体制を敷いてきたフェルディナンド・マルコス元大統領の息子マルコスJr.が大統領に就任してから3年以上が経ちました。フィリピンにおける人権問題はいま、どのような状況に置かれているのでしょうか。

 今年3月には、ドゥテルテ前大統領が「人道に対する罪」の容疑で国際刑事裁判所(ICC)に移送されました。また6月には、表現の自由に関する国連特別報告者がフィリピン訪問調査の報告書を人権理事会で発表。マルコスJr.政権以降もジャーナリスト、人権擁護家、社会活動家に対する脅しや不当な拘束が行われ、前ドゥテルテ政権期に激化したレッドタギング(共産党とその軍事部門の新人民軍の支持者であるとのラベリング)による超法規的殺害や逮捕も継続している実態に警鐘を鳴らしています。

 そのような状況のなか9月、ネグロス島のマビナイ町で2018年に逮捕された6名の若者が、裁判で証拠不十分で無罪判決を受け、7年半もの長きにわたる勾留から解放されるというニュースが飛び込んできました。

 今回のセミナーでは、その一人であるマイルス・アルビシンさんをお招きし、ご自身の体験をお話しいただきます。また、同じくネグロス島バコロド市で、2019年に農民組織や労働組合のメンバー55人が不当に逮捕された際に連行され、2023年に保釈されたカリーナ・デラ・セルナさんにもお話しを伺い、こうした人権侵害がなぜ繰り返されるのか、日本にいる私たちはどのような支援ができるのかについて考えます。過去4回の「世界人権セミナー」で取り上げたフィリピン各地の人権侵害のケースの現状についても、ご報告します。ぜひご参加ください。

日時2025年12月10日(木) 19:00~20:30
会場オンライン開催(ウェビナー)Zoom
申込フォームhttps://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_Aa3052f5QbOMDqI7o2vvgg
共催一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター、国際環境NGO FoE Japan、国際人権監視NGO Stop the Attacks Campaign (SAC)、立教大学異文化コミュニケーション学部
プログラム※予定。ゲストの都合で内容が一部変更になる可能性あり。
司会:長瀬理英
1.開催趣旨、プログラム紹介、注意事項等
2.表現の自由・国連特別報告者の報告書から見るマルコスJr.政権下の人権状況
   藤本伸樹/ヒューライツ大阪(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター)
3.ネグロス島からの報告(逐次訳あり)
   ・ネグロス島の人権状況:二人の活動家の逮捕をめぐって
    勅使川原香世子/国際人権監視NGO Stop the Attacks Campaign (SAC)
   ・7年間の不当拘禁でえた7つの洞察
     マイルス・アルビシンさん
   ・家族全員、政治囚とされて
   カリーナ・デラ・セルナさん
4.質疑応答
5.お知らせ、閉会
ゲストのプロフィール●マイルス・アルビシンさん:
2017年、フィリピン大学セブ校卒業。2018年3月、ネグロス島のマビナイ市ルヤング村で、他5人の若者とともに、銃器と爆発物不法所持の容疑で国軍によって逮捕。2025年9月、裁判で証拠不十分で無罪判決を受け、釈放。
●カリーナ・デラ・セルナさん:
元農地改革擁護者全国ネットワーク青年部(NNARA-Youth)・事務局次長、劇団「草刈鎌」のメンバーとして砂糖農園労働者の支援にあたってきた。2019年10月31日、西ネグロス州バコロド市で劇団「草刈鎌」の稽古中に、国軍と国家警察からなる合同部隊によって不当逮捕された55人のうちの一人。2023年7月に保釈。
備考※UDトークによる文字通訳があります。

問い合わせ先

FoE Japan(問合せフォームはこちら

 

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